「iPhone 16e」にまつわる7つの謎 「e」の意味は? LTE対応バンドはなぜ減った? Appleキーパーソンに聞く(2/2 ページ)
最新「iPhone 16e」について、Apple ワールドワイドiPhoneプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのカイアン・ドランス氏にお話を聞いた。iPhone 16eのeに込められた意味や、カラーバリエーションが2色の理由は? 初の自社開発モデム「C1」についても聞いた。
その5:C1モデムは今後のApple製品にも搭載される?
iPhone 16eではAppleが開発したモデム「C1」を搭載したこともトピックの1つだ。高速で安定した5G通信のために搭載しており、電力効率が向上したことで長時間のバッテリー駆動を可能としている。また、GPSへの対応やAppleの衛星通信の対応も、C1が実現しているという。
今後、このC1モデムが他のApple製品にも搭載されていくのかは気になるところだが、ドランス氏は、ハードウェアとソフトウェアの両面で、さまざまな製品に広がっていく可能性があると述べる。通信品質については未知数の部分も多いが、バッテリーの持ちが向上することは歓迎すべきこと。次期iPhoneへの搭載も期待される。
その6:日本の対応バンドが減ったのはなぜ? C1モデムの影響?
自社開発のモデムに変更された一方で、iPhone 16eは、これまで他のiPhoneが対応していたLTEのバンド11と21が省かれてしまった。いずれも1.5GHz帯で、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが運用している。LTEのつながりやすさに影響が出ることが懸念されるが、これらのバンドが省かれたのはC1の影響なのだろうか。
ドランス氏によると、バンドの変更はC1とは全く関係がなく、日本モデルのカテゴリーに起因するものだという。iPhoneは販売する国や地域ごとに複数のモデルが存在する。例えばiPhone 16の場合、日本で販売されているモデル「A3286」は、カナダやメキシコなど合計で13の国や地域をカバーしている。
一方、iPhone 16eの日本モデル「A3409」は、カバーする国や地域が一気に188まで拡大している。16eにもカナダやメキシコをカバーするモデル「A3408」が存在するが、ここから日本が外れ、東南アジアや欧州など、より多くの国を含むモデルに移ったためだ。これらの国や地域に最適化を図る中で、日本専用のバンド11と21は外れてしまったのだと思われる。
バンド11と21が使われているエリアは、他のLTEバンドもカバーしており、Appleとしては即座に影響が出ることはないとの考え。国内キャリアともネットワークの検証テストを行っており、安定した結果が出ているとのこと。他のiPhoneと同等の通信品質であることに自信を持っているようだ。
その7:A18のGPUコア数が少ない影響はある?
細かい話だが、iPhone 16eが搭載するA18は、GPUのコア数がiPhone 16の5コアよりも少ない4コアとなっている。高負荷のゲームではわずかな差が出るかもしれないが、ドランス氏によると、グラフィック要求の高いゲーム体験でも、iPhone 16eは決して引けを取らないという。また、少なくともApple Intelligenceの機能では、何ら影響ないとのこと。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新型iPhoneはなぜ「iPhone SE」ではなく「iPhone 16e」なのか
iPhone 16eは、従来の「iPhone SE」シリーズの系譜に位置付けられるモデルだと考えると、製品名は「iPhone SE(第4世代)」とするのが妥当だ。しかし、ふたを開けてみたら、製品名はiPhone SE(第4世代)ではなくiPhone 16eだった。その理由はデザインとApple Intelligence対応にあると考える。
「iPhone 16e」と「iPhone 16」は意外と違いが多い 外観やスペックの差をチェック
iPhone 16eは廉価版iPhoneではなく、iPhone 16シリーズの1機種という扱いになっています。そこで、iPhone 16eとiPhone 16の違いをまとめます。ディスプレイやカメラ機能、MagSagfe非対応など違いは意外とあります。
「iPhone 16e」は何が変わった? 「iPhone SE(第3世代)」とスペックを比較する
iPhone 16eがiPhone SE(第3世代)から何が変化、進化したのかをまとめる。最も大きな変化は、初代SEから継承していたホームボタンがなくなったこと。ディスプレイ、カメラ、プロセッサの性能も底上げされている。
“魔改造”でSEの魂を受け継いだ「iPhone 16e」 不安要素は「価格」「ライバル」「対応バンド」にあり
「iPhone 16e」は、プロセッサを最新モデルに合わせて処理能力を維持しながら、過去に販売されたモデルを部分的に組み合わせて価格を落としている。一方、機能性が高まったこともあり、ドル建てでの価格はやや上がっている。iPhone 16との価格差が少ないことや、対応バンドが少ないことも不安要素に挙がる。
「iPhone 16e」実機レビュー カメラや処理性能、独自モデム「Apple C1」による通信品質はどうか
iPhone 16eは、iPhone SE(第3世代)の後継モデルと呼べる存在だが、iPhone 16のファミリーとして登場。これまでiPhone SEシリーズの特徴だったホームボタンを廃している一方で、処理能力の高さは受け継がれている。実際の使い勝手を確かめるべく、発売に先立って試用できた実機をレビューしていきたい。

