mineoの契約数が「大幅に増加」した理由 “eSIM+低速使い放題”で複数回線のニーズに応える:MVNOに聞く(3/3 ページ)
オプテージがMVNOサービスmineoでeSIMサービスの提供を開始した。災害時や通信障害時のリスク分散ができるよう、利便性の向上が1つの目的だという。通信速度を抑えてお昼以外は使い放題の「マイそく」は、想定以上の申し込みが集まっており、300kbpsのプランはeSIMとの相性も良い。
3月以降、新規契約者数が継続して増えている
―― 楽天モバイルの“0円廃止”の受け皿にもなりそうですが、「UN-LIMIT VII」発表後の動向はいかがでしたでしょうか。
福留氏 (楽天モバイルの)新サービスの発表は、5月13日でした。通常だと、ゴールデンウイーク明けは季節トレンドとして獲得も解約も落ち着きます。これは、人の移動が一通り済んでしまうからだと思いますが、今年度(2022年度)については、ゴールデンウイーク明け以降も獲得が好調です。3月から順次開始しているため、それだけではないとは思いますが、楽天モバイルの影響もあったのではないかと考えています。
具体的には、今年3月に新サービス(マイそくや音声定額)をリリースしてから、新規契約者数は前年同期比で継続して増えています。ただ、6月から8月までの契約者数を見ると、約5倍と大幅な増加になっています。
―― 楽天モバイルの解約者数は6月末でいったん落ち着いていますが、その後、新規契約者が減ったというようなことはありますか。
福留氏 6月、7月、8月と変わらずですね。9月も前年同月と比較すると、継続して増加しています。
業界最安水準が受け、音声定額の好調
―― マイそくと前後して、音声定額サービスもリニューアルしています。こちらの状況はいかがですか。
福留氏 3月1日から時間無制限のかけ放題と10分かけ放題の提供を開始しましたが、こちらは順調に推移しています。トリプルキャリアで、しかも業界最安水準で提供しているのが要因です。新規加入時のバンドル率は、以前だと8%程度でしたが、サービス開始後には3割程度まで持ち上がってきています。回線獲得にも貢献しています。
―― 要因として、やはり値段が大きかったのでしょうか。アプリ不要になった影響はいかがですか。
福留氏 値段と使い勝手の両方ですね。専用アプリ不要というのは大変ありがたいといった声をいただいています。10分かけ放題は、マイそくライトと組み合わせると1210円でご利用いただけます。音声通話主体のお客さまには、使い勝手のいいサービスではないでしょうか。
取材を終えて:eSIMとマイそくライトは好相性、サービス拡充にも期待
いざというときのバックアップ回線にしやすいeSIMは、確かにマイそくライトのような料金プランと相性がいい。提供タイミングを合わせたことが、好調の理由といえそうだ。データ容量ではなく、通信速度で変動する料金プランは帯域を借りるMVNOならではのサービス。高速回線や大容量を売りにし、巨額の投資で作り上げた設備をめいっぱい使ってもらいたいMNOだとなかなか投入しづらい。eSIMという武器を手にして、その魅力がさらに増した格好だ。
一方で、金額だけを見ると、他社にはさらに安価な料金プランがある。代表的なのは、日本通信や同社が支援するHISモバイルの290円プランだ。安価ではあるものの、マイそくは最低660円。バックアップ用途を強く打ち出すのであれば、プリペイド的なサービスも必要だと感じた。今後のサービス拡充に期待したい。
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