ソニーが6.1インチ「Xperia 5 V」を発表――「Xperia 1のコンパクト版」から「若者狙い」にシフト:石川温のスマホ業界新聞
ソニーが「Xperia 5 V」を発表した。従来の「Xperia 1シリーズのコンパクトモデル」という方向性から若干脱却し、「若年層向けのハイエンドモデル」という位置付けになったようである。
ソニーはAndroidスマートフォン「Xperia 5V」をグローバルで発表した。販売国には日本も含まれる模様。
今回、記者説明会を取材してきたが、プレゼンからして「若者を狙っている」という感じがヒシヒシと伝わってきたのが印象的であった。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2023年9月2日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
これまでのXperia 5シリーズはどちらかというと「6.5インチでハイエンドなXperia 1シリーズの画面がちっちゃいバージョン」というコンセプトであったように思う。
Xperia 1シリーズの発表が春ごろあり、発売は初夏。一方でXperia 5シリーズは秋に発表されて、冬前に登場するというスケジュール感だ。
かつては、2月下旬にスペイン・バルセロナで行われるMWC会場でXperai 1シリーズが披露され、8月末にドイツ・ベルリンで開催される家電関連展示会「IFA」でXperia 5シリーズが発表されるということもあった。
今回のXperia 5 Vを見ていると、プレゼン資料も明るい色合いとなっており、技術が好きなプロ仕様向けのXperia 1シリーズとは全く異なるテイストになっている。
Xperia 1シリーズが、プロのクリエイターをターゲットにしているのに対して、Xperia 5 Vはどちらかといえば、iPhoneを使っているインフルエンサーを狙っている感が出ているのだ。
Xperia 5 Vもよくよく見ると、チップはSnapdragon 8 Gen 2、スピーカーはXperia 1 Vと同様にアンプを一新。6.1インチのディスプレイは「X1 for mobile リアルタイムHDRドライブ」に対応。カメラは3つから2つになったものの、新世代センサー「Exmor T for mobile」を搭載している。
動画を簡単に編集しやすいプリインアプリとして「Video Creator」が新たに搭載されることになった。これまでXperiaシリーズは、カメラ画質をアピールし、プリインアプリで、デジカメ「α」に近い、ユーザーインターフェースにするなど、プロクリエイターを狙っていたが、結局「画質のいい撮影はできるが、とりっぱなしで編集するには別のアプリやPCでのソフトが必要」という中途半端な状態になっていた。
今回、ソニーがようやく撮影したあとの編集まで携われるアプリを提供するようになったのは一歩前進といえるだろう。
ただ、Xperia 5 VにプリインされているPhotoProやVideo ProといったアプリはXperia 1シリーズと同じであり、このあたりをユーザーインターフェースとして残しているのは、プロクリエイターからインフルエンサーに切り替えられていない感じがしてならない。
とはいえ、ソニーで好調なデジカメ事業はプロクリエイター向けの「α」というラインを持ちつつ、「VLOGCAM」というYouTuberといったインフルエンサー向けに商品をマーケティング的なチカラで売ったというのが成功パターンとなっている。
今回のXperia 5 Vはまさにプロクリエイター向けの「Xperia 1 V」とは一線を画すラインを訴求してきており、「αとVLOGCAM」の成功体験をXperiaでも再現しているような気がしてならない。
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