最近よく街で見かけるようになった「iPhone修理」「壊れたiPhone修理します」といった看板。いわゆる街の修理屋さんだ。具体的にはバッテリー交換の他に画面割れといった項目がサービスの内容となっている。中には即日修理とうたう店もあり、ユーザーからすればすぐに壊れたiPhoneを直してくれるのは魅力的だが、いくつか注意点があるので紹介する。
本当に法律に触れないの?
まずは法律の問題だ。
それは技適。技適は技術基準適合証明ともいわれるもので、この認可をスマートフォンをはじめとする通信機器メーカーが認可を取り、いわゆる“技適マーク”を機器本体、あるいはディスプレイに表示できるようにしている。
だが、機器を製造するメーカーではない者が、それらの機器を分解、改造すると、技適から外れてしまう(電波法38条の7第4項)。さらにモバイルデータ通信、音声通話、Wi-Fi、Bluetoothといった無線機能を使うと、電波法違反に問われる可能性があるのだ。
こうしたことなどを避けるべく、総務省は2015年4月に「登録修理業者制度」を施行した。総務省は技術基準に適合しているかどうかを修理業者自らが確認でき、登録基準に適合する場合には総務大臣の登録を受けることが可能になるという制度だ。
なので利用者は修理サービスを提供している店が、総務省から認められているかどうかを確認する必要がある。見極めは難しい? そうでもない。総務省が認めた登録業者は登録修理業者リスト検索というWebページにて確認できるようになっているし、店側で登録業者である点を明示しているケースもある。
データは念のため初期化しよう
修理業者の中には「データそのままでOK」という点を売りにしているところもあるが、自分の使っているiPhone、スマートフォンをいったん他人に預ける、ということに他ならないので、念のためデータのバックアップをした上で、初期化を行ってから修理業者に預けよう。
バックアップはiPhoneを例に挙げると、以下の手順で行える。
- 設定→「自分の名前」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」の順に進む
- 「iCloudバックアップ」をオンにする
- iPhoneが電源とWi-Fiに接続され、ロックされているときに、毎日iPhoneのバックアップがiCloudに自動作成される
手動バックアップを実行するには、「今すぐバックアップ」をタップする。なお、iCloudに空き容量がなければ、別途月額料金を払って空き容量を確保するか、iPhoneの写真や動画をmicroSDカードに移行できるバックアップツール(市販のアクセサリ)を利用するといいだろう。
Apple正規サービスプロバイダかどうかも確認しよう
Appleの修理規約によると、Appleが認定した正規修理業者以外の店に端末を預けて、万が一壊れた状態(部品破損など)で手元に戻ってきた場合、Appleによる補償はない。Apple正規サービスプロバイダと独立系修理プロバイダの違いはAppleの公式サイトから確認できるようになっている。Apple Care+に加入している人なら、この内容も留意しておく必要がある。
1.11.6 不正改造の開示と Apple 以外によるサービス。お客様が製品に対して不正な改造を施している場合や、製品に対して Apple または Apple 正規サービスプロバイダ (以下「AASP」といいます) 以外の手による修理または交換を行った場合は、お客様にはサービスの注文過程で Apple に通知していただく必要があります。不正改造や、Apple または AASP 以外の手による修理または交換が原因で、修理中に何らかの損傷が製品に発生した場合、Apple は一切責任を負いません。損傷が発生した場合、Apple は、製品が保証または AppleCare サービスプランの対象であっても、サービスを完了するために発生する追加の費用についてお客様の承認を求めます。お客様が承認を拒否された場合、Apple は、お客様の製品を未修理のまま損傷が残る状態で返却する場合があります。その際、Apple は一切責任を負いません。
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