モトローラ急成長の要因を聞く 日本のスマホはFeliCaありきで開発、ソフトバンクやIIJとのタッグも成功(3/3 ページ)
前年度比約2.3倍に出荷台数を伸ばし、日本市場でシェアを拡大しているモトローラ。2024年夏商戦向けに、ミドルレンジモデルの「moto g64/g64y 5G」と「motorola edge 50 pro/edge 50s pro」を発売した。矢継ぎ早に新端末を発売しているモトローラだが、同社はどのような戦略で高い成長率を維持していくのか。
moto aiでは「キャプチャー」「クリエイト」「アシスト」が柱に
―― razr 50、50 ultraやmotorola edge 50 proには、moto aiが内蔵されています。これはどのようなものなのかを教えていただけないでしょうか。
仲田氏 今のコンセプトは3つで、「キャプチャー」「クリエイト」「アシスト」という柱を立てています。これは、どちらかといえばコンセプトで、例えばカメラ機能をどんどんよくしていくのは、キャプチャーが当てはまります。静止画や動画をいかに使いやすく、簡単に美しくしていくのかという部分にAIを活用しています。自動的に被写体を認識し、フォーカスし続けるというところも、AIの特徴の1つです。
クリエイトは、今現在商品に搭載されている機能だと、自撮りした写真の服装に合った壁紙を生成し、それを端末のテーマに設定できるというものがあります。この機能はもっと進化していきます。最後のアシストは、AIが状況を考え、どういう使い方をされているのかを覚えることで、この場面ではこういうことをやりたいのではと提案するような機能です。ユーザーの経験や情報、今のコンテキストを踏まえて支援していくのがアシストというコンセプトです。
―― 現状だと、キャプチャーはカメラに、クリエイトは壁紙生成として機能になっていますが、アシストはこれからですよね。
仲田氏 はい。今の機種にはまだ入っていません。
―― 今後、アップデートで過去のモデルに入っていくこともあるのでしょうか。
仲田氏 それもあるかもしれません。
―― moto gシリーズはmoto aiがありませんが、これはなぜでしょうか。
仲田氏 今現在、例えばカメラだとそれなりの品質のセンサーが必要で、AIを動かすにはある程度、チップセットのパワーも必要になります。moto aiには、それなりの性能が必要です。ただ、ハードウェアはどんどん進化していきますし、moto aiも進化していきます。それらが相まって、時間とともに、全てのラインアップに入ってくるようになるかもしれません。
―― プロモーションも強化していくとおっしゃっていましたが、どのようにブランドを拡大していくお考えでしょうか。
仲田氏 40代、50代の方は、昔のモトローラを覚えていることもあり、比較的いいイメージを持たれています。こうしたモトローラが持っている歴史や、アメリカで作られているというブランドヒストリーは押さえつつも、より若い人に使っていただけるブランドに拡張していきたい。そのための認知を上げる方法は、いくつかあります。私の方針として、その商品やタイミングに合わせたやり方をいろいろとやっていきます。
―― 例えば、moto g64 5Gやmotorola edge 50 proでは、どんなことをされるのでしょうか。
仲田氏 これから大きなイベントをやるというより、店頭での訴求ですね。タッチ・アンド・トライのイベントをするとか、実際に使っていただき、販売につなげられる地上戦を強化していきたいと考えています。
取材を終えて:ドコモやKDDIとどう連携できるかが鍵に
出荷台数を伸ばし、日本市場での存在感を高めているモトローラだが、moto g64/g64y 5Gも引き続き好調とのこと。motorola edge 50s proでedgeシリーズの販路も広がり、その勢いはさらに増しそうだ。その背景には、日本市場からのフィードバックが反映されやすくなった開発体制もあるようだ。実際、2023年から防水・防塵やおサイフケータイには積極的に対応しており、キャリアでの販売も拡大している。
とはいえ、毎年2倍以上出荷台数を伸ばしていくのは、なかなかハードルが高い。オープンマーケットの市場規模が限られている日本では、やはり取り扱いキャリアの拡大が必須になる。現状ではソフトバンクとの密接に連携しているが、その実績を引っ提げ、ドコモやKDDIにどう食い込んでいくのかが鍵になりそうだ。
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