マイナカードで不正に機種変更 ソフトバンク宮川社長「一部の店舗で本人確認が不十分だった」 目視ではなくIC読み取りが求められる
民放が「何者かがソフトバンク契約者本人になりすまし、偽造したとされるマイナンバーカードを使って、ソフトバンクの携帯端末を機種変更し、端末にひも付けられていたクレジットカードで高級腕時計を購入した」事例を報じいる。ソフトバンクの宮川潤一社長兼CEOは「現状、店舗でのオペレーションでは、マイナンバーカードの原本の確認と、本人確認の二重チェックを行う」とした。さらに、「一部の店舗でそのプロセスが不十分であった」と述べた。
民放が「何者かがソフトバンク契約者本人になりすまし、偽造したとされるマイナンバーカードを使って、ソフトバンクの携帯端末を機種変更し、端末にひも付けられていたクレジットカードで高級腕時計を購入した」事例を報じている。これに関し、ソフトバンクの宮川潤一社長兼CEOは5月9日の決算会見で、「現状、店舗でのオペレーションでは、マイナンバーカードの原本の確認と、本人確認の二重チェックを行う」とし、「一部の店舗でそのプロセスが不十分であった」と述べた。
宮川社長は「ご迷惑をおかけして申し訳なかった」と陳謝し、「二重チェックの再徹底をする」とした上で、「同じようなことが起こらないようにする」とした。その上で、再発防止の具体策は「明かせない」としつつも、「今のシステムの中で、少し改造を行う」と述べるにとどめた。
ただ、携帯電話の不正契約を報じた民放は、あたかも「マイナンバーカードそのものに原因がある」かのような内容としており、大きな誤解につながってしまう。現状の本人確認プロセスから分かる問題は、マイナンバーカードの「ICチップを使わずに目視だけで本人確認をしている」ことだ。
ITmedia Mobileでも繰り返し伝えているように、マイナンバーカードのICチップに搭載されているのは「券面AP」「JPKI-AP」「券面入力事項補助AP」「住基AP」「条例利用AP」の5種類のデータで、それ以外のデータは一切保存されない。ICチップの偽造はできないため、ICチップの読み取りを必須化すれば、マイナンバーカードによる携帯電話の不正な契約は防げる、と考えられる。
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