ソフトバンクが「大阪府でいちばん快適につながる」広告 優良誤認との指摘に同社の考えは?:ふぉーんなハナシ(2/2 ページ)
「大阪府でいちばん快適につながるSoftBank」──。ソフトバンクがこのような広告を打っている。主に関西圏で展開されている広告で、東京都内などではこの広告は見られない。YouTubeではCMが公開されており、上戸彩さんが「ソフトバンクは快適につながる」と話している。
それでもおおげさな表現 優良誤認との指摘も ソフトバンクはどう考える?
ただ、それでもおおげさな表現であることは間違いなく、NTTドコモ 常務執行役員 ネットワーク本部長の小林宏氏は2月2日の記者会見で、「どういった調査での根拠をもとに、大阪府でいちばんつながる、とおっしゃっているのかが分からないのが、正直なところ」とし、この広告が「優良誤認に当たる」のではないか? との懸念を示す。
そこで、ITmedia Mobileはソフトバンクに対し、そもそもなぜこのような広告を打ったのか、総務省のガイドラインに従って調査していないのはなぜか、など疑問をぶつけてみた。質問と回答は次の通り。
―― なぜ「大阪府でいちばん快適につながるSoftBank」との広告を打ち出したのでしょうか。
ソフトバンク 大阪エリアでもしっかりとネットワーク対策を進めてきた結果として、Opensignal社やAgoop社の客観的な分析データでNo.1の評価を確認できたためです。
―― 「いちばん」という言葉の選定理由を教えてください。
ソフトバンク No.1を表現するコピーとして、消費者への伝わりやすさを考慮し適切な言葉を選定しております。
―― Agoop社による7カ所での調査=大阪府でいちばんとはならないはずですが、どのようにお考えでしょうか。
ソフトバンク 前提として、大きく分けて2種類のNo.1表現があり(下記参照)、Opensignal社とAgoop社の2社による客観的な分析データを根拠として引用しています。
前述の2社に「いちばん快適につながる」などの表現は分析データを正確に引用した記載である旨を確認の上、広告媒体にはそれぞれの根拠を明記しており、適切な広告表示となるよう留意しています。
なお、いずれも「通信速度」を比較したものではなく、「ユーザー体感(快適性)」に関する評価である点、ご理解いただけると幸いです。
- 大阪府でいちばん快適につながる という表現:Opensignal社が実施した調査において、「一貫した品質」という評価でMNO4社のうち弊社がNo.1であることが確認できました。詳細はLPにある通りですが、分析エリアは大阪府、分析期間は2023/9/15-12/13で確認しています。
- ランドマークごとのNo.1(例:海遊館や通天閣など):Agoop社独自の分析データによる、通信開始から応答までの時間(の短さ)を測定して比較した結果に基づくものです。対象はMNO4社、分析期間は2023/9/15-12/13で、一定期間を設けて統計的に評価されたデータにおいて、各施設でNo.1であることが確認できました。なお、Agoop社のデータについて、7カ所のランドマークだけでなく、大阪府全体でも同様の評価基準でNo.1であることを確認しています。
―― 速度調査は総務省が定めた方法を使うべきではないでしょうか?
ソフトバンク 弊社は通信ネットワークを構築する上で、ユーザー体感(快適性)という点を大事にしており、今回はその観点で比較できる、Opensignal社やAgoop社の結果を引用しました。
ソフトバンク広報からの回答をまとめると、OpensignalとAgoopの調査データに基づく広告であり、無根拠、根拠薄弱ということではない。ソフトバンクが2社に対して調査を引用した記載の許諾を得ていることも分かった。
一方で、気になるのはソフトバンクがユーザー体感を重視している点だ。つながる=最も通信速度が高速、というわけではないし、ソフトバンクもいちばん高速、とは記載していない。
優良誤認か否かは消費者庁の判断になるが、調査の詳細、つまりどのようにして調べたものなのかが見えづらい広告であるのも事実だ。OpensignalとAgoopの調査の詳細を見れるようにしてあれば、ドコモが「どういった調査での根拠をもとにしたもの(広告)なのか」と批判することもなかったのではなかろうか。
関連記事
- ドコモとソフトバンクの“パケ詰まり”対策 明暗を分けた差はどこにあったのか
主に都市部の“パケ詰まり”に悩まされているドコモだが、同じ環境でも、他社は安定した品質で通信できることが多い。特にKDDIやソフトバンクは、SNSなどでも不満を訴える声を見かける機会が少ない。なぜ他社の通信品質は比較的安定しているのか。ソフトバンクが19日に開催したネットワーク品質に関する説明会で、その答えの一端が見えてきた。 - ソフトバンクで「パケ詰まり」が起こりにくいワケ 重視するのは“ユーザー体感とバランス”
2023年初頭からドコモで「パケ詰まり」が目立っているが、ソフトバンクではこのような話はあまり聞かない。ソフトバンクはネットワークを整備する上で、どのような対策を行っているのか。カギを握るのは、5GとLTEのバランスを取りながら、ユーザー体感を重視する設計だという。 - ドコモのパケ詰まりは改善が進むも、依然として残る“穴” 通信品質低下を招いた根本的な原因は?
ドコモは春先から解決に向け動いていた通信品質の改善を一部完了した。その一方で、まだまだ快適に通信できるエリアに“穴”があるのも事実だ。ドコモに取材しつつ、その課題に迫った。 - ドコモに聞く「パケ詰まり」の要因と対策 5Gエリア拡大の前にすべきこと
ここ数カ月、東京23区や大阪、名古屋といった都市部でドコモ回線の「パケ詰まり」が目立ってきた。電波がつながっていないわけではなく、つながった上でパケットが流れないというのがより正確な表現だろう。その要因と対策をドコモに聞いた。 - なぜドコモで「つながりにくい」問題が起きているのか 明かされた根本的な要因
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.