Xiaomi Storeの展開から見える、日本市場の戦略変化 スマホはオープン市場重視に転換か:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
Xiaomiは、海外で発表されたばかりの「Xiaomi 15 Ultra」や「Xiaomi 15」の日本投入を発表。スマホ以外のワイヤレスイヤフォンやタブレット、IoT家電とその製品数は多岐にわたる。これらを一挙に展示、販売する拠点として、Xiaomi Storeの常設店もついにオープンする。日本市場の本格拡大に向けかじを切ったXiaomiだが、どのような販売戦略を立てているのか。
ミッドレンジモデルも発表、謎が残るRedmi Note 14 Pro 5Gの仕様
Xiaomi Storeの開設でオンラインに加え、オフラインの直販を強化しているXiaomiだが、Xiaomi 15やXiaomi 15 Ultraをより強力に販売するのも、こうした戦略の一環といえる。スマート家電を豊富に取りそろえ、事業の多角化は進んでいるものの、Xiaomiの売り上げはスマホの占める割合は半数程度と高い。Xiaomi Storeの展開には、Xiaomi自身がコントロールできるオープンマーケットモデルが必要だ。それも、その他の家電に負けないバリエーションが必要になる。
こうした戦略のためか、3月13日のイベントではフラグシップモデルとなるXiaomi 15やXiaomi 15 Ultraだけでなく、ミッドレンジモデルの「Redmi Note 14 Pro 5G」も合わせて発表している。2億画素のメインカメラを備えたモデルで、プロセッサにはMediaTekの「Dimensity 7300-Ultra」を採用。これは、1月に発売された「POCO X7」と同じプロセッサで、処理能力は比較的高めの端末になる。
オープンマーケットモデルを一気に拡充しているXiaomiだが、キャリア経由の販路は諦めてしまったのか。この疑問に対し、先の鄭氏は、「日本では、キャリアと量販、弊社自身のチャネルのバランスを取りながらやっていく」とコメント。「スマホはキャリアやMVNO、量販店が強いので、そこは一緒にビジネスをやっていく」とした。豊富なラインアップの中から、一部はキャリア向けにカスタマイズを施しつつ、そうでないものは自社で展開していく方針と捉えていいだろう。
安達氏も、「販路によって期待できる数量は大きく異なる」としており、キャリア経由で数を稼ぎつつ、オープンマーケットではよりバリエーションを出していく方針であることを示唆した。事実、発表会にはキャリア関係者も招待されていたという。今回発表されたスマホやタブレットは、いずれもオープンマーケットモデルで、これらがキャリアでも販売されるというわけではないが、今後、何らかの形でキャリアの必須仕様に沿った端末が追加される可能性はある。
もっとも、ミッドレンジモデルで販売数が稼げそうなRedmi Note 14 Pro 5Gまで、FeliCaなどの日本仕様が省かれていた点には疑問も覚えた。同クラスの端末は、数が出ることでコストを抑えている。また、フラグシップモデルほどとがったユーザーが使う端末ではないため、今までの端末でできていたことが求められる傾向も強い。翻って日本市場全体を見渡すと、5万円前後の端末でおサイフケータイなどに全対応しているモデルは多い。
実際、Redmi Note 14 Pro 5Gの先代にあたる2024年モデルの「Redmi Note 13 Pro 5G」は、同じく2億画素カメラに比較的高性能なプロセッサを搭載しながら、おサイフケータイに対応していた。オープンマーケットモデルはなく、auやUQ mobileが同モデルを取り扱っていた。その上位版にあたる「Redmi Note 13 Pro+ 5G」はオープンマーケットモデルながら、ベース機と同様おサイフケータイに対応している。
コストパフォーマンスの高いミッドレンジモデルは、Xiaomiのシェアを支えているだけに、この仕様の割り切りによって販売数を落としてしまう恐れもある。2024年とは異なり、上位モデルが発表されていないため、“隠し玉”がある可能性もあるが、現状では、Xiaomiが軸足をよりオープンマーケットに移しているようにも見える。少なくともXiaomi Storeの展開開始に伴い、ラインアップ戦略を転換し始めていることがうかがえた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Xiaomi「ガンガン行こうぜ」モードで製品ラインアップ拡充、FeliCaなしも“グローバルとほぼ同時”のスピード重視
シャオミ・ジャパンは、Xiaomi 15シリーズなどハイエンドスマホ3機種を含む20種類以上の新製品を発表。イオンモールへの日本初の常設店「Xiaomi Store」開設も明らかにした。
国内初の常設店「Xiaomi Store」をイオンモールにオープン 最大32%オフセールも
Xiaomiが3月13日、日本初となる常設店「Xiaomi Store」のオープンを発表。イオンモールとの協業により、イオンモール浦和美園とイオンモール川口で展開する。グローバルで展開している約1万5000店舗のXiaomi Storeで培ったノウハウを生かす。
「Xiaomi 15 Ultra」3月18日発売 望遠カメラが2億画素に進化して暗所での性能が向上、17万9800円から
Xiaomi Japanが、最上位スマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」を国内で3月18日に発売する。3月2日にグローバルで発表したばかりだが、そこから約10日という短いタイムラグで日本投入を発表した。ペリスコープ望遠カメラが先代の「Xiaomi 14 Ultra」が5000万画素から2億万画素に進化している。
「Xiaomi 15」日本で4月1日発売 ライカカメラ搭載の小型フラグシップ、12万3000円から
Xiaomi Japanが最新スマートフォン「Xiaomi 15」を4月1日から日本で販売する。幅71.2mmのボディーはベゼルの幅を1.38mmに抑えており、6.36型ディスプレイを備えながら、片手での持ちやすさにこだわった。ライカと共同開発した5000万画素カメラを3つ搭載している。
「Redmi Note 14 Pro」3月22日発売、耐久性重視のミッドレンジスマホ 4万5980円から
Xiaomi Japanは3月22日、スマートフォンのミッドレンジモデル「Redmi Note 14 Pro 5G」を発売する。耐久性を重視し、長期間使えるように設計されたモデルで、GoogleのAIアシスタントGemini、かこって検索に対応する。市場想定価格は8GB/256GBが4万5980円(税込み、以下同)、12GB/512GBが5万5980円。



