耳をふさがない有線イヤフォン「nwm WIRED」を試す AppleのEarPodsユーザーが驚いたワケ
完全ワイヤレスイヤフォン主流の今どき、耳をふさがない有線イヤフォンでZoomするのも悪くない。耳をふさがない有線イヤフォン「nwm WIRED」を使ってそう感じた。EarPodsユーザーから見た魅力はどこにあるのだろうか。
完全ワイヤレスイヤフォン主流の今どき、耳をふさがない有線イヤフォンでZoomするのも悪くない――。そう思わせる製品に出会った。
先日、NTT子会社で音響関連事業を行うNTTソノリティから、とあるものが届いた。耳をふさがない有線イヤフォン「nwm WIRED」で、市場想定価格は4950円(税込み、以下同)だ。
同社が2024年11月20日に発売し、同日から公式ストア、直営店、Amazon、楽天市場、家電量販店で順次販売している。nwmは没入ではなく“共存(Co-being)”をコンセプトとするNTTグループ初の音響ブランドだ。
WIREDと製品名に付く通り、同ブランドから出た有線タイプのイヤフォンだが、ぱっと見ではごく一般的なイヤフォンだ。有線イヤフォンは完全ワイヤレスイヤフォンに手を出して以降、使わなくなっていたため、わざわざ新しいイヤフォンに乗り換える気はしなかったが、ものは試しで使ってみたら意外とよかった。
耳をふさがない構造なのに音漏れしづらい
この記事でいう有線イヤフォンは直径3.5mmのステレオミニプラグが付いたイヤフォンを指す。筆者自身、普段はAppleの「EarPods」をZoomでの会議に利用している。移動の合間にカフェで会議をする機会が多く、Bluetooth接続のワイヤレスイヤフォンだと他のBluetooth機器が多い環境では音声が途切れることから、Zoomでの会議にはあえて有線イヤフォンを使う。
EarPods自体はイヤフォンのイヤーピースがなく、耳に完全にフィットするわけではないが、そこそこ音質がよく相手の声が聞き取りやすいことに加え、音量の調節、音楽やビデオ再生の操作、電話への応答と通話終了に利用するリモートコントロールボタンと、マイクが付いているため、何の不自由もない。
壊れない限りはこのままEarPodsを使い続けたい、と思っていたところ、急に届いたのがnwm WIREDだった。
同社でクリエイティブディレクターを務める竹内慎太郎氏いわく、nwm WIREDは「バッテリー切れや遅延の心配がなく、PCなどの3.5mmイヤフォンジャックに挿すだけで、すぐに音声を聞き取れる」有線イヤフォンだ。
使って最も驚いたのは耳をふさがない構造なのに音漏れしづらいこと。これこそがnwm WIREDの最大の売りだ。ある音波(正相)に対し、180度位相を反転させた波形(逆位相)を重ねることで、音が消える原理を応用した「パーソナライズドサウンドゾーン(PSZ)」耳元に音を閉じ込めて音漏れを抑制するPSZ技術を搭載する。
ある音波(正相)に対して逆相の音波を当てることで音波同士が打ち消し合う原理を応用し、耳元に小さなカプセルのような音の空間を生み、耳をふさがなくても周囲への音漏れを抑制する。画像は同社のニュースリリースより引用
音が全く漏れないわけではないが、家族に確認してもらったところ、ノートPC(MacBook Air)で音量を最大にして動画を再生したところ、数10cm程度まで寄らなければハッキリとは聞き取れないレベルで、音量を50%にするとさらに音漏れは気にならないとのことだった。
その反対に、騒がしいところではnwm WIREDの耳をふさがない構造がデメリットとなり、周囲の騒がしい音が気になり、通話相手の声を聞き取りづらい。ただ、まったく聞き取れないほどではない。
騒がしい環境では聞き取りづらい 音楽には不向きか
音質はどうだろうか? nwm WIREDの音質はそこそこいい、という印象だ。クラシックや劇伴(映画やドラマ、演劇などの映像作品で流される)など、弦楽器の繊細な音表現や、低音重視の人には確実に向かないが、ポップスやファンク、フュージョンといった軽い乗りのジャンルには向く。
一方、EarPodsは人の声も楽器の音も音量をマックスにしなくても、nwm WIREDより聞き取りやすい。これは構造の違いからそう感じるのだろうが、nwm WIREDが格段に劣っているとまではいえない。音数の多い音楽はまだいいが、人の声は声量や声質によって聞き取りづらい。
なぜ、こうなるのかというと、nwm WIREDが耳をふさがない構造なのはもちろんのこと、イヤーピースがなく耳に入れるタイプではなく、耳の後ろにかけるように装着しているから。耳により近いところで音を発するEarPodsとは違う、というわけだ。
一般的なイヤフォンと聞くと、イヤーピースを耳の穴に差し入れるカナル型イヤフォンを想起する人が多いのではないだろうか。耳に密着する面積が多く、音漏れしづらいのが特徴だが、イヤフォンとイヤーピースのサイズ、素材、形状によっては圧迫感を感じることもある。
EarPods(画像=左)はイヤーピースのないイヤフォンだが、nwm WIREDよりも近いところで音を発する構造のため、音量をマックスにしなくても聞き取りやすい。nwm WIRED(画像=右)は耳にかけるタイプで、耳に入れて使うタイプではない
反対に、nwm WIREDは耳かけと表現した方が伝わりやすいだろうか。ただ、耳にかける部分の長さや堅さの調整ができないからなのか、2〜3時間を超える長時間の装着はつらい……と感じることがある。それでも圧迫感はなく、両耳約7.2gと軽いため、ストレスを感じるほどではない。1時間程度の会議なら平気だ。
手頃な価格で買いやすいのもnwm WIREDの魅力
EarPodsが壊れるまではこのまま使い続けたい、と決めていた筆者だったが、nwm WIREDを使うと、耳をふさがない有線イヤフォンでZoomするのも悪くない、と確信できた。
手頃な価格も評価できる。竹内氏によると、nwm WIREDは「全ての人が手に取りやすいよう、コストパフォーマンスを追求したエントリーモデル」で、価格はEarPodsの2780円(Apple Store)より2170円高いが、税込み4950円と求めやすい価格となっている。
音漏れするのではなかろうか……? と耳をふさがないイヤフォンの購入をためらっている人こそ、高価なモデルを買う前に、nwm WIREDを検討してみてはいかがだろうか。
(製品協力:NTTソノリティ)
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