スマホのバッテリー劣化の指標「充電サイクル500回」って結局どういうこと?(1/2 ページ)
「バッテリーが劣化するから、スマホの利用限度は2年程度」――こんな話を聞いたことはありませんか。これは、スマホの「充電サイクル」と「500回」という2つのワードが組み合わさって生まれた“通説”です。
「バッテリーが劣化するから、スマホの利用限度は2年程度」――こんな話を聞いたことはありませんか。これは、スマホの「充電サイクル」と「500回」という2つのワードが組み合わさって生まれた“通説”です。
充電サイクルや使用回数、充電回数が500回であるということは、多くのモバイルバッテリー(スマホ内蔵バッテリー同様リチウムイオン電池を使用)の商品紹介サイトで説明されています。また、iPhoneを製造するAppleも公式サイトで「500回」という1つの指標を掲載しています。
それでは、この「充電サイクル」とは何をカウントしているサイクルなのでしょうか。500回を超えてもバッテリーが劣化しないような使い方はあるのでしょうか。
電源に挿すことでカウントされない回数
「充電サイクル」「充電回数」と聞いて、すぐに思い浮かべるのが、「充電した回数」つまり、電源に接続した回数です。例えば、以下のような考え方です。
- スマホのバッテリー残量が50%程度になってしまったので、電源に接続した→1回
- コンビニに出掛けるため、いったん電源から外し、帰宅してまた電源に接続した→1回
- ゲームしやすいように電源から外し、イベントが終わったのでまた接続した→1回
このような数え方をしていては、あっという間に上限の500に到達します。これでは、「今、つなげたばかりなんだから、抜かないでよ」と言いたくなってしまうのもやむを得ません。
しかし、先ほどのAppleのサイトをもう一度よく読んでみると「フル充電サイクル」という表現を使っているのが分かります。なお、AppleがiPhoneバッテリーについて説明した別のページでは、「充電サイクル」という言葉で説明しているため、両者は同じだと考えられます。
このフル充電サイクルまたは充電サイクルとは、合計で100%になる充電を行った回数または合計で100%放電させた回数のこと。
例えば、1日目にiPhoneのバッテリーを65%消費し、その夜に充電を行って100%まで回復させました(65%を充電した)。2日目には35%しか使わず、その夜にまた100%まで充電させました(35%を充電した)。電源に接続した回数が2回ですし、100%まで充電した回数も2回ですが、充電(または放電した)した量の“合計”が100%になった、この2日間で1サイクルとしてカウントされたというわけです。
【訂正:2022年6月27日14時55分 初出時、充電した%の記述に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
なお、Appleでは、この充電サイクルを500回繰り返したとしてもiPhoneバッテリーの「本来の蓄電容量の最大80%を維持するよう設計」しているとしています。これを下回るほど劣化しているのであれば買い替えを検討、もしくはバッテリー交換をした方がいいよいようです。
というのも、内蔵バッテリーの劣化が著しいと、必要とする電力を供給しない可能性が生じ、その結果、部品保護のためiPhoneが強制的にシャットダウンし得るからです。使いたいときに使えないのであれば、元も子もありません。
スマホ内蔵のバッテリーを長持ちさせるためにできること
スマホに搭載されているバッテリーも、モバイルバッテリーも、リチウムイオン電池を採用しているので、取り扱い方法や注意点にも共通点があります。
例えば、モバイルバッテリーの多くは、本体を充電しながら給電しない(パススルー充電をしない)ように注意喚起されています。同じように、スマホも使いながらの充電は、バッテリーの劣化を早めてしまいます。「バッテリー残量が100%になっていないと!」と、つい考えてしまう筆者もやりがちなのですが、電源に接続した状態でスマホを利用するのは避けたいところです。使うときは使う、充電するときは充電する、とメリハリをつけた使いかたをしましょう。
また、完全に放電、つまり0%になるまで使ってしまうと、これもまた劣化の原因となります。20%、あるいは機器によっては使用中に警告の出る15%まで残量が減ったところで、電源に接続するようにしましょう。
さらに、ながら充電をしないことに似ていますが、常に100%になるまで充電するのではなく、80%程度になったところで電源から外すことも推奨されています。直射日光にさらされる場所、高温下や低温下に置くこともバッテリーの劣化を早める原因となってしまいます。
関連記事
- 「ながら充電」や「100%のまま充電」はNG? スマホのバッテリー寿命を延ばす方法
スマートフォンを使う上で「バッテリーの寿命をどれだけ延ばせるか」は重要なポイントだ。充電のタイミングや方法によってはバッテリーを劣化させる恐れがある。少しでもバッテリーの寿命を長くするには、どんなことに注意すればいいのか。4キャリアに聞いた。 - 「ながら充電」に注意 携帯市場と電通大がスマホのバッテリー劣化を防ぐ研究
携帯市場は3月30日、電気通信大学と進めている「スマホバッテリー劣化研究プロジェクト」に関する研究結果を発表した。スマートフォンのバッテリー劣化は買い取り価格が下落する要因になる。特に注意したいのが「ながら充電」だ。 - iPhoneのバッテリーを長持ちさせる方法7選(2022年最新版)
外出先で、iPhoneのバッテリーが減ってもすぐに充電ができないときは、バッテリーを長持ちさせる設定を試してみましょう。バッテリーを消費しがちな機能の設定を変更して、消費電力を抑えられます。低電力モードを有効にしたり、画面の明るさを調整したりすることから始めてみてください。 - Androidのバッテリーを長持ちさせる方法9選(2022年最新版)
バッテリーが残りわずかになってきた場合は、長持ちさせるために9つの設定を試してみてください。Androidには、バッテリー消費を抑えるための「バッテリーセーバー」機能があるので、まずはこれを有効にしましょう。「設定」アプリの「バッテリー」では、アプリごとのバッテリー使用状況を閲覧できます。 - スマホが発熱! 「絶対にやってはいけないこと」は?
夏も本番を迎えました。外でスマホを使うと、非常に熱くなることもあります。そうなったら、どうすればいいのでしょうか……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.