「公衆電話」はどこにある? どうやって使う? 緊急時の備えに知っておくべきこと:緊急時の備えに(4/4 ページ)
KDDIと沖縄セルラー電話の携帯電話ネットワークの障害を受けて、公衆電話に注目が集まっている。しかし「どこにあるの?」「どうやって使うの?」といった声もある。そこで、知っておくべき情報(知識)をまとめようと思う。
若干複雑な公衆電話の通話料金
国際通話を除き、公衆電話の通話料金は10円(税込み)単位で課金される。テレホンカードは1度数=10円となる。
10円で通話できる時間は、通話相手(固定電話宛の場合は距離)や時間帯によって異なる。参考として以下に記しておく。
「単位料金区域(MA)」とは?
固定電話の電話番号は「0(市内通話ではないことの識別子)」「市外局番(1〜4桁)」「市内局番(1〜4桁)」「加入者番号(4桁)」の4要素から成ります。
現行の電話番号制度では、加入電話(NTT東日本とNTT西日本が提供する固定電話)で「区域内(市内)料金」を適用できるエリアを「単位料金区域(MA)」というグループに分けて管理しています。
- →MA一覧(NTT東日本、PDF形式)
固定電話から同じMA内の固定電話に発信する場合、通常は先頭のゼロと市外局番を省いてダイヤルできます。言い方を変えると、同じ市外局番でもMAが異なる場合はゼロと市外局番は省けません。
同じ市外局番≠同じMA
「同じ市外局番ならみんな区域内料金」と思っている人もいるかもしれませんが、さまざまな経緯から同じ市外局番なのに異なるMAとなるケースも少なからず存在します。
例えば、NTT東日本エリアの「甲府MA(山梨県甲府市、甲斐市、笛吹市、市川三郷町の各一部、南アルプス市、中央市、昭和町の各全域)」とNTT西日本エリアの「沼津MA(静岡県沼津市、伊豆の国市の各一部、三島市、函南町、長泉町の各全域、裾野市のほぼ全域)」は、物理的にも離れているにも関わらず同じ「55(ゼロを含むと055)」という市外局番を“共有”しています。
甲府MA内にある固定電話から沼津MAにある固定電話に電話をかける場合(逆も同様)、市外局番は同じですが、先述の通りゼロと市外局番からダイヤルする必要があります。市外局番を省くと「市外局番を含めておかけ直しください」とアナウンスが入ります。もちろん、通話料金は区域外通話扱いです。
異なる市外局番≠異なるMA
逆に、さまざまな経緯から同じMA内に複数の市外局番が併存しているケースもあります。
例えば、NTT東日本エリアの「小田原MA(神奈川県小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、真鶴町、湯河原町、箱根町の各全域と静岡県裾野市のごく一部)」には2つの市外局番「465(ゼロを含むと0465)」「460(ゼロを含むと0460)」が存在します。後者は箱根町全域と裾野市のごく一部に、前者は他の市町に割り当てられています。
通常、同じMA内の通話は先頭のゼロと市外局番を省けるのですが、発信先の市外局番が異なる場合は省けません。市外局番が異なる場合でも、MAが同じなら通話料金は区域内扱いとなります。
間もなく事実上“過去”になるMA
これから説明する通話料金における「隣接区域」や「距離」は、MAの基準座標に基づいて計算されますが、基準座標の説明は割愛します(電話の設置場所までの実距離で決まるわけではないので注意してください)。
なお、加入電話と公衆電話の通話料金(時間)体系は2024年1月1日付で変更される予定です(参考リンク)。新しい体系では、通話先の距離や利用する時間に関わらない一律料金となるので、MAは単純な地理的区分となる見通しです。
固定電話宛(固定電話番号を使うIP電話宛やワイヤレス固定電話宛を含む)
固定電話宛の10円当たりの通話時間は、通話相手の電話番号が所属するMAと時間帯の関係によって変動する。なお、2024年1月からは距離や時間帯を問わず一律で10円当たり56秒となる予定だ。
- 区域内(同一MA宛)の通話
- 平日8時〜19時:56秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:56秒
- 平日23時〜翌8時:76秒
- 隣接区域(隣のMA宛)/20kmまでの通話
- 平日8時〜19時:39.5秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:39.5秒
- 平日23時〜翌8時:52秒
- 20km超30kmまでの通話
- 平日8時〜19時:26秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:26秒
- 平日23時〜翌8時:35.5秒
- 30km超40kmまでの通話
- 平日8時〜19時:21.5秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:21.5秒
- 平日23時〜翌8時:26.5秒
- 40km超60kmまでの通話
- 平日8時〜19時:16秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:16秒
- 平日23時〜翌8時:26.5秒
- 60km超80kmまでの通話
- 平日8時〜19時:11.5秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:15.5秒
- 平日23時〜翌8時:17秒
- 80km超100kmまでの通話
- 平日8時〜19時:10秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:15.5秒
- 平日23時〜翌8時:17秒
- 100km超160kmまでの通話
- 平日8時〜19時:8秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:14秒
- 平日23時〜翌8時:15.5秒
- 160km超の通話
- 平日8時〜19時:8秒
- 平日21時〜23時/土日祝日8時〜23時:12秒
- 平日23時〜翌8時:13.5秒
IP電話(050で始まる番号)宛の通話
「050」で始まる電話番号を持つIP電話宛の10円当たりの通話時間は、距離や時間帯を問わず一律だが、通話先の通信事業者によって時間が「17秒」「17.5秒」「18秒」と異なる。同じ事業者宛でもNTT東日本エリアの公衆電話とNTT西日本エリアの公衆電話で時間設定が異なるケースもある。
宛先事業者ごとの通話時間の設定は、NTT東日本やNTT西日本のWebサイトで確認してほしい。なお、2024年1月からは宛先事業者を問わず一律で10円当たり18秒となる予定だ。
- →NTT東日本エリアの時間設定(公衆電話発は下方)
- →NTT西日本エリアの時間設定(公衆電話発は下方)
携帯電話宛の通話
携帯電話宛の10円当たりの通話時間は、距離や時間帯、通話先キャリアを問わず一律「15.5秒」となる。この設定は、2024年1月以降も据え置かれる予定となっている。
国際通話
国際通話(海外宛の電話)に対応する公衆電話では、以下の国際電話事業者を介して利用できる。通話料金は100円(テレホンカードの場合は10度数)単位となり、利用する事業者や宛先の国/地域によって通話時間は変動する。
- KDDI(事業者識別番号:001)
- NTTコミュニケーションズ(事業者識別番号:0033、※11)
- ソフトバンク(事業者識別番号:0061)
(※11)2023年12月31日をもってサービスを終了する予定(参考リンク)
国際通話を行う前に、当該の公衆電話が国際通話に対応しているかどうか、以下の通り確認する必要がある。
- 緑色の最新モデル、ディジタル公衆電話:ディスプレイに「国際通話がご利用できます」と表示されている
- 緑色の旧モデル:ボディー正面のパネルが金色となっている
硬貨またはテレホンカードを使って国際通話を行う方法は、以下の通り。
- 受話器を上げるかオンフックボタンを押す
- 100円硬貨か10度数以上残量のあるテレホンカードを入れる
- 「プー」音を確認してから「事業者識別番号+010+国番号+電話番号」を入力する(※12)
- 相手先につながったら受話器を上げる(オンフックボタンを使った場合のみ)
- 通話が終わったら受話器を置く
- お釣りまたはテレホンカードを受け取る(※8)
(※12)「電話番号」は市外局番からダイヤルする。市外番号の先頭が「0」である場合、一部の例外を除いて「0」は入力しなくてよい(日本と同様、ほとんどの国/地域では先頭の「0」を市内通話でないことの識別符として扱っているため)
なお、2024年1月からはNTT東日本とNTT西日本も公衆電話用の国際電話サービスを提供する予定となっている。通話対象の国/地域や料金体系は後日発表される。
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