auもiPhone 16は「買い替えしやすい工夫」を、iOS 18のRCS対応も「検討している」 発表会場でKDDI幹部を直撃
iPhone 16シリーズ発表直後、KDDI 執行役員 パーソナル事業本部 副事業本部長の村元伸弥氏にお話を聞いた。iPhone 16については「買い替えのしやすさを工夫していこうと考えているので、そこは期待していただきたい」とのこと。iOS 18で対応するRCSについて、auでも利用できるよう検討しているという。
日本で半数近いシェアを誇るiPhoneなだけに、同シリーズの発表会にはキャリア各社からも幹部が訪れるのが恒例になっている。iPhone 16シリーズが披露された基調講演前後でも、KDDIやソフトバンクの関係者を見かけた。KDDIからは、執行役員 パーソナル事業本部 副事業本部長の村元伸弥氏が来場しており、iPhone 16シリーズ発表直後に話を聞くことができた。
村元氏が最も印象に残ったのは、意外にもiPhoneそのものより、睡眠時無呼吸症候群の検知に対応した「Apple Watch Series 10」や、「AirPods Pro 2」が搭載する聴覚の健康サポート機能だった。いずれも基調講演では日本での導入が発表されており、厚生労働省をはじめとした関係省庁と水面下で許認可に向けた協議が続けられてきたことがうかがえる。
「ああいうものが入ってくると、周辺デバイスへのユーザーの広がりが変わってくると思った」と、その印象を語る。KDDIでも、iPhone 16シリーズだけでなく、Apple WatchやAirPodsをまとめて取り扱うことを表明しており、その販売に注力していく可能性がありそうだ。
iPhoneは、「やはりApple Intelligence」に注目した。「Appleは、ユーザビリティの中でAIがあまり主張していない。使い勝手とAIの組み合わせが非常にうまいと感じた」という。
「お客さま目線でいうと、今までの機能がアップデートされる形で、『AIを使うぞ』という方の力が入った見え方ではなく、自然とAIを活用できるところは、お客さまにもすごく受け入れられやすいし、僕も期待しています」
KDDIとしては、Apple Intelligenceに対応したことが、「端末を変えるきっかけになるのでは」と期待している。「(店頭の)スタッフにも、そのよさを伝えて臨んでいきたいと思う」と話した。とはいえ、iPhoneシリーズの価格は決して安いわけではない。円安の中、2023年と同価格を維持する健闘はしているものの、最小構成のiPhone 16(128GB版)でも12万4800円(税込み)にのぼる。
他キャリアは、1年での下取りを組み合わせて実質価格を抑える端末購入プログラムを導入しているが、KDDIは2年を前提にした残価設定プログラムを継続している。これについて、村元氏は「買い替えのしやすさを工夫していこうと考えているので、そこは期待していただきたい」と語る。1年下取りを導入するかどうかは未知数だが、何らかの新しい施策が始まる可能性は高そうだ。
iPhone 16が搭載する「iOS 18」は、RCS(Rich Communication Services)に対応するのも、ひそかな話題の1つだ。対応すれば、AndroidユーザーともメッセージアプリでRCSを使ったやりとりが可能になる。ただし、iOSのRCSはキャリア側のサーバでユーザーのひも付けなどを行っているため、現状では、日本のキャリアのSIMカードを挿しても利用はできない。
AndroidスマホにRCS対応の「Googleメッセージ」をプリインストールすることを決定したKDDIだが、iOSのRCSへの対応も「今、いろいろと検討している」という。
「国内のレギュレーション(規制)もあるので、そこの調整をしています。時期はまだ明言できないですが、なるべく早く皆さんにお届けできるよう、対応しているところです」
大手3キャリアで立ち上げた「+メッセージ」とは、すみ分けを図っていくようだ。
「今は+メッセージを他のキャリアと一緒にやっているので、そこもしっかりやりながらですが、RCSはOSをまたいでのコミュニケーションが広がります。その手段が増えればいいので、新しいRCSを広げていくこともやっていきます」
また、iPhone 16では、「5G SA(スタンドアロン)がデフォルトでオンになる」という。これは、Sub6の出力増強やアンテナ角度を広げてエリアが広がったためで、5G SAが有効になることで「自然とそれを体感できる形になる」という。NSA(ノンスタンドアロン)の5Gと比べ、「通信速度も上乗せされる」。iPhone 16シリーズを軸にしながら、その上のサービスや足回りであるネットワークで差別化を図っていくのがKDDIの戦略といえそうだ。
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