目指したのは“国民機” シャープの「AQUOS sense7/7 plus」が単なるミッドレンジスマホと違う理由:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
シャープは9月26日、ミドルレンジの最新モデルとなる「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」の2機種を発表した。AQUOS sense7、7 plusでシャープが目指したのは、「ハイエンド並みの大型センサー」を搭載すること。7 plusはより大きなディスプレイを搭載し、動画を快適に視聴できるようディスプレイ性能も強化した。
ミドルレンジモデルで頭1つ抜けた存在になれるか? 目指したのは国民機
フルモデルチェンジを果たしたAQUOS senseシリーズだが、ミッドレンジモデルは今やスマートフォン市場の主戦場。もともとオープンマーケットの比率が高い傾向にあったが、2019年10月の電気通信事業法改正以降、キャリアで販売されるスマートフォンも急速にミッドレンジシフトが進んだ。早くからAQUOS senseシリーズを手掛けていたシャープは、Androidスマートフォンメーカーの中でトップクラスのシェアを維持しているものの、以前ほどの差がなくなりつつあるのも事実だ。
例えば、冒頭で挙げたMM総研の出荷台数調査では、スマートフォンに限ると、シェアはサムスン電子に抜かれ、3位に転落している。シェアの差は0.4%と僅差(きんさ)で、暦年の2022年なら2位は維持しているものの、Appleに次ぐ2位がシャープの定位置になっていただけに衝撃は大きかった。サムスン電子が徐々にシェアを高めているのは、Galaxy ZシリーズやSシリーズでブランド力を発揮しつつ、Galaxy Aシリーズの展開を増やし、数も取れてきている証拠だ。MM総研の調査では、2021年度上期に「Xperia Ace II」が好調だったソニーにも抜かれていた。
【訂正:2022年9月28日17時45分 初出時、Xperia Ace IIの製品名に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
こうした中、シャープも1月にはAQUOS senseシリーズより価格を抑えた「AQUOS wish」を、6月にはそのマイナーチェンジ版にあたる「AQUOS wish2」を投入し、エントリーモデルのラインアップを強化していた。一方で、AQUOS wishとAQUOS senseは、どちらも万人受けを狙うスマートフォン。エントリーモデルとの差別化をより明確にする上でも、AQUOS sense7、7 plusの機能性やデザイン性には磨きをかける必要がある。
カメラを大幅に強化したAQUOS sense7や、それに加えてディスプレイやスピーカーにも磨きをかけたAQUOS sense7 plusは、機能やスペックが団子状態になりがちなミッドレンジモデルの中で、きちんと差別化が図れているように見える。ハイエンドモデル並みのカメラをミドルレンジモデルでというコンセプトは、ユーザーにとっても分かりやすい売りになるはずだ。シャープのパーソナル通信事業部長、小林繁氏も「これを買っておけば間違いない“国民機”と呼んでもらえるものを目指した」と意気込む。
機能を強化した結果、価格が大幅に上がってしまうと販売にブレーキがかかってしまう恐れもある。これに対し、シャープは両機種とも、価格帯はこれまでのモデルと同水準を想定しているという。価格は取り扱うキャリアの戦略によっても左右されるため、一概には言えないが、従来のAQUOS senseシリーズ並みだとするとインパクトは大きい。AQUOS sense7、7 plusは、ミドルレンジモデルの選択基準をガラッと変えてしまう可能性を秘めたスマートフォンといえそうだ。
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