指輪で電車に乗れる ドコモ「EVERING」から見える“クレカ×タッチ決済”の現在地(1/3 ページ)
ドコモがプリペイド式スマートリング「EVERING」を発売した。指輪型のVisaプリペイドカードのようなもので、7月にはタッチ決済に対応した電車やバスにも乗れるようになった。今回はEVERINGを実際に使用してみて、その魅力を紹介する。
ドコモがプリペイド式スマートリング「EVERING(エブリング)」という指輪型の決済機器を、一部ドコモショップにて発売した。このデバイスを簡単にいえば、クレジットカードのタッチ決済を利用できる指輪型のVisaのプリペイドカードだ。さらに、7月からのこの指輪で「タッチ決済」に対応した電車やバスに乗れるようになった。
ここでいうタッチ決済は、近年Visa/Mastercard/JCBなどの国際ブランドのクレジットカードやスマホ決済で利用が広がっている、非接触ICのNFCを用いた決済方法だ。日本では2020年代になり急速に浸透しつつある。
EVERINGはこのタッチ決済に対応した店舗で、指輪をかざすだけで買い物ができる決済アイテムというわけだ。ただ、ドコモが販売する製品ながらも、現時点でd払いやdポイントとの関連性はない。
ドコモ広報部にEVERINGとドコモの決済サービスとの関連性を問い合わせたところ、「dカードをはじめ、dポイント・d払い等のドコモサービスとの連携は順次検討していきます。(広報)」という回答を得られた。どちらかといえばガジェットとしての楽しさや、この記事で取り上げる今後のタッチ決済の普及の仕方で対応状況が変わりそうな製品といえる。
そこでこの記事では指輪型のEVERINGを紹介しつつ、2020年代に急速に浸透しつつある日本のクレジットカードのタッチ決済と、その鉄道やバスなど公共交通機関の対応についてあらためて整理していこう。
2020年以後日本でも広がった、クレジットカードのタッチ決済
まずはタッチ決済についておさらいしよう。これは、VisaやMasterCcard、JCBなど、国際ブランドのクレジットカードなどに追加された非接触決済のサービスだ。前述のように、日本でも2020年ごろからキャンペーンや店頭の対応により急激に利用環境が整った。
例えばVisaのタッチ決済対応クレジットカードを持っている場合、Visa取り扱いかつタッチ決済にも対応した店頭で「クレジットカードのタッチ決済」と伝えて、カード(またはスマホ)を決済端末にかざすだけで決済を完了できる
日本におけるクレジットカード決済方法のおもな普及時期
- 接触:インプリンタでのエンボス転写
- 接触:磁気ストライプの読み込み(1990年代)
- 接触:ICチップの読み込み(2010年代)
- 非接触:タッチ決済(2020年代)
日本では近年「Visaのタッチ決済」など、各ブランドとも事実上タッチ決済という呼び方になぞらえて普及を進めている。日本以外だと「コンタクトレス決済(Contactless Payment)」と呼ばれる。技術面では、クレジットカード業界のICカードの共通仕様(EMV)が非接触ICのNFCに対応したと考えればいい。
日本での普及状況だが、2020年あたりから小店舗でもコード決済+タッチ決済に対応した決済端末の導入が増えたことと、海外渡航者の増加によりタッチ決済の利用環境が一気に整った。
タッチ決済はスマホにも対応しており、iPhoneなら「ウォレット」、Androidなら「Google ウォレット」にクレジットカードを登録すると店頭での決済に利用できる。
日本だと2000年代後半から、クレジットカードなどの非接触決済としてFeliCaを用いた「iD」や「QUICpay」が普及している。大ざっぱに比較するなら、タッチ決済は海外で2010年代半ばから普及が進んだ、NFCを用いた国際的なサービスといえる。
後述するが、バス路線や私鉄でも、Suicaなど交通系ICカードの代わりとしての導入も進みつつある。この内容を踏まえて、次はEVERINGを紹介しよう。
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