「iPhone 16 Pro」と「Pixel 9 Pro」をガチンコ比較 カメラやAIはPixel優位だが、長く使うならiPhoneを選ぶ(3/3 ページ)
日本で注目度の高いスマートフォンとしてiPhoneとPixelが挙げられる。2024年は「Google Pixel 9 Pro」の登場で「コンパクトな上位機種」が登場し、iPhone 16 Proもカメラ性能の向上と画面サイズの大型化を果たした。くしくも似たようなスペックになったこの2機種。どのような人たちにおすすめなのか、両機種の実機を1カ月ほど使ってみて「異なる強み」を見ていこう。
AI機能の見せ方ではPixelがリード、iPhoneはアップデート次第か
AI機能は両者とも力を入れている。Pixel 9 ProはGemini AIを用いた機能が利用できる。Googleサービスと連携したAI機能なのでカバー範囲は自社サービスが中心となる。GmailやWebサイトの文章の要約や翻訳、Web以外にもYouTubeやGoogle マップなどをはじめとした自社サービス内の情報も引用できる。
このあたりは、スマートフォンで必要とされているサービスの大半をGoogleが提供できているからこそできる強みだ。一方で、他社アプリとの連携はまだできていないので、ここが充実してくればより魅力的な機能に仕上がるはずだ。
これ以外にも、ボイスレコーダーの文字起こしや翻訳などはオンデバイス(オフライン)でも利用できるようになっている。現状、日本語の文字起こしについてはPixelがトップレベルの精度を誇っており、筆者も取材などで活用している。
Pixelでは目玉の「一緒に写る」などをはじめとしたAIを用いた写真撮影機能。編集マジックといった画像編集機能が利用できる。今作では生成AIを用いたズーム画質向上機能が利用できるなど、さらに画像編集機能に磨きがかかった。
iPhone 16 ProはAI機能としてApple Intelligenceが利用できる予定だが、英語向けもまだβ版、日本語には2025年以降の対応としており、まだ一般には利用できる状態にない。機能としてはPixelでやろうとしていることを、より直感的なインタフェースと共に実装しようとしている。
また、Apple Intelligenceの機能は外部アプリにも組み込むことができるため、今後は対応するアプリが多く登場すると考える。Appleもアプリベンダー向けに開発SDKを提供するなど、着々とAI対応への準備が進められている。
iPhone 16シリーズにて新規で備わるカメラコントロールボタンもAI機能を簡単に呼び出したり、画像検索機能として利用したりできる。今後のアップデート次第で「カメラコントロールの評価」は変わってきそうだ。
衛星通信を用いた緊急SOSについては、iPhoneは日本でも利用できるようになった。一方、Pixelについては今作のPixel 9シリーズで対応したものの、現時点では米国でしか利用できない。
ソフトウェアのアップデート期間については、Appleは非公開だが、最新のiOS 18が2017年発売の「iPhone XR」が対象となっていることを考えると、iPhone 16シリーズも7年は最新OSを利用できると考えるのが自然だ。Pixel 9 Proは7年間のOSアップデートを公表しているため、長期間安心して利用できる。そのため、「長く使う」という意味では両者共通の強みといえる。
基本性能のiPhone、AI機能を活用するPixel 長く使うなら性能で陳腐化しにくいiPhoneか
iPhone 16 ProとPixel 9 Proの両機種を比較してみると、高度なアプリの最適化によって高い性能を発揮できるiPhone、Googleサービスとの高い親和性、AI処理を売りにするPixelという形でそれぞれに強みがあることを感じた。
ゲームをはじめとした高いパフォーマンスを必要とする場合はiPhoneの方がよさそうだ。iPhone 16 Proに搭載されるApple A18 Proは現時点で登場しているスマホ向けプロセッサの中でもかなり高い性能を有しており、性能面の不満は少ないはずだ。
今後のアップデートでApple Intelligenceに対応すれば、AIスマホとしての伸び代も期待できる。外部アプリへの対応次第では、後発商品として競合商品との差別化も図れると考える。
Pixel 9 Proは直感的な画像編集、Geminiを便利に使えるGoogleサービスを主に使っている人におすすめだ。画像編集や動画編集を手軽に行えるので、そのような意味ではクリエイターを目指す方にも向いている。
Pixelの画像編集機能といえば消しゴムマジックや編集マジックがあるが、これらは他のスマートフォンでも利用できるようになった。一方で「ブレ補正」「ズーム画質向上」といった依然としてPixel限定の機能も多い。音声消しゴムマジックも非常に便利だ。
基本的な性能はiPhoneには劣るのでゲームには向かないが、だからといって大きく劣るわけではない。ゲームなどを遊ばずに普通に使う分には不満も少ない機種だ。
最後に両者の価格(税込み)はiPhone 16 Proが128GBで15万9800円、Pixel 9 Proは128GBモデルが15万9900円だ。この差は通信キャリア向けもおおむね共通しており、価格はほぼ変わらない設定と考えてよい。
一方でPixelの方が下取り価格の優遇やGoogleのAI「Gemini Advanced」サービスを含む機能の半年間無料特典が付属するため、お得感は強い。早期購入者は3万2100円相当のストアクレジットも付与されているので(現在は終了)、実質価格は12万円台後半という見方もできる。お得なのはPixel 9 Proだろう。
今回はiPhone Proシリーズの価格帯にPixelが歩み寄ってきた構図となった。どちらを選ぶかといわれると悩ましいところだが、筆者はiPhoneを選択したい。PixelはいくらAI性能を高めたといえ、基本性能は同世代、同価格帯のAndroidスマートフォンに比べると劣る。アップデートは長期でサポートしてくれるとはいえ、4年後、5年後と経過したときに「性能不足で厳しい」と感じてくる場面も出てくるのではないかと考える。
iPhoneの方が性能面で陳腐化しにくく、アプリも高度な最適化で古い機種でも比較的快適に使える。長く使うのなら、筆者はiPhone 16 Proを選択したい。
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