キャリアショップが「マイナンバーカード」申請をサポートする理由 実際に体験して分かったこと(2/2 ページ)
マイナンバーカードの申請をドコモショップで行った。なぜドコモショップが申請サポートを行っているのか。その狙いと課題を読み解く。
なぜ申請サポートをキャリアショップで行うのか
マイナンバーカードはもともと日本国内における行政関連手続きで個人を特定すべく、識別番号が付与されるプラスチック製のICチップ付きカード。これ1枚で氏名、住所、生年月日、性別、顔写真まで分かるようになっており、紛失したら大変なものだ。
マイナンバーカード申請をキャリアショップがサポートするためには、ショップでのリソースを割く必要がある。ドコモでは各店舗のスタッフが申請サポートを担う。「リソースの割き方は店舗ごとの判断に委ねられているが、スマホ教室でも講座を開いている」(ドコモ 営業本部 チャネルビジネス部 チャネル営業室 営業企画担当主査 中嶋大洋氏)とのことだ。
スマホ教室を受講した後に申請を行う人もおり、ドコモによると申請する人の多くが高齢者だという。中には契約の見直しや機種変更と合わせて申請手続きを済ませる人もいるという。ショップの利活用はドコモの思惑通り順調のようだ。
ただ一方で単にショップで申請サポートをやるだけでは、普及率100%を目指す国にとってはメリットはあるものの、キャリア側にはメリットはないだろう。
ドコモとしては「申請後、マイナポイントの受け取りにキャッシュレス決済サービスのd払いを選んでもらってこそ、得をするもの」と筆者は考える。その点をドコモにぶつけてみたところ、こう答えていた。
「デジタルに弱い人への還元をしていくことで、ドコモショップへ何度も来店してもらいたい、という考えもある。それにより、来店者に適したサービス(キャッシュ決済も含む)、端末の提案にもつながる」(山野氏)
さらにドコモは将来を見込んでいるからこそ、マイナンバーカード申請サポートを行うという。2023年4月以降にマイナンバーカードの機能の1つである「公的個人認証サービス(JPKI)」がAndroidスマートフォンに搭載される予定で、実現されればオンラインで本人確認が行えるようになる。
河野太郎デジタル大臣によれば、将来は行政や民間サービスの本人確認を、スマートフォンだけで完結できるようになるという。ただ、iOSについてはもっと先のことだ。
ドコモも「スマートフォンを持っているからこそ、もっとデジタルの世界に踏み込める」(中嶋氏)と考える。ケータイからスマートフォンへの移行のきっかけにもなると踏む。
実際にマイナンバーカードの申請サポートを受けてみて
実際、筆者もマイナンバーカード申請のサポートに賛成だ。普段からスマートフォンに慣れ親しんでいる人なら1人でもサイトの説明に沿って問題なく申請できるだろうが、スマートフォンに不慣れな人なら、そうもいかないだろう。撮影から申請までの“最初の関門”をしっかりサポートしてくれるのは安心できると感じた。
一方で告知の仕方や情報周知の在り方に工夫が足りず、店頭での手続きで何が必要になるのか、そういった情報はポスターなど目にはいるところには記載されておらず、筆者も実際に来店した後、顔写真撮影が必須である点を知った。
初めて申請する人にとっては、申請の何がメリットなのか、申請には何が必要なのか、どんな申請サポートが受けられるのか、も分かるところに明示してほしいところだ。
ともあれ、老若男女、多くの人が足を運ぶキャリアショップでこのような申請サポートを行うことには意義があると感じる。周囲で「よく分からないから」「面倒だから」といった理由でマイナンバーカードを取得してない人がいたら、キャリアショップでサポートを行っていることを伝えてみてはいかがだろうか。
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