今買うべきは「Pixel 9a」「Pixel 9」のどちらか、実機で検証 決め手はカメラも価格が悩ましい(2/2 ページ)
Pixel aシリーズ最新モデルの「Google Pixel 9a」。上位に当たる「Google Pixel 9」シリーズと同じく、Gemini、ベストテイク、音声消しゴムマジックなどのAI機能を搭載しつつ、Pixelとしては価格を抑えている。価格やデザイン、カメラ、性能について実機で比較する。
ベンチマークスコアはPixel 9aと9ともにほぼ変わらず 普段使いなら問題ないか
性能には差があるのだろうか。両モデルに「Geekbench 6」をインストールして確認した結果、シングルコアスコアはPixel 9aが1702でPixel 9が1756、マルチコアスコアはPixel 9aが4410でPixel 9が4458となった。どちらも大差のない結果だが、数値としてはPixel 9の方が若干高い。
他社のモデルと比較すると、Pixel 9a/9のシングルコアスコアはSnapdragon 7+ Gen 2搭載の「Xiaomi POCO F5」より高い一方で、Snapdragon 8 Gen 2搭載の「Galaxy S23」には及んでいない。Pixel 9a/9のマルチコアスコアは同じくPOCO F5とS23の中間に位置している。POCO F5もS23も2年前の2023年に登場。前者はミッドレンジモデルで後者はハイエンドモデルだ。ただ、WebやSNS、動画の閲覧において、レスポンスは悪くなく、一般的な使用方法なら申し分ない。
他製品のスコアを確認すると、2年前のAndroidスマートフォンに近い性能レベルとも判定できるが、アプリの起動や切り替え、スクロールなど、基本的な動作のレスポンスは悪くなく、一般的な使用方法なら申し分ない性能と評価できる
とはいえ、AI時代においては単にベンチマークの結果だけでは、分からない差分もある。Googleとしても直接的に他社製品との比較スコアは示していない。だが、処理能力を必要とするゲーミング用途というより、GoogleがPixelに提供するGeminiやカメラ/編集、文字起こしの体験を重視していることから、とりわけユーザーとしても「何に使うか」を考えて選べばいい、という話ではある。
Pixel 9aで利用できない機能も
Pixel 9aで利用できない機能としては「Pixel Screenshots」が挙げられる。Pixel Screenshotsは単なるスクリーンショット機能ではない。例えば、自分が行きたいレストランのWebサイトやレビュー記事のスクリーンショットを撮ると、そのレストランの住所やメニュー、そのWebサイトのメタデータであるURLなどを端末内に保存する。
Pixel Screenshotsは、AIモデルのGemini Nanoと、プロセッサのTensor G4ならではのAI機能の1つだ。ひいては、操作の全てが端末上で実行できる、いわゆるオンデバイス処理のため、端末がインターネットに接続できない環境下でも利用できる。
通話内容をAIで要約する「Call Notes(通話メモ)」もPixel 9aでは利用できない。Pixel Screenshotsと通話メモは、2025年4月1日時点で日本では提供されておらず、Pixel 9でも利用できない。
日本モデルへの機能拡充も期待されるが、仮に体験できることがPixel 9aとPixel 9で変わらなくなってしまうと、Pixel aシリーズのコストパフォーマンスをより高められる一方で、1つ上のモデルとの差別化が十分図れず、消費者としてもどちらを選べばいいのか判断しづらくなる面がある。
結論:aシリーズとしては高くなり、お買い得感を提示できるかが勝負どころ?
このように、Pixel 9aはカメラ周りのデザインはスッキリとまとめられ、Pixel 9との差別化を「見た目でも分かりやすく示された」と評価できる。また、日本向けモデルはFeliCaを搭載しおサイフケータイを利用できる他、グローバル共通でワイヤレス充電にも対応しているため、上位モデルと比べて機能面で大きく見劣りする印象はPixel 6a/7aの頃と比べて少なくなった。
これからPixelのスタンダードモデルを買うなら、間違いなくPixel 9aかPixel 9かで迷うだろう。先の作例で示した通り、カメラ撮影における質に少しでもこだわるのであれば、これからPixel 9に手を出すのも十分ありだとはいえる。
一方、価格はPixelを選ぶ上でジレンマとなる。Pixel 7aでは6万2700円だったaシリーズの価格は、モデルチェンジの度に為替レートが反映されてしまい、Pixel 8aとPixel 9aでは7万円台からと高くなってしまったのは否めない。
定価だけを見ればPixel 9よりも安価なPixel 9aが魅力的なのは事実だが、Pixelのaモデルの価格が上昇すれば、aモデルと1つ上の無印モデルとの価格差が小さくなり、価格だけで選ぶのはさらに悩ましい。
aモデルは、手の届きやすいPixelというイメージがあるだけに、割引規制のある中で、どうお買い得感を提示できるかが勝負どころともいえそうだ。
(製品協力:グーグル)
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