「高齢者の携帯電話契約」は面倒? 販売店スタッフの尽きない“悩み”:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/3 ページ)
電気通信事業法の改正などを通して、携帯電話ショップにおける「料金に関するトラブル」は以前よりも少なくなりました。しかし、その代わりに目立ってきたのが「高齢者の携帯電話契約にまつわるトラブル」です。店舗スタッフは、高齢者の携帯電話契約にどのように取り組んでいるのでしょうか。元ショップスタッフの筆者が話を聞いてみました。
高齢者の契約にまつわるトラブル、どうやって防ぐ?
高齢者の携帯電話契約にまつわるトラブルの回避指針は、先述の通り業界のガイドラインに支えられている面が少なからずあります。しかし店舗側でも、独自の工夫によってトラブルの未然防止に努めているようです。
キャリアが用意してくれている高齢者向けのリーフレットだけでは説明が十分ではないのかも……と考えています。そのため、もっとわかりやすく説明しようと店舗で独自に「重要な部分を抜き出し、さらに簡単な言葉やイラストでまとめたツール」を作って説明しています。
来店された高齢のお客さまに購入や契約の意思があっても、ご家族の承諾を取れない場合もあります。承諾は取れるとしても、同伴は難しいというケースもあります。
そこで、私たちの店では、高齢のお客さまが来店された場合に、申し込み内容を紙に書き出したものをいったんお持ち帰りいただいて、ご家族に契約内容を理解頂いてから再度来店頂いて契約をするルールとしています。
場合によっては「取れるはずだった1回線」「売れるはずだった1台」を逃してしまうことにもなってしまいますし、そうでなくともお客さまには面倒をお掛けすることになります。しかし、トラブルを未然に防ぐという観点では、店舗から見ると「安全」ですし、お客さまから見ると「安心」につながると考えて、このようにしています。
とりわけ高齢のお客さまにとっては、購入後のサポート体制も大事です。今までの経験では、お客さまご本人からの「使い方がわからない」という相談はもちろんですが、ご本人以外の家族から「(スマホを買った本人が)操作方法を分かってないせいで、連絡が付かなくなった」というクレームを受けたこともあります。
幸いにも、私の勤める店では定期的に無料の「スマートフォン教室」を実施しているので、高齢のお客さまが購入された場合は、次回の教室の案内をしています。こうすることで、新しい携帯電話が使えずに困ってしまい、“ホット”な心境で再来店、とならないようにしています。
高齢のお客さまが再来店した際は、必ず「料金診断」を行っています。
スマートフォンに変えると、ほぼ例外なくプランを変えざるを得ません。データ通信量が増えることで、月額料金が高くなる要素も増えてしまいます。
店舗としても、当然ながら説明はあらかじめ行っています。しかし、いくら説明しても、いざ請求が発生して、しばらくしてから「高い」と言われてしまうこともあります。
そこで、来店時に「スマホに変えていくらになったか」「どんな使い方をしているのか」「この請求金額は妥当かどうか」などを確認し、お伝えすることで後からのトラブルを未然に防ぐようにしています。
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