南海グループが「Visaのタッチ決済」乗車サービスの継続/拡充を決定 インバウンド旅客の取り込みを促進
南海電鉄とその子会社(南海グループ)が三井住友カードなどと進めてきた「Visaのタッチ決済」と「デジタルきっぷ」による交通利用の実証実験が12月11日をもって終了し、翌12日から正式なサービスとして提供されることが決まった。正式サービス化に伴い、利用対象の駅の追加などサービスの拡充を図っていくという。
南海電気鉄道(南海電鉄)、泉北高速鉄道、南海りんかんバスと南海フェリーは12月6日、三井住友カード、QUADRAC、ビザ・ワールドワイド・ジャパンと共同で行ってきた「Visaのタッチ決済による交通利用」と「QRコードを用いたデジタルきっぷ」の実証実験を12月11日付で終了し、12月12日から正式なサービスとして継続提供することを発表した。正式提供に伴い、さらなるサービスの拡充も行っていくという。
正式サービス化に伴うサービス拡充も実施
正式サービス化に伴い、先述の4社はタッチ決済やデジタルきっぷに関するサービスの拡充を実施する。
鉄道/索道全駅の「タッチ決済」「デジタルきっぷ」対応化
南海電鉄では現在、同社が指定する鉄道と索道(高野山ケーブルカー)の駅でのみVisaのタッチ決済とデジタルきっぷを利用できる(参考記事)。同社では2023年度から順次、鉄道/索道の全駅でタッチ決済とデジタルきっぷを利用できるように設備の設置を進める。
南海グループ全体としても、2025年に開催される「大阪・関西万博」を見据えてタッチ決済やデジタルきっぷの対応エリアを拡大していくという。
Visaのタッチ決済は現在、南海電鉄が指定する鉄道と索道(高野山ケーブルカー)の駅と、泉北高速鉄道の全駅で利用できる。2023年度(2023年4月)からは、南海電鉄における非対応駅でも利用できるように順次設備の設置を進めていく
3種類のきっぷに対応する改札機の設置(泉北高速鉄道)
Visaのタッチ決済やデジタルきっぷを使って泉北高速鉄道線に乗車する場合、現在は各駅(※1)にある有人改札口を通る必要がある。
そんな中、泉北高速鉄道では2022年12月12日から、各駅(※1)に「交通系ICカード」「タッチ決済」「デジタルきっぷ」の3種類の乗車券に対応できる自動改札機の運用を開始する。交通系ICカードを含む3種類の乗車券に対応する自動改札機は、日本初導入だという。
(※1)南海電鉄との共同利用駅である中百舌鳥駅を除く(中百舌鳥駅では南海電鉄が設置したリーダーを利用)
タッチ決済における運賃キャップ制導入(南海りんかんバス)
南海りんかんバスは、高野山周辺を走る路線バスでVisaのタッチ決済による乗車に対応している。
今後、同社ではタッチ決済での乗車分に対して1日当たりの収受運賃に上限を設ける「キャップ制」を導入する。収受の上限額は「1日フリー乗車券」の販売額と同額(大人840円)となる見通しで、導入されれば1日フリーきっぷをタッチ決済で代用できるようになる。
具体的な導入時期は、今後改めて発表される。
他ブランドのタッチ決済への対応
現在、南海グループにおけるタッチ決済での乗車は、Visaブランドのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードにのみ対応している。
今後、同グループでは、Visaブランド以外の「EMVコンタクトレス」に準拠する非接触対応カードを使った乗車への対応を進める。具体的な対応時期は、準備ができ次第発表される予定だ。
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