好調「povo2.0」の向かう先 サブ回線の利用増でも“基本料金0円”を維持できるワケ(3/3 ページ)
2022年9月に1周年を迎えたpovo2.0だが、2022年は楽天モバイルの0円プラン廃止や、KDDI自身の大規模通信障害もあり、バックアップ回線としても再び脚光を浴びた。トッピング自体は、サービス開始当初から大きくは変わっていないが、期間限定のトッピングを投入している。KDDI Digital Lifeの秋山敏郎社長は、「本来挑戦したかったところにはまだ至っていない」と話す。
国際ローミングやApple Watchの対応は?
―― ちなみに、次のステップとして国際ローミングはいかがですか。今のところ対応していませんが、海外渡航も復活してきたので、ニーズはありそうです。
秋山氏 まだ決まっていないので言いづらいのですが、本気で取り掛かっているところです。これまでは、日々の細かな顧客体験を向上させることにリソースを使っていましたが、今、そのリソースを(国際ローミングに)当てる動きをしています。お声があるのは分かっているので、やらなければいけないと思っています。
ただ、個人的にはあるべきローミングの姿に悩んでいたところもあります。今はeSIMの時代なので、データ通信に関しては現地の安いプランをオンラインで買うのがあるべき姿なのではないかと思っていたところもありました。そのために優先順位を下げていたところもあります。とはいえ、(海外のeSIMを購入するのは)面倒といえば面倒なのは、やはりあった方がいい。電話の需要もあるので、やはりやらなければいけないと反省し、準備をしています。
―― Apple Watch対応もあるといいですね。
秋山氏 それも根強いお声があります。Apple Watchは単体で番号を持つことができるので、そこにpovo2.0を入れられたら……という声はあります。そこまでお客さまの数を見込めないというのが正直なところですが、(対応するのがpovo2.0の)あるべき姿だと思っています。
eSIMはチャットを通さず再発行可能に
―― eSIMの再発行時にサポートとチャットをしなければいけないのは、改善予定がありますが。
秋山氏 実はもうサポートを通さなくてもよくなっています。
―― なんと。いつの間に。
秋山氏 (2022年)12月からです。非常に不満の声が多いことは重々承知していたので、直しました。ただ、大々的に言うことでもないか……と思っていので静かにしていました。
―― (アプリを確認しながら)ホントだ。アプリに再発行のボタンがありますね。これはもっとアピールした方がいいと思います。最後に、冒頭のお話に戻りますが、1段目を切り離したロケットは、全何段あるうちの1段目なのでしょうか。
秋山氏 僕の中では3段ぐらいあるイメージで動いています。2023年は、次のステップに行ったと分かる1年にしたい。povo2.0はまだまだ完成形ではないので、ギガ活をもっと進めたり、いろいろなシーンで使いたいときに使えるようなトッピングを打ち出したりしていきたいですね。
取材を終えて:“2段目のサービス”が多数出てくることに期待
2022年は、楽天モバイルの0円撤廃やKDDI自身の大規模通信障害で、くしくもサブ回線、バックアップ回線が注目を集めた1年だった。いざというとき、すぐに使えるというのは、まさにpovo2.0のコンセプトの1つ。偶然か必然かはさておき、同ブランドが時代を先取りしていたことが改めて浮き彫りになった。
さまざまな形で期間限定トッピングを投入しているのは、テストマーケティング的な意味合いもあるようだ。季節性のあるトッピングも、povo2.0らしく面白い。一方で、定番のトッピングは徐々に入れ替えてもいいような気がした。秋山氏が述べていたように、povo2.0は、今、1段目のロケットを切り離したところだという。その意味で、2023年は“2段目のサービス”が、多数出てくることに期待できるかもしれない。
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