モトローラの新折りたたみスマホ「razr 2022」は何が変わった? 過去2機種と比較:山根康宏の海外モバイル探訪記
モトローラの折りたたみスマホ「razr」シリーズ新作「razr 2022」が海外で発売された。フィーチャーフォン「RAZR」を現代によみがえらせたモデルで、縦に折りたたむ構造が特徴だ。落ち着いた高級感あるデザインで、日本での発売も期待したい。
モトローラから約2年ぶりとなる折りたたみスマートフォンの新製品「razr 2022」が海外で発売されています。razrは往年の名機であるフィーチャーフォン「RAZR」を現代によみがえらせたモデルで、縦に折りたたむ構造が特徴のモデルです。
縦折り式のスマートフォンは、本体をたたむと手のひらにすっぽりと収まる大きさになり、手軽に持ち運ぶことができます。また外側にあるカバーディスプレイを使っていくつかのアプリを動かすことも可能で、閉じたままでも電話に出ることもできます。カバーディスプレイはメインカメラのプレビューウィンドウにもなるので閉じたままの自撮りもできるのです。
縦折り式のスマートフォンはサムスン電子が毎年新モデルを投入している他、Huaweiも「P50 Pocket」を一部の国で販売中、またTCLが試作モデルを出すなど少しずつ製品の種類が増えています。では2022年モデルとなるrazr 2022はどのように進化したのでしょうか? これまでモトローラが発売してきたモデル「razr」(初代)、「razr 5G」(2代目)と外観を比較してみました。
これまでの「razr」と「2022」はどう違う?
3モデルとも同じ折りたたみ構造ですが、razrとrazr 5Gは閉じたときに本体の下部の出っ張った部分に上ブタ部分が収まるデザインです。これはフィーチャーフォン時代のRAZRのデザインをそのまま引き継いだものです。しかしrazr 2022ではこの「顎」の部分をなくし、上下をそのまま閉じる形状になりました。
背面はrazrが滑り止め加工の表面仕上げ、razr 5Gは光沢感のある高級なイメージにしています。一方、razr 2022はマット仕上げで表面をガラスとして「落ち着き」「高級感」を共存させています。
本体のサイズも微妙に異なっています。閉じたときのサイズは過去モデルよりも横幅が広く、縦が短くなっています。razr 2022のたたんだときのサイズは公式なものが公開されていないのですが、本体の横幅を比較すると以下のようにだいぶ幅が増えています。
- razr:72 mm
- razr 5G:72.6 mm
- razr 2022:79.8 mm
また側面から見ると大きさの違いだけではなくヒンジ部分の構造も異なっていることが分かります。3機種3様で形状が異なるのは、それぞれ改良が加えられたからでしょう。
本体を開いてみると最新のrazr 2022だけ顎がない分、本体に無駄なスペースがないことが分かります。しかし顎のある方が特徴的なデザインにも見えますね。この辺りは好みの差も出てきそうです。
ヒンジ部分を途中まで開いた状態も比較してみます。なお、3モデルともヒンジは途中で止めることはできず、本体を開く、または本体を閉じる、どちらかの形状で使います。この写真を撮ったときのように90度くらいの角度で立てることはできますが、ディスプレイは固定されないので、このままの状態で使うのはちょっと不安定です。
それでは本体を開いて比べてみましょう。初代モデルと2代目モデルは顎がある上にインカメラ部分にはノッチがありました。最新モデルはカメラがパンチホールになったこともあり、表示エリアは大きく広がっています。開いたときのサイズは以下の通りです。
- razr:72(幅)×172(高さ)×6.9(厚み)mm
- razr 5G:72.6(幅)×169.2(高さ)×7.9(厚み)mm
- razr 2022:79.8(幅)×167(高さ)×7.6(厚み)mm
丈夫になったディスプレイ面
さて、razrシリーズでちょっと気になるのがディスプレイ面の強度です。razrシリーズは折りたたんだときに、ヒンジ部分のディスプレイの伸びる遊びの部分をヒンジ内に収納する構造としているため、ディスプレイ表面が一般的なスマートフォンより軟質な素材になっています。初代モデルではヒンジ部分を中心にディスプレイが浮いた状態のため、斜めから見るとしわが目立つこともありました。2世代目モデルではかなり改良が進んでいます。そして最新モデルではディスプレイの表面はだいぶ硬くなり、しわも目立ちにくくなりました。
日本では2世代目のrazr 5Gが販売されましたが、価格はだいぶ高めでした(SIMフリーで税込み17万9800円)。縦折り式のスマートフォンは使いたいときだけ大画面を利用でき、普段はバッグや胸ポケットにもなる小型サイズになるのが大きな魅力です。日本の市場にマッチした製品でもあるだけに、razr 2022もぜひ日本で発売してほしいものです。
関連記事
- モトローラが方針転換「おサイフ対応SIMフリースマホ」投入の背景は?
モトローラは6月3日、割安なフラグシップモデル「motorola edge 30 PRO」と日本市場に特化した「moto g52j 5G」の2モデルを発売する。新モデルの投入の狙いを松原丈太社長が語った - フォルダブルスマホになって帰ってきたMotorolaの「razr」、使い勝手はどう?
CES 2020のLenovoの展示会場に、Motorola製のAndroidスマートフォン「razr(レーザー)」が出展されていた。世界的な大ヒットを記録したフィーチャーフォン「RAZR」のデザインを受け継ぐモデルだ。世界から集まった取材陣は、razrを手にして懐かしがったり、楽しそうに折り曲げたり、開いたり……。関心の高さをうかがえた。 - モトローラ、新型の折りたたみスマホ「moto razr 2022」を中国で発表 Snapdragon 8+ Gen 1搭載
モトローラ・モビリティが、中国で折りたたみスマートフォン「moto razr 2022」を8月16日に発売する。開くと6.7型メインディスプレイを、閉じると2.7型サブディスプレイを利用できる。アウトカメラは、光学式手ブレ補正対応の5000万画素の広角カメラと、121度の画角で撮影できる超広角カメラを搭載する。 - 「razr 5G」を試す 荒削りな部分もあるが、“縦折り”ならではの体験は魅力
ソフトバンク初のフォルダブルスマートフォンとして、モトローラの「razr 5G」が日本に上陸する。折りたたんだ状態のrazr 5Gは、ポケットにしまいやすく快適に持ち運べる。折りたたんだままアウトカメラで撮影できるのはメリットだが、約18万円という価格を考えると、シングルカメラには不満を覚えた。 - 折りたたみスマホ「razr 5G」はなぜ縦型? ヒンジの耐久性は? Motorola担当者に聞く
razr 5Gは、「伝説の名機」といってもいい「razr」をスマートフォンに進化させたモデル。折りたたみ型のディスプレイを採用したrazrとしては第2世代となり、5Gにも対応した。薄さを実現できた秘密や横型ではなく縦型の折りたたみスマホとした理由、閉じた状態で使い勝手を向上させた工夫などを聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.