ドコモに聞く「smartあんしん補償」の狙い なぜ「ケータイ補償」を刷新したのか:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
スマートフォンが高額化する中、今や補償サービスへの加入は必須といえる状況だ。そんな中、ドコモは9月に「ケータイ補償サービス」をリニューアルし、以降発売される端末に向け、「smartあんしん補償」を開始した。最短で当日にはリフレッシュ品が手に入るサービスの手厚さで人気を博していたケータイ補償サービスだが、なぜあえてここに手を加えたのか。
核となるスマートフォンの補償もサービスを強化、1月には持ち込み端末対応も
smartあんしん補償へのリニューアルと前後し、核となるスマートフォンそのもののアフターサービスも強化している。最近では、端末が故障した際の「ユーザーニーズが多様化している」(和田氏)ため、リフレッシュ品への交換だけでなく、修理にも注力する。その一環として、直近では「Galaxyリペアコーナー」を拡大。2022年3月にドコモショップ丸の内店にオープンした修理コーナーを、9月に計9店舗まで拡大。首都圏だけでなく、札幌店や仙台一番町店など、地方の店舗も増やした。
Galaxyリペアコーナーは、約60分でディスプレイ割れや外装交換などの修理が行われる。初期化は不要で、基板などの故障でない限り端末内のデータもそのまま残る。このGalaxyリペアコーナーでの修理も、ケータイ補償サービスやsmartあんしん補償サービスの対象。料金の上限は4400円または5500円になるため、高額なハイエンドモデルを使っていると、安心感が高い。現状では、「リフレッシュ品への交換が多い」というが、「なるべく早く、安くという人もいる」(同)。
今後の拡大に関しては、「お客さまのニーズと収支に鑑みてになるが、なるべく広くやりたい思いがあり、てんびんにかけて検討している」(同)という。Galaxy以外では、2店舗に「iPhoneリペアコーナー」を設けている一方で、他のAndroidスマートフォンは「現時点では白紙だが、検討はしていく」(同)状況だ。こうした店頭での修理対応が一般的になっていけば、リフレッシュ品への交換と修理の比率は、徐々に変わっていく可能性もある。
大々的にはアピールされていないが、1月には持ち込み端末への対応も開始した。当時はケータイ補償サービスだったが、「smartあんしん補償も当然対応している」(同)。「デバイスの指定はあるが、他社(他キャリアやメーカー)の販売した端末も対象になる」(同)という。料金は、iPhoneの場合、ドコモが販売するモデルと同額。「ドコモが出していないもので、補償に対応しているものは、近しい価格のデバイスと同額の負担金になる」(同)という。
適用の条件は、ドコモ回線の契約と同時か14日以内に加入すること。逆に言えば、既存の契約者がオープンマーケットの端末を購入しても、smartあんしん補償に入ることはできない。保険ではなくアフターサービスのため、回線契約と関係なく購入した場合に適用するのが難しいという理屈だ。機種変更はドコモですれば解決はするものの、端末の買い方が徐々に多様化しているだけに、適用範囲の拡大には期待したい。
また、現状では対象端末のほとんどがKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの販売したキャリアモデルで、メーカーモデルはiPhoneやiPadに限定される。ソニーやシャープ、サムスン電子はもちろん、Xiaomi、OPPOなどがオープンマーケットで販売したモデルにも非対応だ。主にMVNOからドコモに移るユーザーが対象外になるケースが多そうなだけに、オープンマーケットで販売されるAndroid端末をどう取り込んでいくかも検討していく必要がありそうだ。
こうした課題はありつつも、現状のsmartあんしん補償は、他社が提供する同種のサービスと比べても、充実したサービスに仕上がっている。この手厚さは、2006年にケータイ補償 お届けサービスをいち早く開始したドコモならではだ。端末のラインアップやネットワーク品質、料金プランだけではキャリアの差別化が難しくなっている今、アフターサービスの重要性は増している。同時に、端末が高額化する中、何かあったときの安心感も一段と求められるようになった。smartあんしん補償は、そんな時代の要請に応えたサービスといえる。
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