携帯端末「1円販売」は極端な廉価販売 公正取引委員会が実態調査
公正取引委員会は8月9日、携帯電話端末のいわゆる「1円販売」といった極端な廉価販売について、緊急実態調査を行うと発表した。通信料金と端末販売代金の分離下においては、“不当廉売”につながる恐れがあるという。販売代理店における足元の状況・広がりを把握する。
公正取引委員会は8月9日、携帯電話端末のいわゆる「1円販売」といった極端な廉価販売について、緊急実態調査を行うと発表した。
1円販売は特定の機種を条件付きで購入・契約すると、「一括1円」「実質1円」となるもので、2021年中頃から大手家電量販店や携帯電話ショップなどが行ってきた販売手法である。
こうした1円販売の背景として、2019年の改正電気通信事業法が挙げられる。同法では端末と回線をセットで販売する場合、端末価格の値引き上限を2万2000円(税込み)と定めている。しかし、端末単体での販売についての制限がないことから、販売店が独自に2万円を超える割引を提供することが可能となっていた。
公正取引委員会はこの1円販売について「通信料金と端末販売代金の分離下においては、“不当廉売”につながる恐れがある」と指摘する。現行法の抜け穴をかいくぐった策であるという指摘もある。
そのため、公正取引委員会はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのMNO4社とその販売代理店への書面調査に加え、MVNOと中古端末販売業者などへのヒアリング調査などを行う予定。販売代理店における足元の状況・広がりを把握するとともに、1円販売の構造と流通実態を明らかにするという。
調査の結果、不当廉売等につながるおそれがある事例や取引慣行などがあった場合、独占禁止法上・競争政策上の考え方を明らかにするとしている。
同委員会は2021年6月、「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」を公表しており、MNO3社へ自主点検や改善を要請した。各社から同年10月に改善結果などの報告があったが、1円販売などの極端な廉価販売について指摘されていたという。
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