サービス開始から10年のmineo 通信品質改善が純増に貢献、次の戦略は“ライトファン”の獲得(2/2 ページ)
オプテージのMVNOサービス「mineo」が2024年6月3日に10周年を迎えた。コンシューマ事業推進本部でモバイル事業戦略部長を務める松田守弘氏や、モバイル事業戦略部の田村慎吾氏らが「mineo渋谷」に姿を見せた。これまでに重視してきたことや、今後の事業戦略を説明した。
コアなファン獲得のmineo、今後はライトユーザーの獲得にも注力
mineoは、これまでにユニークな機能を打ち出し、コアなファンを獲得してきた経緯がある。その1つが「mineo米」をユーザーに還元する取り組みで、mineoユーザーとオプテージ社員が育てた米を使って、mineoのイメージカラーである緑色のグリーンカレーを考案している。モバイル事業運営チームの冲中秀伸氏は2024年6月現在、「販売は予定していない」としたが、オフ会やコミュティーサイト「マイネ王」でプレゼントしている。
また、余ったデータ通信容量(パケット)を全国のユーザーで分け合う機能「フリータンク」は、mineoユーザーがデータをタンクに入れると、mineo渋谷のタンク(ディスプレイ)にもリアルタイムに反映され、日々共有できるデータタンクであることが分かりやすく可視化されている。
災害が発生したときに、テレビ局によるYouTubeライブなどの動画で災害情報を収集する際、データ通信を多く使う。そんなときのためにもmineoのフリータンクでは、「10GBまでパケットを引き出せるようにしている」(冲中氏)そうだ。「2017年に始まり、これまでにのべ68万人を対象とし、累計で39回開放した」(同氏)
mineoは1月1日16時10分の能登半島地震を受けて災害支援タンクを開放した。オプテージは防災の日である2023年9月1日〜3日に、災害時にmineoユーザーが寄付したパケットを解放する「災害支援タンク」を提供しており、ユニークなサービスの有用性もしっかりと証明している。
コミュニティーサイト「マイネ王」は、ユーザー同士がオンラインでコミュニケーションを取れる場、投稿された困り感に対して詳しいユーザーがアドバイスする場としても活用されている。事務局による投稿に付いた「ポジティブなコメント、ハッピーなコメントをカウントしている」(同氏)とのことで、「これらが100万に達成すると、桜の(木の下で)食事をする取り組み」を実施していたが、「桜を植えさせてもらえる公園を探すのが大変」だったという。2018年からは地域活性化も意識し、表題を「mineo green project」に改め、石川県七尾市で2019年に桜を植樹したそうだ。
mineoユーザーによる「スマホ相談会」では、mineoのサポートアンバサダーと、スマホ慣れしていない人と、mineoに対して困り感を抱く人が集い、対面で相談し合った。
こうした取り組みから分かることは、mineoがいかにファンを重視しているかだ。加えて、2016年1月25日に打ち出したブランド・ステートメントである「Fun with Fans!」に基づき、メガキャリアでは実現できなかった、あるいは実現しづらい新たな試みに挑戦し続け、mineoとユーザーのコミュニケーションの中で、利便性があり新たな発見につながるサービスを創っている。実際、前述のマイネ王に寄せられた意見は、サービスに反映されることがある。
冲中氏いわく、mineoのこうした地道な取り組みは「差別化の源泉」につながっており、「コミュニティーサイトがあれば、直接フィードバックを投稿してもらえるし、オフ会でユーザーとコミュニケーションをする取り組みは10年弱続けている」と手応えを語る。サービスの中には、ユーザーの声から生まれたものもあり、それが結果として、「他社にはない、mineo独自のサービス」(同氏)となっているそうだ。
収益性の改善にもつながっているとのことで、コアファンの人数は4000人程度、ライトファンは20万人程度となっている。このうち、コアファンは「解約率が低く、紹介率も高い」という。mineoにとってはコアファンが増える方が収益性の改善につながるが、冲中氏は「実際、コアファンを増やすのは難しい」と述べる。ライトファンも「解約率は低く、紹介率も十分に高い」ことから、今後は戦略の軸足を「コアファンとライトファンの獲得」に移す。
冲中氏は「10周年という区切りがあるので、皆さんに還元して感謝を伝えるイベントを、11月に大阪で1000人規模のイベントを実施する」としたが、詳細は「企画中だ」として明かさなかった。「ユーザーとの共創をかかげたmineoらしい取り組み」も継続する考えで、「飲食店をやっているユーザーが、キッチンカーで出店するといった取り組みができたらいい」と構想の一例を挙げた。
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