より“確度”の高い本人確認を――デジタル庁が「マイナンバーカード対面確認アプリ」を作った理由と使い方を説明(2/3 ページ)
デジタル庁が「マイナンバーカード対面確認アプリ」に関する説明会を開催した。説明会では、アプリが作成された背景と、使い方が説明された。
アプリの使い方
このアプリは、あくまでも「マイナンバーカードに記載されていることと、ICチップの内容が一致しているかどうかを確認する」ことに特化している。利用者(店舗)側の利用手順は以下の通りだ。
- スマホでアプリを開く
- 顧客からマイナンバーカードを受け取る
- アプリを使ってマイナンバーカードの“表面”を撮影する
- スマホをマイナンバーカードに当てる
- 画面に表示された顔写真(※3)と基本4情報(※4)が、カードの印字と一致するか確認
- 顧客にカードを返却
(※3)カード申請時にカラー写真を利用した場合、券面はカラーでもデータはモノクロで保存されている
(※4)氏名、生年月日、住所、性別
ICチップの読み取りは「照合番号B」で
マイナンバーカードの表面に記載されている情報(顔写真と基本4情報)をICチップから読み出すには、以下の2つのいずれかが必要となる。
- 「券面事項入力補助用パスワード」(4桁の暗証番号)
- カード表面にある情報をもとにした「照合番号B」(※4)
暗証番号設定のないマイナンバーカードの存在を考慮して、本アプリではカードの表面をスマホのカメラで撮影し、OCR(光学文字認識)によって「照合番号B」を自動生成する仕組みを取っている。これは「マイナ保険証」における顔認証でマイナンバーカードの表面の撮影を求められるのと同じ理由だ。
ただし、撮影するカメラの仕様やカードの印字状況によっては、OCRがうまく働かないこともある。その場合に備えて、照合番号Bを手動で入力できるようにもなっている。
(※4)生年月日(6桁)+有効期限の西暦部分(4桁)+セキュリティコード(4桁)
個人情報は一切残さない ただし証跡記録は可能
個人情報の保護する観点から、本アプリではカード情報の確認画面を閉じると、撮影したり読み取ったりしたデータを“完全に”削除してしまう。
ただ、本アプリを使うと想定される法令に基づく本人確認では、確認を行った証跡として「本人確認記録」の作成も行う必要があるため、本人確認を行った記録が全く残らないのも問題となる。
そこで本アプリでは、照合番号Bから生年月日を取り除いた8桁の数字を履歴として保管するようになっている。この数字を本人確認記録に記載しておけば、本人確認を行った“証跡”として利用可能だ。
なお履歴の保存件数は最大1000件で、超過した場合は古い履歴から順次削除されていく。
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