より“確度”の高い本人確認を――デジタル庁が「マイナンバーカード対面確認アプリ」を作った理由と使い方を説明(1/3 ページ)
デジタル庁が「マイナンバーカード対面確認アプリ」に関する説明会を開催した。説明会では、アプリが作成された背景と、使い方が説明された。
既報の通り、デジタル庁は8月下旬をめどに「マイナンバーカード対面確認アプリ」の配信を開始する。アプリはNFC Type-A/B規格のタグを読み取れるAndroid端末とiPhoneに対応しており、「Google Play」「App Store」を通して無料で配信される予定だ
同庁は7月30日、本アプリの開発背景と使い方の説明会を開催した。アプリはどのような背景で開発され、どのように使えばいいのだろうか。
本人確認をより“確実”かつ“簡単”に
昨今、精巧に偽造された「マイナンバーカード(個人番号カード)」や「運転免許証」などを使った携帯電話の不正契約や銀行口座の不正開設といった事案が複数発生している。
これらの不正事案では、共通して精巧に偽造された本人確認書類が使われた。
マイナンバーカードの場合、券面印刷に偽造防止対策を施しているため、見分け方を知っていれば肉眼でも「本物」か「偽物」かを判断しやすい。しかし、相手は人間なので、うまく判断できずに“くぐり抜けてしまう”事案も少なからずある。
より確実な本人確認を行うには、券面とは異なり偽造が困難なICチップのデータ“も”確認すれば良い。そこで政府は、法律により本人確認が必須となる契約手続き(後述)について、本人確認時に書類のICチップの読み取りを必須化する方向で、関連する法律や施行規則など(以下まとめて「法令」)の改正を検討している。
今回、デジタル庁が本アプリを開発することになったのは、法令の改正を見越して、本人確認を行う事業者がより“確実”かつ“簡単”にマイナンバーカードの偽造判定を行えるようにするするためだ。
開発に当たって、同庁では法令に関わる複数の事業者(携帯電話事業者、銀行、古物商)からヒアリングを実施した上で、事業者を監督する省庁などとも連携をしてきたという。
マイナンバーカード対面確認アプリを開発するに至った経緯と経過。アプリの開発は完了しており、三井住友銀行の一部店舗で実証運用を実施している。現在、実証運用と並行して利用規約などの整備を進めており、8月下旬をめどにアプリの公開を行うという(デジタル庁資料より)
法令で本人確認を行う義務がある契約(主なもの)
- 携帯電話不正利用防止法
- 携帯電話回線(※1)の新規契約
- 携帯電話回線の契約名義変更(継承/譲渡)
- レンタル携帯電話サービスの貸渡契約時
- 犯罪収益移転防止法
- 金融機関(銀行、証券会社、生命保険会社など)における口座開設
- 金融機関において一定額以上の資金の引き出し/融資を行う場合
- クレジットカード/ファイナンス/リース会社における新規契約
- 不動産会社などと土地や建物を売買する場合
- 買い取り金額が200万円を超える貴金属類を古物商などに売却する場合
- 古物営業法
- 買い取り金額が1万円以上となるものを古物商に売却(または古物商で等価物と交換)する場合(※2)
(※1)「050」で始まる電話番号のワイヤレスIP電話回線を含む(以下同様)
(※2)買い取り金額が1万円未満の場合でも、盗品である可能性が高い品目(ゲームソフトなど)については、買い取り/交換時の本人確認が必須
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