中古市場で「レトロiPhone」が人気? ゲオモバイル渋谷センター街店で販売急増の理由を聞いた
中古スマホを販売するゲオでは、2024年5月以降、中古市場で売れているiPhoneよりもさらに古い“レトロiPhone”がじわじわ売れているという。きっかけになったのは、とあるユーザーがXにポストした内容。じつは日本人ではなく、訪日外国人からの購入が多いそうだ。
中古スマホを販売するゲオでは、2024年5月以降、中古市場で売れているiPhoneよりもさらに古い“レトロiPhone”がじわじわ売れているという。中古市場で現在売れているのは「iPhone SE(第2〜3世代)」や「iPhone 11/12」シリーズ。古いものでも「iPhone 8」や「iPhone 7」に限られる。
しかしゲオでは、それらのモデルよりもさらに古い「iPhone SE(初代)」や「iPhone 5s」「iPhone 6」「iPhone 6s」などが売れているという。この中で最も古いiPhone 5sは、今から11年前の2013年に発売された。いずれのモデルもOSメジャーバージョンアップは打ち切られており、セキュリティアップデートは提供されているとはいえ、現役機種として使うのは厳しい。そにもかかわらず、売れているというのはなぜか。ゲオモバイル渋谷センター街店に訪れて話を聞いた。
【更新:2024年11月18日20時30分 OSアップデートの記述を一部修正しました。】
とあるユーザーの投稿でレトロiPhoneブームが過熱
ゲオモバイル渋谷センター街店で売れていたレトロiPhoneは、2024年2月〜4月は1桁〜2桁台だったが、5月には4月の3倍売れたという。きっかけは、とある韓国人が5月にXで投稿したこと。ゲオモバイル渋谷センター街店で、iPhone SEを6万〜7万ウォン(約6500円〜7500円)で買ったという内容のポストは瞬く間に拡散し、約2.2万のリポスト、約3万のいいねが付いた。
その結果、ゲオモバイル渋谷センター街店では、6月〜7月にかけて、レトロiPhoneが5月の3〜4倍ほど売れたという。その後、8月をピークに売れ行きは鈍化傾向にあるそうだが、ほぼ棚が動いていなかった2月以前と比べると、レトロiPhoneのニーズは依然として残っているそうだ。
昨今のスマートフォンはiPhoneをはじめ、ハードウェアとしてカメラ性能が向上していることはもちろん、「コンピュテーショナリー・フォトグラフィー」により、ソフトウェアで画質を自動補正することが当たり前になりつつある。一方、レトロiPhoneでは画質の補正を今ほど行っておらず、低画質な写真が逆にエモいと評価されることがある。ゲオストア店舗運営部 店長の石川理人氏は、「レトロiPhoneを使用して、あえて画質の低いカメラを使うことで、オシャレな感じの写真を撮れるので、Z世代を中心に人気を集めています」と話す。

左がiPhone 6s、右がiPhone 15 Pro Maxで撮影した夜景写真。iPhone 6sは明かりの部分が白飛びしており厳しい写りだが、画質補正が当たり前の今見ると、逆に新鮮なのかもしれないゲオモバイル渋谷センター街店でレトロiPhoneを購入するのは、9割ほどが韓国人で、年齢は20代前半が多く、女性が9割以上とのこと。ただ、日本でもレトロiPhoneブームは広がる兆候はあるという。ゲオホールディングス 社長室 広報 サステナビリティ推進課の中川稜氏は「岡山などの地域でも、古いiPhoneを買うZ世代の若い方がいます」と話す。「現状は落ち着きを見せていますが、日本でも波及する可能性はあります。何かしら別の契機があると、次は国内需要が増えるんじゃないかと感じています」(石川氏)
渋谷センター街店は訪日外国人が多く、加えて韓国ではTWICEをはじめとした女性アイドルも、レトロiPhoneを使っていることをSNSに投稿していることもあり、韓国人の購入が増えているようだ。そこでレトロiPhoneの在庫をなくならないよう、渋谷センター街店に集約している。中川氏によると、次いで秋葉原店もレトロiPhoneが売れているそうだが、「渋谷センター街店が異常値に近い」とのこと。
人気機種はiPhone 6s 日本の中古スマは海外よりも安い?
特に売れている端末が「iPhone 6s」で、他の倍近く売れているそうだ。レトロiPhoneの販売価格は5000円前後と安い。じつは韓国では、同じようなレトロiPhoneを中古で購入する場合、日本の2〜3倍ほどの値段になるのだという。日本の方がはるかに安いため、韓国人を中心に支持を集めたようだ。
レトロiPhoneを購入した海外のユーザーは、どのように使用しているのだろうか。1つネックになるのが「SIMロック」だ。日本でSIMロックなしで売られたiPhoneは「iPhone 13」以降で、ここで紹介しているレトロiPhoneにはSIMロックがかかっている場合がある。ユーザー自身でSIMロックの解除はできるので、買い取り前に解除されている場合もあるが、SIMロックがかけられたままの機種もある。
石川氏によると、「外国の方であっても、SIMを入れて、そのまま使いたいという人もいらっしゃいますが、大多数の人はカメラ機能を使うことを目的として購入している人が多い」という。ゲオモバイルでは、SIMロックがかかっている機種と解除されている機種が混在しているが、SIMロック解除の有無はプライスカードに記載しているため、来店者に対して「SIMを入れて電話を使いたいなら、SIMフリーになっているものを選んでください」と伝えているとのこと。
ただ、レトロiPhoneでは既にセキュリティアップデートすら提供されておらず、旧OSのままでは利用できるアプリにも制限がある。ネットに接続したりアプリを使い続けたりすることは難しいため、トイカメラやアラームなどとして使うのが現実的だろう。
ちなみに、AndroidではiPhoneのようなレトロブームは起きているのかが気になるが、中川氏は「考えにくい」と話す。例えば韓国ではサムスン電子のGalaxyも人気だが、「韓国の人が(渋谷センター街店に)来店してGalaxyを買うというのは聞いたことがありません」と同氏。
iPhoneは中古市場でリセールバリューが高いことで定評があるが、韓国でレトロiPhoneが日本より高価なこともそれを裏付けている。だからこそ、より安価に買える日本のレトロiPhoneが支持を集めている。韓国のアイドルは日本で知名度の高いグループも多いので、レトロiPhoneブームが日本の若者に波及することも期待される。
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