Apple PayからFeliCa系決済サービスが消える日:鈴木淳也のモバイル決済業界地図(2/2 ページ)
Apple Payが日本に上陸した2016年当初は、他国にはない特殊な仕組みとして、交通系IC、iD、QUICPayが採用された。日本国内ではVisaブランドのカードはApple Payに登録できず、iDまたはQUICPayの決済としてしか利用できない。だが、こうした日本国内のFeliCaサービス全盛時代が、間もなく終了することになるかもしれない。
Apple Payにけん引されたFeliCa時代は終息に向かう
Apple Payの登場前後で日本の決済シーンが大きく変化した。特に非接触決済に着目した場合、それまで利用の少なかったQUICPayがApple Pay登場後はトランザクションが急増し、JCB内におけるQUICPayの位置付けが大きく変わり、JCBが同ブランドでの“タッチ”決済を開始するにあたってさまざまな苦慮があったという話も聞いている。
いずれにせよ、Apple Payの登場が2010年代後半以降のiDやQUICPayの利用を底支えしていたことは間違いない。Appleのルール緩和により、今後新規発行カードを中心にApple Payを通じて両サービスに対応しないものが増えることで、徐々に非接触決済がFeliCaからEMVCoによる国際ブランドの“タッチ”決済へとその比重がシフトしていくことになるだろう。
すぐに両サービスがなくなるわけではないものの、少し時間をかけて終息へと向かうことになると思われる。現在のところ、Apple Payには冒頭に挙げた楽天Edyを除く残りの全てのFeliCa系決済サービスが対応しているが、恐らく今後10年先を見据えたとき、Apple Pay上で変わらず使われているのは交通系ICに限定されるのではと筆者は考えている。「交通系ICのみ10年以上」としているのは、改札機の入れ替えサイクルを考えたとき、10年以内に既存のSuicaをはじめとする交通系ICカードを全て置き換えるのは困難だからだ。
クレジットカードの即時発行サービスなど、Apple Payによって大きく変化した日本の決済シーンは、いま再びAppleの方針転換で大きく変化しようとしている。少なくともその結果として、FeliCa系決済サービスの地位が今後下がっていく可能性は高く、既にイシュアやブランドの中にはその時代を見越して、国際ブランドの“タッチ”決済へと予算を集中投下し始めているところもあるという話も聞く。興味ある方は、そのような形で出てくる“サイン”を見逃さず、ぜひその先の変化に注目していてほしい。
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