完成形ではない「ドコモのオンライン窓口」 リアル店舗と同じことが即実現できないワケ:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
NTTドコモは、2月28日に「オンライン来店」、3月27日に「オンライン手続きサポート」を開始する。どちらも、自宅などにいながらにしてサポートを受けられる仕組みで、サービス利用料は無料。オンラインシフトをにらんだサービスだが、現状ではオンライン来店とオンライン手続きサポートの明確な差が出ているとはいいづらい。
NTTドコモは、2月28日に「オンライン来店」、3月27日に「オンライン手続きサポート」を開始する。2つを合わせた総称が、「ドコモのオンライン窓口」だ。どちらも、自宅などにいながらにしてサポートを受けられる仕組みで、サービス利用料は無料。サービスのオンライン化を進めるための手段として導入される。
前者は以前から、ドコモの代表取締役社長、井伊基之氏が導入を表明していたものだ。コロナ禍でショップへの来店数が減少するなか、オンラインへとかじを切ることでドコモショップの数も3割程度削減される見通しだ。後者は、既存のオンライン手続きのサポートを手厚くしたものと見ていいだろう。2つの新サービスの導入で、キャリアショップの在り方が大きく変わっていく可能性がありそうだ。
来店と手続きサポートの2つをオンライン化、異なるそれぞれの位置付け
ドコモのオンライン窓口は、2つのサービスを合わせた総称だ。1つが、リアルショップをほぼそのままオンラインに置き換えたオンライン来店。もう1つが、スマートフォンやPCから契約や料金プランの変更ができる「my docomo」の操作などをサポートするオンライン手続きサポートだ。いずれも、料金は無料だが、その中身は大きく異なる。
まず、オンライン来店はその名の通り、オンラインでショップを訪れるイメージに近い。ユーザーは、対応しているショップの中から訪問したい店舗を選び、予約をする必要がある。応対するのも、それぞれのドコモショップのスタッフだ。対面での接客を、ビデオ通話に置き換えたものといってもいいだろう。
現状では、新規契約や機種変更は“相談”にとどまるものの、料金プラン変更の場合、ショップスタッフに相談した上で、その場で実行してもらうことができる。オプションなど、各種サービスの手続きもビデオ通話ごしでショップのスタッフに頼むことができる。スタッフはアバターで表示されることもあるというが、一般的なWebやアプリでの手続きとは異なり、その先に人が介在している安心感がある。
もう1つのオンライン手続きサポートは、あくまでサポートの延長線上にあるサービスだ。手続きはユーザー自身がmy docomoなどで行うが、その際の疑問点などを相談できる。あくまで相談だけだが、新規契約や機種変更にも対応しており、オンライン専用プランのahamoも対象だ。ahamoに魅力を感じている一方で、完全にセルフサービスになってしまうのには不安を感じるユーザーには、いい選択肢になりそうだ。
2つのサービスはオンラインという点で共通しているため、ドコモのオンライン窓口という同一のブランドの元で展開されるが、その性格や利用するユーザー層は異なりそうだ。前者は、どちらかといえば携帯電話に関するリテラシーがあまり高くないユーザー、後者は普段から手続きをオンラインで済ませているユーザーに向いたサービスといえる。同じオンラインでも、ユーザーの多様性に合わせて提供形態を変えているというわけだ。
関連記事
- ドコモショップの手続きを自宅で ビデオ通話で応対する「ドコモのオンライン窓口」2月末開始
NTTドコモは、携帯電話の手続きサポートする新サービス「ドコモのオンライン窓口」を発表した。ドコモショップの手続きをビデオ通話で行える「オンライン来店」と、オンライン利用時の疑問点を相談できる「オンライン手続きサポート」を順次提供する - “オンライン来店”がドコモショップ大量閉店の受け皿に 「ドコモのオンライン窓口」提供の背景
NTTドコモが2月28日に「ドコモのオンライン窓口」は、ドコモショップをどう変えるのか。記者説明会で語られた内容をもとにレポートする。 - 「ドコモショップ3割削減」の先にあるもの 井伊社長に聞く
ドコモショップを3割削減する方針を明らかにしているNTTドコモ。単に削減するだけでなく、リアル店舗にオンラインを融合させた「ハイブリッド店舗」の推進を目指しているという。その意図はどこにあるのか。また、ショップの役割は今後、どのように変わっていくのか。 - 携帯ショップ“大量閉店時代”をどう乗り越える? スタッフ育成とオンライン化の取り組み
携帯ショップが迎えた“冬の時代”をどう乗り越えるか。ワイヤレスジャパン 2022ではモバイル業界の3人の社長が戦略を語った。後編では田中電子の人材強化の姿勢と、ピアズのオンライン接客への取り組みを紹介する - “メタバースなソフトバンクショップ”開設 24時間365日いつでもサポート
ソフトバンクは「ソフトバンクショップ in ZEPETO」を6月23日にオープンした。「ZEPETOアプリ」(Android/iOS)をスマホなどにダウンロードし、3Dアバターを作った上で同店へ来店すると、メタバース空間でアバターによる接客などが受けられる。サービスの契約や、端末、アクセサリーなどの購入はオンラインショップへ推移し、ユーザー自身が行わなければならない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.