マイナンバーカードの「特急発行・交付」がスタート 手続き方法や注意点を解説
市町村や特別区が発行する「個人番号カード(マイナンバーカード)」について、12月2日から「特急発行・交付制度」が始まった。この記事では、制度のあらましと使い方を解説する。
市町村や特別区が発行する「個人番号カード(マイナンバーカード)」について、12月2日から「特急発行・交付制度」が始まった。その名の通り、マイナンバーカードを通常よりも早い1週間程度で発行/交付できる制度なのだが、どのようにすれば利用できるのか、注意点と合わせて解説する。
特急発行・交付制度を利用する条件
大前提として、マイナンバーカードの特急発行・交付制度は誰でも利用できるわけではない。以下のいずれかの理由に当てはまる場合に利用可能だ。
- 乳児(満1歳未満)の新規交付
- 刑事施設などに収容されていた人に対する新規交付
- 新たに住民票に記載されたことに伴う新規交付
- 無戸籍者や外国人の新規住民登録時などを想定
- 国外から転入したことに伴う新規交付
- 紛失や破損などに伴う再交付
- カードの追記欄がいっぱいになり、さらなる追記が行えない場合の再交付
- 本人の意思によらずカードが使えなくなった場合の再交付
- 何らかの理由でマイナンバー(個人番号)を変更することになった場合などを想定
特急発行・交付は市区町村の窓口で実施
通常、マイナンバーカードの新規発行申請はオンライン/郵送/証明写真機のいずれかで、再発行や更新発行の手続きは市町村や特別区が指定する窓口で行うことになる。
それに対して、特急発行・交付制度を利用する場合は、新規交付か再交付かを問わず、市町村や特別区が指定する窓口で手続きを行う。これは、(再)交付時に行う本人確認手続きを申請時に一括して行うためだ。
特急発行・交付制度を利用する場合、原則として先述の理由が発生してから30日以内に窓口に出向く必要がある(※1)。その際に必要な持ち物は以下の通りだ。
- 本人確認書類
- (再)交付時に必要な書類を持参する
- 顔写真付きの書類は1点、ない場合は2点持参する必要がある
- 必要書類は市町村や特別区によって異なるので、事前の問い合わせを推奨する
- 顔写真(満1歳未満の新規発行時を除く)
- マイナンバーカードに掲載するために必要
- 写真の要件はこちらで確認可能
- 再交付手数料(必要な場合)
- 通常の再交付手数料の1000円増しとなる
- 電子証明書付きの場合は2000円、なしの場合は1800円
- 原則として所有者に過失がある場合の再発行(紛失時など)に請求される
- 通常の再交付手数料の1000円増しとなる
市町村や特別区が指定する窓口に出向いたら、所定の「マイナンバーカード交付申請書」と「暗証番号設定依頼書」をもらい、必要事項を記入する。書類と写真、再交付時は古いマイナンバーカード(※2)とと再交付手数料(必要な場合のみ)を提出し、本人確認手続きなどを済ませれば手続きは完了だ。
(※1)乳児の新規発行については、満1歳の誕生日を迎えるまで(市町村や特別区によっては出生届の提出と同時に手続き可能)
(※2)紛失による再交付時を除く
マイナンバーカードの特急発行・交付制度を利用する場合、本来は交付時に行う本人確認手続きを発行手続き時に行う。そのため本人確認書類が必要なのだが、要求する書類が市町村や特別区によって微妙に異なる場合があるので、事前に確認してから手続きしたい(画像は東京都足立区の場合で、乳児の出生届との同時提出時を除く)
受け取りは「簡易書留」で
特急発行・交付制度で交付されたマイナンバーカードは、市町村や特別区から業務を受託している「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」から転送不要/留置不可設定の簡易書留で郵送される。原則として申請から1週間で届くが、以下のいずれかに当てはまる場合は、さらに時間を要する場合がある。
- 住民票登録のない市町村や特別区で手続きをした場合
- 氏名または住所に特殊な文字を含む場合
- 申し込みが殺到した場合
今回のマイナンバーカードの特急発行・交付制度は、基本的にはイレギュラーなケースを想定している。通常の新規交付や、10年ごと(※3)にあるカードの更新は対象に含まれていない。
現行のマイナンバーカードは、2016年1月から発行している。そのため、あと2年するとマイナンバーカードの更新手続きが一気に増えることになる。特急でなくても構わないので、更新カードを簡易書留で郵送する制度を作ってもらえるとありがたいのだが……。
(※3)18歳未満の場合は5年
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