衛星インターネットサービス「Starlink」が大幅値下げ――光回線や宅内ルーターとも真っ向勝負の値付けに唖然:石川温のスマホ業界新聞
米SpaceXが展開する低軌道衛星インターネットサービス「Starlink」が突如月額料金を値下げした。日本でのサービス開始以来2度目の値下げとなる。サービスの利用に必要なアンテナとルーターのセットも期間限定で半額とするなど、ユーザーを思いきって獲得する姿勢が見受けられるのだが、ある程度ユーザーを獲得したら値上げするのではないかという不安もある。
イーロン・マスク氏がCEOを務めるSpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」が1月13日、月額サービスの料金改定をすると発表した。
値下げされた新料金はRVプランで9900円。従来が1万3700円だったため、3800円もの値下げになる。ちなみに同社は12月にも料金改定を行ったばかりで、その前は1万5100円だった。
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このRVプランというのは、その名の通り、RVなどのクルマに乗せて、日本全国どこでも利用できるというプランだ。自動車での移動時を想定しているため、利用のオンオフが設定でき、使わないときはオフにして料金を支払わないことができるのだ。
自分は普段、自宅では光回線がメインなので、RVプランに切り替えてしまっていた。
一方、固定住所向けプランとなるレジデンシャルでは、月額6600円となっている。これもサービス当初は1万2300円、さらに12月に1万1100円に値下げとなっていただけに、あっと言う間にサービス開始当初の半額になってしまった。
さらに驚きなのが初期費用だ。アンテナ代(Wi-Fiルーター含む)が従来の7万3000円から3万6500円と半額になってしまった。こちらは期間限定価格であるため、いつまでこの価格で買えるかは微妙だが、これで導入を検討する人も一気に増えたのではないだろうか。
月額6600円で、固定ブロードバンドが使えるようになるとなれば、国内の光インターネット回線、宅内向けWi-Fiルーターなどと充分、渡り合える料金競争力があるのではないか。
衛星アンテナを設置するため、マンションなどのベランダに置いて利用するというのは不可能に近い。郊外の戸建て住宅向けということになる。
通信速度も速ければ200Mbpsを超える。TeamsやZoomなど、リアルタイムのビデオ通話に関してはやや不安な面は少なからずある。しかし、ガッツリ仕事に使うと言うのではなく、プライベート用のインターネットとして、Netflixを見る程度であれば、全く問題ないだろう。
今回の料金値下げ、ユーザーにとっては大歓迎なのだが、なぜ、このタイミングで、しかも、2ヶ月連続で料金改定してきたのか全く謎である。「思った以上に顧客獲得が進んでいない」という可能性があり、テコ入れを狙っていることは考えられる。
ただ、一方で、今後、顧客獲得が順調に進んだ場合、ある日突然、値上げ方向に踏み切ることも考えられそうだ。
DAZNがそうであったように、一定の顧客獲得をして、競争相手が居ないとわかれば、否応なしに値上げするということもあるだけに、ユーザーとしては戦々恐々とした日々を過ごすことになりそうだ。
© DWANGO Co., Ltd.
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