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「Galaxy S24」のカメラを試す 生成AIが優秀でコンパクトさが光る荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(4/4 ページ)

Galaxy Sシリーズの新モデルが登場すると、いつもなら最上位の「Ultra」でカメラレビューしているのだけど、今回はノーマルの無印モデル「Galaxy S24」からスタートすることになった。実にコンパクトでいいGalaxy S24。そのカメラの実力はどうだろうか?

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「Galaxy AI」は写真をどこまで賢くいじってくれるか?

 と、撮影の話はここまで。残りは、是非ともチェックしたかったGalaxy AIで生成AIだ。

 Galaxyは以前から専用の「ギャラリー」アプリで、影をとったりガラス面の反射をとったりとさまざまなユニークな編集機能を提供している。

 そしてS24では「Galaxy AI」の1つとして、「生成AI」を利用した「Generative Edit機能」を搭載してきたのだ。

 ギャラリーから「編集」を選ぶと、カラフルな「Generative Edit」ボタンが現れる。

Galaxy S24
青いボタンが生成AI系の機能だ。これをタップ
Galaxy S24
「生成AI」を利用したGenerative Editの画面

 ここでできることは3つ。1つは指定した対象を動かしたり大きさを変えたりする。1つは指定した対象を削除する。1つは大きさを維持したままの傾きの補正だ。

 まずは対象を動かしてみよう。

 人物のようにはっきりした対象なら、そこをタップするだけで選択してくれる。そこで長押しして場所を動かしてやる。

Galaxy S24
人物をタップして選択したのち、長押しするとそこが長方形で囲まれる
Galaxy S24
動かしたい場所へドラッグしたり、四隅のハンドルをドラッグして大きさを変え、生成ボタンをタップする

 そして「生成ボタン」をタップすると、ちょっと時間はかかるけど、無事場所を動かし、抜かれた部分は生成AIが背景を作ってくれたのだ。

 彼女が立っていた場所、ちゃんと後ろに木があるのを認識して、それっぽい木を描いてくれている。偉い。

Galaxy S24
こちらが完成品。石や木や対岸の風景も作ってくれた。よほどガン見しないと分からない

 次は風景から不要な人を消してみたい。

Galaxy S24
お堂の前に観光客が写り込んでいたので、タップして選択
Galaxy S24
対象を長押しして消しゴムをタップすると見事に消えた

 このくらいは、Googleの「消しゴムマジック」でもイケそうだ。じゃあ、Galaxy AIはどのくらいのムチャに対応してくれるか。ムチャを承知でこんなのに挑戦してみた。夜の渋谷のスクランブル交差点から人を消すのだ。

Galaxy S24
さすがにこれだけの人混みを消すのはムチャと承知でやってみる

 さすがにムチャだったけど、でも、ちょっと離れてみればあれだけいた人々がそれなりに消えてません?

Galaxy S24
よく見るとおかしなところあるけど、群集がつるっと消えてくれた。これはなかなかだ

 この機能、「消しゴムマジックとかぶっている」と思われがちだけど、両方を比べてみると、明らかに今回のGalaxy AIの方が賢い処理をしてくれる。特に人が多くて背景を多く生成する必要があるシーンでは、如実に差が出るのだ。

 3番目の傾き補正。

 実は雪と菜の花と青空という構図で撮ったのだけど、ちょっとむちゃな姿勢で無理に撮ったので傾いてしまった。白い煙突が傾きを目立たせてしまっている。

 「生成AI」にして傾きを補正してみることにした。

 通常の傾き補正だと、傾けた分、長方形にクロップされてしまうけどそれだと画角が狭くなり画像サイズも小さくなる。生成AIを使えば、傾いてできた余白を良きに計らって埋めてくれるのだ。

Galaxy S24
写真の傾きが気になったので、生成AIでそれを補正。すると背景に余白ができてしまう
Galaxy S24
左が元の写真、右が生成AIで補正した写真。きれいに真っすぐになり、余白部分も埋めてくれた。左下のウオーターマークにも注目

 とうとう「生成AI」がスマートフォン標準の編集アプリに搭載される時代がきたのである。

 なお、生成AIでレタッチした写真をよく見ると、左下にウオーターマークが入っている。ちゃんとAIを使ってレタッチしたことが分かるようにしてある。

 ちゃんと時代に合わせた機能をいち早く持ってくるところなんかさすがサムスンって感じ。一部「消しゴムマジック」とかぶっているけど、生成AIの方がずっとクオリティーは高い。この路線はしばらく続くのだろうなと思う。


 今回のGalaxy S24。カメラユニット的には前モデルとほぼ同じ(あるいは全く同じ)だけど、撮影時や撮影後のレタッチにAIを持ち込むことでレベルを上げてきたのだった。AIの進化でコンピュテーショナルフォトグラフィーのレベルを上げていくという方向性はしばらく続くかと思う。

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