“スマホなし”でも存在感示すファーウェイ 武器はスマートウォッチと日本特化のアイウェア:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
米国の制裁を受け、スマートフォンの開発に急ブレーキがかかってしまったファーウェイが製品ラインアップを大幅に転換。制裁の影響が少ないスマートウォッチやワイヤレスイヤホンといったウェアラブル製品やモニター、タブレットといったジャンルに特化している。製品ラインアップの数は、むしろスマホを定期的に発売していたころよりも多彩といえる。
普通のメガネと変わらないと話題のEyewearも装着感アップ、コラボも拡大
スマートウォッチと同様、ファーウェイの技術力が光るのがオーディオ技術だ。中でも、メガネとイヤフォンを一体化させたHUAWEI Eyewearは、その自然なかけ心地と音のよさで、リモートワークなどに適した製品として注目を集めた。初代モデルは2021年に「スマートオーディオグラス」として投入。2021年には韓国GENTLE MONSTERと、2022年には日本でメガネ・サングラスの開発を行うOWNDAYS(オンデーズ)とのコラボモデルを投入し、話題を呼んだ。
初代モデルであるスマートオーディオグラスはアウトドアユースを意識したものだったが、「販売していくにつれ、日本市場では普通のメガネ型の方がサングラス型よりはるかに需要があることが分かった」(ファーウェイデバイス日本・プロダクトスペシャリスト 橋野翼氏)。こうしたニーズに基づき、メガネ型のデバイスを拡充。Eyewear 2には、軽量・耐久性に優れたβチタンフレームを採用したほかテンプルを20%小型化するなど、“普通のメガネ”として使える着け心地にこだわっている。
Eyewearのイヤフォンは、スピーカーからダイレクトに音が耳に届けられる仕組みで、普通だと盛大に音漏れしてしまうが、逆位相の音波でそれを打ち消す仕組みを採用している。ノイズキャンセリングの技術を、音漏れ防止に応用しているというわけだ。このアルゴリズムも2.0に進化させ、前モデル比で60%音漏れを低減させたという。バッテリー持続時間も音楽再生で11時間に伸び、常時身に着けておけるイヤフォンとしての性能に磨きがかけられている。Eyewear 2を知らない人が見たら、これがイヤフォンだと気づかないぐらい、自然なメガネに仕上がっている。
2022年のEyewearで日本のメガネメーカーであるOWNDAYSとコラボしたことからも分かるように、ファーウェイは同製品のローカライズにも積極的だ。Eyewear 2でも、“One More Thing”としてこのコラボを継続。OWNDAYSモデルとして、計4種類、8色ものデザインを追加で投入する。メガネメーカーが販売するだけに、OWNDAYSモデルは度付きのレンズも付属。前面にマグネットで取りつけ、サングラスにできるSNAP LENSもオプションとして発売される。
海外展開にも積極的なOWNDAYSだが、Eyewear 2は日本人に合わせてデザインされたという。発表会にゲストとして登壇したオンデーズの代表取締役社長、田中修治氏は、「年間(販売する)350万本のデータを集めて、日本人の頭の形に最適なサイズを割り出し、それをファーウェイに提供した」と語る。その結果、「30代から50代までの男性女性の多くが、フィッティングをしなくてもすっと合うかけ心地のいいメガネが完成した」(同)という。
筆者も実際にOWNDAYSコラボモデルを発表会会場でかけてみたが、確かにフィット感がよく、ファーウェイモデルよりも顔へのなじみがよかった。テンプル部分にスピーカーや基板などのイヤフォンを構成する部品が仕込まれているとは思えない軽さで、かけ心地も自然。これなら、音楽やリモート会議でイヤフォンを必要としないときでも、身に着けていることができる。メガネ着用率が高いと言われる日本では、重宝される製品になりそうだ。ファーウェイが日本市場でEyewearに注力している理由も、ここにある。
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