カメラの「1型センサー」は1インチではない? 型/インチにまつわる意外な事実:スマホで役立つカメラ用語解説(1/2 ページ)
カメラの画質の話になると必ず挙がる「センサーサイズ」の話。センサーサイズは「型」か「インチ」で表記されるが、そこにはどんな違いがあるのか。また、どんな歴史があって「型」と呼ばれるようになったかも紹介する。
1型センサーと1インチセンサーって同じ?
カメラの画質の話になると必ず出てくるのが「センサーサイズ」である。大きいほどたくさんの光を得られるのでその分画質に余裕が出るわけで、うちは高画質だぞと言うのにちょうどいい指標なのだ。
そして今、スマホカメラで一番大きいのが「1型センサー」である。
さてこの2つの画像、どちらもそれぞれのWebサイトから持ってきたのだけど、Xperiaは「1.0型」、シャープは「1インチ」と表記している。
「型」と「インチ」って同じ? 「インチ」って長さの単位だけど、「型」ってなに?
なぜセンサーサイズを「型」と表記するのか
結論からいえば同じである。
日本はメートル法を採用しているので、インチを長さの単位として使ってはだめってことで、かといってcmだと小数が出まくるし、いったん「インチ」単位の表記になじんでしまっていたから、代わりに「型」と称しているのだろう(さすがに当時の経緯は知らないけど)。
テレビがそうだよね。ブラウン管時代に「型」に統一され、20型のテレビといえば、20インチのブラウン管を搭載したテレビってことだった。
(コンパクトデジカメの)イメージセンサーも同様で、デジカメ登場当初は「インチ表記」するメーカーもあったけど、今は「型」で統一している。ソニーがきちんと「1.0型」と「型」を使っているのは、自社がデジタルカメラも手掛けているからだろう。
スマートフォンのカメラもそれにならえばいいのだけど、意外に「インチ表記」しているところは多いのだ。日本のシャープがそうなのだから、GoogleとかOPPOとかの海外勢はいわずもがな。
とはいえ、カメラの世界でも口語では「インチ」とつい言っちゃうことが多く、「『型』と書いて『インチ』と読む」世界なのだ。そんなことでいいかは知らないけど。
センサーサイズはどの大きさのこと?
この「型」と書いて「インチ」と読むインチであるが、言うまでもなく長さの単位である。でもイメージセンサーというのは長方形なのでサイズといえば面積。
ではこのインチってどの長さのことか。面積が分かる「長さ」といえば「対角線」だ。
よくセンサーの「対角線の長さ」といわれる。大ざっぱにはそれでいいのだけど、1型センサーの実際のサイズ(13.2×8.8mm)で計算してみると、センサー面の対角線は……約0.625インチ(約15.86mm)になり、1インチに(かなり)足りない。
これには歴史的な面倒くさい経緯が絡んでいるのだ。昭和な人はブラウン管から液晶テレビへの転換期を思い出すといい。
20型のテレビは20インチのブラウン管を使っていたけど、ブラウン管ってガラス製で表面が大きく湾曲しているので、実際には周辺部は使っていなかった。だから「管」としては対角が20インチなんだけど、実際に画像が表示される範囲はもう一回り小さかったのだ。
でも液晶テレビが出てくると、それでは都合がよくない。液晶テレビはフラットなので20インチのサイズはそのまま表示画面の対角のサイズとなる。同じ「20型」でもブラウン管と液晶ディスプレイでは表示面積が違ってしまうのだ。
そこで「Visual Size」という概念を持ち込み、液晶ディスプレイでは「20V」というようにVを付けるようになったのだ。
今でも「55v型」とテレビのディスプレイサイズは「v」をつけて表記している。歴史を引きずっているわけだ。
イメージセンサーのサイズも実はそうなのである。
半導体を使ったイメージセンサーが登場する前は、「撮像管」というガラスでできた管が使われていたのだ。ブラウン管のときと同じで、管の直径より実際に撮像で使われる面積は小さかったのである。その頃の名残で、1インチセンサーといいながら撮像範囲の対角線は1インチに満たないのだ。
ややこしいですな。
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