折りたたみスマホを長期間使うハードルが高いワケ ヒンジの耐久性よりも解決すべき課題(2/2 ページ)
筆者が「Galaxy Z Flip3 5G」を約2年利用した際に感じたことや課題を紹介する。Galaxy Z Flip3 5Gではメーカー公称値で20万回の開閉を行っても破損しないとしている。一方で保護フィルムの劣化には注意したい。
中古で購入する場合、フィルムの状態も確認しよう
折りたたみスマホを利用する上で気になるヒンジの耐久性は、端末の進化と共に解消されつつある。Galaxy Z Flip3 5Gでは防水性能が確保されたことで、普段使いにおける使いづらさも解消された。その一方で、画面保護フィルムの取り扱いが一般の端末と異なる点など、利用にあたって不自由を感じる点があることは事実だ。
特に保護フィルムの交換で修理扱いとなること、サードパーティーのものが推奨されていないことで購入をためらう人も多いだろう。ハードウェアとしては2年以上利用できても、画面保護フィルムはその限りではない。劣化する度に修理に出すようでは、消費者には受け入れられないはずだ。
また、中古購入でもこのフィルムの問題はついて回ることになる。一般的な中古では、このフィルムが張られていないものについては「ジャンク」と呼ばれる未保証の代わりに安価で販売されることが多いようだ。その一方で、フィルムが貼り付けてあっても劣化しているか否かを判別することは実機を見なければ難しい。筆者の経験では利用してから1年半ほどしたら気泡が入ったため、発売からこのくらいの期間が経過した機種の購入を検討する場合は確認してほしい。
Galaxy Z Flip3 5Gを2年使った限り、不満を感じる劣化はなかったものの、前述のようなフィルムが劣化した際の対応には面倒な部分が多い。これは最新のGalaxy Z Flip5でも同様だ。
製品の寿命は、折りたたみスマホの登場から4年で実用レベルにまで十分に進化したので、ここからはアフターサービス環境を整えることが重要だと考える。フィルムの耐久性を高めることはもちろん、他のスマートフォンと同様にエンドユーザーが容易に張り替えできる製品の開発も求められる。
これが不可能なら、リペアセンターなどの貼り替えできる拠点を増やすことが急務となる。このような長く使う上での課題をクリアできなければ、折りたたみスマホの本格的な普及は難しいだろう。良くも悪くもこの手の機種が十分に普及していない今だからこそ、メーカーやキャリアも、保護フィルム問題は早急に解決してほしい。
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