テクニクスの最上位イヤフォン「EAH-AZ100」を試す 進化したマルチポイント接続が便利すぎ! 音質も妥協なし(2/2 ページ)
2025年に入って2カ月あまり。既に多くの機種が登場しているワイヤレスイヤフォン。そんな中、日本でも発表直後から大きく注目されているTechnicsブランドの完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ100」を実際に1カ月使ってみたので、今回レビューする。
ワイヤレスでもしっかり高音質、ノイキャンや外音取り込みも優秀
EAH-AZ100はテクニクスの最上位機種というだけあって、高音質仕様のハードウェアを採用している。本機種には同社が13万2000円で販売していた有線イヤフォン「EAH-TZ700」とほぼ同じドライバーユニット「プレジョンモーションドライバ」が採用されている。
このドライバーユニットは10mm口径のアルミ振動板に加え、振動板周囲を柔らかいエッジで支えるフリーエッジ構造を採用。今作のアピールポイントである磁性流体を潤滑油のように用いることで、ゆがみを抑えてより滑らかに振動板を駆動できるようにした。
対応コーデックはハイレゾ対応の高音質コーデックLDACに対応し、次世代規格のLEAudioにも対応している。これによって、幅広い周波数帯域で色付けのないきめ細かな再生と広いサウンドステージを実現したとのこと。
実際にEAH-AZ100を聴いてみると、完全ワイヤレスイヤフォンとは思えない高品質なサウンドに驚いた。特に量感のある低域、空間表現のうまさは特筆できる部分で、基本性能は前作のEAH-AZ80からしっかり進化したように感じる。
高域のキラキラ感はやや抑え目ではあるものの、音の立ち上がりのよさとサウンドステージの広さから来る抜けのよさを備える。ボーカルの表現は柔らかく、つややかな表現が魅力的。全体的に「生き生きとした様子」を感じ取れるという表現が適切だと思う。ディップやピークの設定が非常に考えられており、メーカーのアピールする「生音」の雰囲気が伝わってくる。音楽の必要な部分を余すことなくしっかり表現する、いい音作りがされたイヤフォンだ。
筆者はイヤーピースを COREIR コレイル BRASSに換装しているので、標準イヤーピースと比較すると高域がやや前に出てくるように感じる。少々低域が強いと感じる人におすすめの交換用イヤーピースだ。耳の奥に入ることもあって、より高いフィット感を得ることもできる。
同社広報によると、EAH-AZ100の基本的なサウンドチューニングはLDACの設定で行っているとのことで、より高音質で楽しむためにはLDAC対応のスマートフォンや音楽プレーヤーと組み合わせたい。一方、iPhoneのAACコーデックでも十分高音質で楽しめたので、コーデックによって大きく音が変わることのない機種という印象だった。
フィット感もより良好な仕上がりへと進化した。耳のくぼみ(コンチャ)にきれいに収まる設計としており、高いフィット感を備えている。先代のEAH-AZ80よりも本体がコンパクトになったことで、より多くの人にフィットするようになった。
ノイズキャンセリング性能や外音取り込み機能も進化した。ノイズキャンセリングは特に低域の処理能力が向上したように感じた。AZ100にてアダプティブ処理が追加され、周囲ノイズ量に合わせて感度を自動調整できるようになっている。
外音取り込み機能は周囲の音をより違和感なく取り込めるようになった。この部分はAppleのAirPods Proに引けを取らないレベルに進化しており、Galaxy Buds3 Proなどの好評な機種に匹敵する。もちろん、付けた状態での会話もしっかり行える。
通話時の品質も抜群によい。EAH-AZ100では風切り音の抑制や利用者の声を拾う性能も高く、通話シーンでストレスを感じる場面はなかった。通話相手の環境音ノイズをAI処理で抑える「Voice Focus AI」も搭載。相手方のノイズが大きい場面でも、AZ100側の内蔵チップでAI補正をかけ、音声を聞き取りやすくしてくれる。これは普段の通話よりも、会場マイクを使ったZoomミーティングなどでその効果を体感できた。
EAH-AZ100は音質重視の構成ながら、前述のマルチポイント接続をはじめ機能面にも抜かりはない。専用アプリも備えており、各種設定やソフトウェアアップデートはアプリから行える。各種モードの切り替え、イコライザーの設定の他、タッチセンサーのカスタマイズも可能。接続も簡単で、Google Fast Pairに加えてWindows PCのSwift Pairにも対応しており、煩わしい設定は不要で接続できる。
機能面も音質も最高クラス 2025年最注目のワイヤレスイヤフォン
本機種はテクニクスの最上位ワイヤレスイヤフォンとして、音だけでなく、機能面もしっかり作りこんでおり、どのような環境で使ってもしっかり使えると感じた。実売3万9600円と決して安くはないが、プライベートもビジネスもこれ1つでしっかり対応できると考えると、価格以上の価値を感じられる。
パナソニックグループの商品だけあって、販路は日本のみならずアジア、欧州、北米などとかなり広い。日本市場はその中でも特に力を入れており、価格面だけでなく地方の家電量販店で試聴できるのもうれしい。ある程度の規模の量販店なら、実機を用いてお手持ちのスマートフォンなどを試せる。
完全ワイヤレスイヤフォンに高音質を求める人はもちろん、ノイズキャンセリングやマルチポイント接続といった機能面も妥協できない。そんな欲張りなあなたの声にしっかり応えられる相棒がEAH-AZ100だと考える。中でもマルチポイント接続の機能性を求めるなら、テクニクスのイヤフォンをチェックしてみてはいかがだろうか。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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