KDDIとローソンの提携で「ギガ」「クーポン」「ポイント」がお得に カギを握るpovoとPontaパス:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
KDDI、三菱商事、ローソンの3社は、9月18日に「未来のコンビニ」のコンセプトを披露した。三菱商事とともにローソンの親会社となったKDDIは、AIサイネージや配送、品出しなどの店舗業務最適化などを行っていく。一方で、通信サービスのユーザー基盤を生かし、ローソンへの送客を行っていくのもKDDIの役割だ。
KDDIは、株式公開買い付けで三菱商事とともにローソンの共同経営に乗り出した。9月2日には、KDDIでコンシューマー事業やサービス企画などを務めてきた雨宮俊武氏がローソン代表取締役副社長に就任。同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を担当していく。この体制変更を受け、KDDI、三菱商事、ローソンの3社は、9月18日に「未来のコンビニ」のコンセプトを披露した。
三菱商事とともにローソンの親会社となったKDDIは、AIサイネージや配送、品出しなどの店舗業務最適化などを行っていく。また、ローソン店舗内で、電気やガスなどの生活インフラを対象にしたリモート接客を実施する見込みだ。ドローンやStarlinkを配備し、災害対策の拠点としても活用する。
一方で、通信サービスのユーザー基盤を生かし、ローソンへの送客を行っていくのもKDDIの役割だ。鍵になるのが、povo2.0と「auスマートパスプレミアム」をリニューアルした「Pontaパス」。その中身を見ていきたい。
サブ回線として他キャリアユーザーにも広げていくpovo、ローソンはその販売拠点に
「あらゆるキャリアのサブ回線として、ドコモのユーザーでもソフトバンクのユーザーでもセットアップでき、速度制限の問題を解決していく」――発表会でこう語ったのは、KDDIの代表取締役社長CEOの高橋誠氏だ。KDDIは、povoのeSIMを「ギガチャージ専用eSIM」として、ローソンの店頭で販売し、ユーザーが持つ端末の“2回線目”を狙っていく。
ギガチャージ専用eSIMは、povo2.0で導入したデータプランを活用する方針。ローソン内につるしてあるPOSAカード(Apple Gift CardやGoogle Playギフトカード)のコーナーにpovoのカードを並べ、レジでデータ容量を選択できるようにしていくという。povo2.0は、3月に本人確認不要のデータプランを開始したが、この仕組みを活用し、ユーザーが手軽にデータ容量を追加できるようにする。
2018年に発売されたiPhone XS/XRシリーズ以降、物理SIMとeSIMのデュアルSIMに対応したスマホのラインアップは徐々に拡大しており、現在はAndroidも含め、この仕様が一般的になった。一部モデルは、eSIMとeSIMのデュアルSIMにも対応する。大手キャリアでは、データ容量無制限の料金プランが増えているものの、サブブランドやオンライン専用プランでは、上限が設けられていることが多い。
追加のデータ容量は、1GBあたり500円から1000円が相場。これに対し、“ギガ不足”になった際にローソンに駆け込めば、もともと契約しているキャリアよりも割安にデータ容量を追加できる――これが、ギガチャージ専用eSIMのメリットだ。ユーザーが購入すればKDDIの収入になるのはもちろんだが、ローソンに行けばデータ容量が買えるとなれば、店舗への送客も見込める。リアルな接点を持たないpovoにとっては、貴重な販路になるだろう。
高橋氏は、「これからは通信回線がメインではなく、いろいろなサービスに(通信回線が)埋め込まれていく。コンビニにうまく埋め込まれていくサービスの形として、ご提案したい」と語る。同氏は、2022年に発生したKDDIの大規模通信障害を挙げつつ、「サブ回線を持っていただくことが生活の安心を支えることになる」と語り、povoを販売する意義を強調した。
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