「Nothing Phone (3a)」の実力検証 予想外に使えたAI機能、処理能力やカメラも進化した“本気”のデバイスだ:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
4月15日に発売された「Nothing Phone (3a)」は、Qualcommのチップを採用して処理能力を底上げしただけでなく、カメラ機能を強化。AIを活用した新機能の「Essential Space」や、それをワンプッシュで呼び出せる「Essential Key」も搭載する。発売に先立ち、Nothing Phone (3a)を試用できたので、その実力や投入の狙いを解説する。
ワンタッチで登録できるスケジューラーにもなるEssential Space、予想外に使えたその実力は
試しに、本誌編集長と取材相手を含むメールでインタビューの日程が記載されていた部分を表示させ、Essential Keyを押し、「取材の日程」とだけメモしてみた。このようなメール2通に加え、近く取材する予定の記者会見の概要が書かれたメールも、Essential Spaceに登録した。すると、Essential SpaceがAIで日程を読み取り、スケジューラーのように予定を順番にまとめてくれた。
予定をタップすると、記録した実際のスクリーンショットや場所などを見ることができる。また、その予定をこなすために必要であろうことが、吹き出しで提案されている。インタビューに関しては「質問リストを準備し要点を整理」というように、具体的な形で行動が促された。スクリーンショットを見る限り、特に質問をリスト化するようなやりとりはないため、AIがインタビューであることを読み取り、事前の準備としてこう判断したことがうかがえる。
こうした情報はEssential Keyを押しただけで登録されるため、メールで送られてきた予定を解釈し、時間や場所などを1つ1つカレンダーアプリに入力していくより手っ取り早い。最近のAndroidスマホでは、Geminiに任せる手もあるが、Geminiを呼び出して指示を出すよりも簡単だ。専用ボタンを搭載したゆえの利便性といえる。初物ながら、日本語メールの解釈も正確で驚かされた。ただし、音声でのメモは誤変換も多かったので、キーボードから入力するようにしたい。
ここで紹介した使い方はあくまで一例。雑誌に載っている料理の写真を撮って「明日これを食べる」といった予定や、欲しいグッズをWebで見つけて「月末までに買う」といった予定を登録してもいい。カレンダーと使い分けるよう、日々のちょっとしたToDoを記憶しておくためにも利用できそうだ。カメラ起動時にEssential Keyを押すと、スクリーンショットではなく、写真そのものが記録される。

9月に機種変更する予定のスマホを撮り、その旨を記載したところ、自動的に計画が策定された(写真=左)。水の購入予定も記録された。音声からの文字起こしは不正確だったが、画像で内容が判断されたようだ(写真=右)ただし、スケジューラーとして使うには、物足りない部分もある。予定をNothing Phone (3a)からしか参照できないため、PCやタブレットなど、複数のデバイスを使っていると確認に手間がかかる。デバイス間の連携は、クラウドでデータを同期できるGoogleカレンダーやiCloudのカレンダーが得意とするところ。端末内に閉じてしまうと、使いどころも限定される。
そもそもEssential Spaceは登録制のβ版として提供されており、データ移行にすら対応していない。その一方で、今後ブラッシュアップしていけば、かなり使い勝手がよくなりそうな予感もある。NothingらしいAIの活用方法として、継続的に機能に磨きをかけていってほしい。
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