Snapdragon 8 Gen 2は世界初の「iSIM」商用版搭載に eSIMを発展させた技術規格:MWC Barcelona 2023
QualcommとThalesは、SoC統合型の「iSIM」がeSIMの認証を取得したことを発表した。iSIMによる認証取得は世界初としている。消費電力の低減や、回路の小型化が見込める
スペイン・バルセロナで開催中のMWC Barcelona 2023にて、QualcommとThales(タレス)は、プロセッサ統合型のSIM「iSIM」がGSMAのセキュリティ認定で承認されたと発表した。
iSIM(Integrated SIM)は、eSIMを発展させた技術規格。eSIMが単体の専用チップを必要とするのに対して、iSIMはメインプロセッサの機能の一部として認証機能を提供する。iSIMの導入により、基板の小型化や、消費電力の大幅な削減が見込めるため、小型スマートフォンやIoTデバイスなどにモバイル通信機能を搭載しやすくなる。
両社は今回、スマートフォン向けのSoC「Snapdragon 8 Gen 2」にiSIM機能を搭載した。標準化団体のGSMAによる認証(GSMA eUICC Security Assurance certification)を取得し、商用のモバイル通信サービスでeSIMとして利用できることを確認した。メインプロセッサ統合型のSIMによる同認証の取得は世界初としている。
両社のプレスリリースでは、調査会社のKaleido Intelligenceによる市場予測を紹介している。予測によると、iSIMは既存のSIMカードやeSIMを補完する存在として普及が進み、2027年までに3億ユニットのiSIM搭載製品が市場に流通し、eSIMの出荷全体の19%を占めると見込みとしている。
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