スマホに“三種の神器”だった「ワンセグ」「おサイフケータイ」「赤外線」が必須ではない理由:ふぉーんなハナシ(2/2 ページ)
日本のフィーチャーフォンやスマートフォンには、かつて“三種の神器”と呼ばれるものがあった。「ワンセグ」「おサイフケータイ」「赤外線」だ。現在は必須といえなくなった理由を考えてみたい。
現代のスマートフォンにおける三種の神器は?
こうして考えてみると、三種の神器がスマートフォンに必ずしも必須、とは言いづらい。最近では、三種の神器という言葉も耳にする機会が減ったが、現代のスマートフォンにおける三種の神器はあるだろうか。
強いて言えば複眼カメラ、防水、イヤフォンジャックだろうか。複眼カメラについては、中国Huaweiが“世界初”の3眼カメラ搭載スマートフォン「HUAWEI P20 Pro」を2018年に発売して以降、他のスマートフォンメーカーの端末にも当たり前のように複眼カメラが搭載された。
筆者はとあるスマートフォンメーカーの技術者に「1つのカメラだけでは望遠、超広角、広角の3要素全てをまかなうのは難しい」と聞いたことがある。1つで済めばその分だけコストを抑えられるだろうし、端末の重量もその分だけ軽くなるが、SNSで誰でも写真や動画を投稿できるようになった今、カメラの複眼化やカメラ機能の強化が欠かせなくなった。
防水については、日本の端末の特異性の現れでもあったが、これも今となっては“ほぼ”当たり前のようになった。日本で高いシェアを持つAppleが初めて防水(Appleでは耐水と表記)性能を有した「iPhone 7」を2016年に発売した当初、日本ではかなり脚光を浴びた。それもあってかグローバルモデルでも、水しぶき程度に耐えられる防滴、最長30分間の水没に耐えられる防水対応をうたう例が増えた。
スマートフォンユーザーは必ずしも晴天の日だけに外出してスマートフォンを使うわけではないし、台所などの水まわりにおいて、スマートフォンでレシピを見ながら料理をする人もいるだろう。iPhoneに限らず防滴、防水の性能は必須といえるはずだ。
イヤフォンジャックは、 iPhone 7以降で除外されたことが、市場や他の端末に大きく影響していると見ているが、実のところAppleが同じタイミングから「AirPods」などのワイヤレスイヤフォンの使用を促進したことで、イヤフォンジャック搭載端末が減った。日本でイヤフォンジャックを備えた端末を継続的に投入し続けているのはソニーの「Xperia」やシャープの「AQUOS」くらいだ。
Bluetoothのワイヤレスイヤフォンでも事足りると言えばそうなのだが、Bluetooth搭載のワイヤレスイヤフォンもバッテリーで駆動するデバイスがほとんどでバッテリーの持続時間を気にしながら使わなければならない他、Bluetoothと同じ2.4GHz帯の機器(無線LANルーターや、電子レンジなど)との干渉を考えると、イヤフォンジャックの方がよいと考える人もいるはずだ。
三種の神器は必須と言えなくなった
まとめると、スマートフォンの普及とともに、スマートフォンに対応するサービスや機能が増え、ガラパゴスとやゆされた日本のフィーチャーフォンの三種の神器は必須と言えなくなったわけだ。
複眼カメラ、防水、イヤフォンジャックも、人によっては「三種の神器と言えない」と考えるだろう。スマートフォンのハードが進化して、ネットワークが高度化したことで、そのような定義すら必要なくなった、ともいえる。もっとも5G時代においては、端末固有の機能に限らず、スマートフォン、ネットワーク、プラットフォームが、モバイル端末における三種の神器と捉えてもいいはずだ。
関連記事
- 近年のスマートフォンに「ワクワクしなくなった」理由
近年のスマホを見ていると、どこか物足りなさを感じる。10年ほど前のスマホにはワクワクさせられたものだが、現在は成熟し、完成してしまった印象がある。これからは「折りたたみスマホ」の時代だと感じる。 - スマホから消えた「ワンセグ」、2021年は搭載機種ゼロに その背景を探る
スマホから「ワンセグ」が消えつつある。2021年に発売されたスマホの中で、ワンセグ機能を搭載した機種はゼロだった。ワンセグ対応スマホが減少した要因は、「通信の性能向上」「動画配信の普及」「テレビ離れ」という3つの理由が挙げられる。 - 「ワンセグ携帯の減少」と「NHK受信料」の関係を考える
ここ最近、「ワンセグ」機能を搭載したスマートフォンがなくなりつつある。2019年に、ワンセグ携帯もNHK受信料の支払い義務が発生することが確定した。この件とワンセグ携帯の減少は関係あるのだろうか。 - Androidスマホをより安全に使うために、やってはいけない6つのこと
価格帯が豊富なAndroidスマホだが、いくつかやってはいけないことがある。設定次第ではユーザーが危険にさらされることもある。6つのやってはいけないことを確認してみよう。 - iPhoneの写真をバックアップする際にやってはいけないこと
iPhoneのストレージで多くを占めているデータの1つが写真や動画です。万が一に備えてバックアップを取っておきたいですが、どのサービスや機能を使うべき? iCloudは50GB以上は有料なので、無料でバックアップするにはどうすれないいのでしょうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.