減益のドコモは「ahamoの店頭対応」「ポイ活プラン」で攻勢 純増減少は「そろそろ限界」とNTT島田社長
NTTが8月7日、2024年度第1四半期決算について発表した。ドコモの第1四半期の売り上げは、前年同期比1.3%増の1兆4769億円、営業利益は前年同期比5.9%減の2754億円だった。ARPUや純増数を取り戻すために、島田明社長は「顧客基盤の強化」を掲げる。
NTTが8月7日、2024年度第1四半期決算について発表した。ここでは、グループ会社のNTTドコモの業績や、質疑応答で挙がった話題を中心にお届けする。
NTTの売り上げは前年同期比4.1%増の3兆2400億円、営業利益は前年同期比8.2%減の4358億円で増収減益だった。携帯電話サービスを含む総合ICT事業がマイナス173億円、固定電話のサービスを含む地域通信事業がマイナス199億円となり、減益の大きな要因となった。
ドコモの第1四半期の売り上げは、前年同期比1.3%増の1兆4769億円、営業利益は前年同期比5.9%減の2754億円だった。金融や決済を含むスマートライフは126億円の増益だったが、ahamoやirumoなど廉価プランによるモバイル通信サービスの減収、販売強化施策の費用増、法人のPSTNマイグレーション(固定電話のIP網移行)などが減益に響いた。
ドコモでは、顧客基盤を強化すべく、量販店での販売を増強する他、オンライン専用プラン「ahamo」の機種変更を店頭で受け付ける。
量販店での販売強化について「効果は下半期ぐらいから出てくるだろうが、おかげさまで(大容量プラン)eximoの選択率が増えている」とNTTの島田明社長は話す。「競争対抗上、irumoも販売しているのでARPUは下がる傾向にあるが、予想以上にeximoを選択するお客さまが増えている。そう遠くないうちに拮抗(きっこう)していくのではないか」と手応えを感じているようだ。
ahamoについては、「端末を見ながら変えたい(機種変更したい)という声があったので、8月から、店頭でもahamoの端末の取り換えられるサービスをドコモショップや一部の量販店で開始した」と島田氏は経緯を話す。ahamoはオンライン専用プランではあるが、「きめ細かなニーズに対応するには、オンラインばかりでは満足度を得られない」と方針の変更があったようだ。「リモートとリアルをうまく連携しながら対応していきたい」とした。
決済サービスの取扱高は、2023年度第1四半期から14%増の3兆5000億円に拡大。うちdカードの取扱高は11%増の2兆4600億円に上る。
ドコモの前田義晃社長が、自前の銀行を持つ予定であることを明かしているが、島田社長も「お客さまの利便を考えると、そこに銀行口座がある方が利用しやすい」と賛同の意向を示す。「M&Aでやるのか、自ら作るのか、いろいろな選択肢がある。いずれもしても、金融の総合的なサービスを展開していく上で、必要となる要素は一段と強化していきたい」(同氏)
ドコモのARPUは2023年度第1四半期の3990円から3910円に低下した。この要因は「irumoの販売」だと島田氏は言う。ただ、直近ではeximoの選択も増えているそうだ。eximoは1GBまで、1GB〜3GB、3GB〜無制限の3段階で料金が変動するが、3GB以上利用した場合の月額料金(税込み)は、割引なしだと7315円、各種割引を全て含めても4928円。「eximoの方が平均のARPUよりも高いので、そこを強化することで全体のARPUを上げていきたい」と島田氏は意気込む。
8月1日に提供を開始した新料金プランは「eximo ポイ活」、dカードの支払いで最大5000ポイントの還元が受けられるが、月額料金はeximoよりも3300円高いので、こちらもARPUを上げていく1つの方策になる。島田氏は、2024年度中にARPUが反転することを目標とした。
2024年度第1四半期の携帯電話純増数は18万3000。前年同期比との47万1000から大幅に減っている。この点について島田氏は「ドコモはずっと減らしてきた歴史があるので、そろそろ限界だと思っている」と危機感を募らせる。「シェアをしっかり守る対策を打っていかないといけない。マーケティング強化、ニーズに合わせた対応をする。通信品質も大きな要素。ドコモの幹部が名古屋や大阪に行って自らチェックし始めたので、期待が高まっている」と意気込みを語った。
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