楽天ペイメントがタッチ決済を“クレカとスマホ”の両軸で攻める理由
楽天ペイメントが「楽天ペイ メディア向けセミナー」開催。同社がタッチ決済と楽天ペイの現状を解説した。タッチ決済市場に楽天ペイメントはどう踏み込むのか……?
楽天グループ傘下で決済・マーケティング事業を手がける楽天ペイメントは「楽天ペイ メディア向けセミナー」を開催。タッチ決済市場の現状と楽天ペイメントとしての取り組みについて、楽天ペイメント 楽天ペイ事業本部 マーケティング&編成部 ユーザーマーケティンググループ マネージャー 奥村祥語氏が説明した。
タッチ決済のメリットは大 徐々にワードも浸透
ここ最近「タッチ決済」というワードが飛び交う。これは基本的にスマートフォンではなくクレジットカードを用いたものとして示されることが多い。
これまでのクレジットカードはわざわざ財布から取り出した後、店の読み取り機に挿入し、サインするか暗証番号を入力するかのどちらかが必要だった。
しかもこれまでだとスワイプの繰り返しによる磁気低下、店員への手渡しによるカード番号の漏えい、といった点が懸念されており、デメリットがそれなりに浮き彫りになっていた。「店員さんに渡すのが面倒」「他人にクレジットカードを渡すのが不安」という声はよく聞く。
それがクレジットカードを読み取り機にかざす(タッチする)だけで決済が済み、これまでのサインや暗証番号の入力が不要になる。こうしたメリットをひっさげ、2020年開催のオリンピックに向けて、「Visaのタッチ決済」をはじめとする、いわゆるクレジットカードのタッチ決済普及に向けた動きが加速している。
世界各国のキャッシュレス比率を見ると、日本は世界の3割がキャッシュレス化している一方で、現金での決済が7割。アジア圏を見ると中国や韓国では8割がキャッシュレス化している。2021年に35%まで成長。政府は2025年までに4割をキャッシュレス化、2030年には完全キャッシュレスに移行させる考えを示している。
Visaのタッチ決済は公共交通機関、コンビニ、スーパーなど使える店舗が増えている。世界を見るとタッチ決済比率は50%。日本は20%未満と少ないが、これから成長するとの見方がある。Visaのタッチ決済というワードもCM、広告ともに増え、目にする機会も多くなってきた。
決済手段ごとのキャッシュレス推進状況を見ると、クレジットカードが最も多い27.7%。「2021年と比べて増えている」と奥村氏。タッチ決済の流れにさおさすように楽天カードでもVisaブランド付きのクレジットカードを2005年から、Mastercardブランド付きのクレジットカードを2009年から発行してきた。最近ではタッチ決済に対応するカードを積極的に発行している。
だが、楽天カードと楽天ペイメントは単にクレジットカードのみに着目せず、クレジットカードでもスマートフォンでもタッチ決済ができるようなサービス作りに努めているという。それが楽天ペイと楽天カードタッチ決済だ。
クレカとスマホのダブルでタッチ決済
まず楽天ペイについてはQRコードだけでなく、最近、これまでのクレジットカードに加え、Android版「楽天ペイアプリ」でもVisa/Mastercardブランドのタッチ決済(EMVコンタクトレス決済)を使えるようにした。Google PayではVisa/Mastercardブランドのタッチ決済が使えない。
なお、iPhoneユーザーでもカードの券面にVisaやMastercardのロゴがある場合はタッチ決済が使える。厳密にはQUICPay/QUICPay+と、各ブランドのタッチ決済(EMVコンタクトレス)を利用できる。
また、タッチ決済機能非搭載カードでも、国際ブランドがVisaかMastercardなら、楽天ペイアプリに登録した後、スマートフォンのNFCを使い、店頭でVisaかMastercardのタッチ決済が使える点も両社はアピールしている。なお、タッチ決済非対応のVisaとMastercardブランド付きのクレジットカードを持っている場合は、スマートフォンを介してタッチ決済を使える。もしクレジットカードでのタッチ決済を希望する場合は、クレジットカードの更新も行っているという。
つまり、クレカの新常識をスマートフォンにも――というのが楽天カードの直近のアピールポイントだ。この対応は「コード決済アプリ(事業者)としては国内初」(奥村氏)とのこと。
スマートフォンでタッチ決済――と聞くと、既にある「SuicaやPASMOの電子マネーで済むのでは?」と考える人もいるだろう。だが、楽天カードと楽天ペイメントとしては、国内外でも広く使える、そして知られている「VisaかMastercardでの決済」も合わせて訴求する。これにより、キャッシュレス決済の裾野を広げていく狙いだ。
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