PayPayと三井住友カードの“大連立”が生まれた背景 ソフトバンクの携帯料金値上げも抑えられる?(1/4 ページ)
三井住友カードとソフトバンクは5月15日、デジタル分野における包括的な業務提携に合意したと発表した。三井住友カードのOliveやPayPayなどの連携によって、新たな取り組みを展開していく。三井住友カードとソフトバンクの連携においては、まずはソフトバンクがヘルスケアサービスをOlive向けに提供する。
三井住友カードとソフトバンクは5月15日、デジタル分野における包括的な業務提携に合意したと発表した。三井住友カードのOliveやPayPayなどの連携によって、新たな取り組みを展開していく。
具体的には、
- PayPayに三井住友カードを登録しても手数料なしで利用する
- OliveからPayPayへのチャージ
- 手数料無料の出金
- PayPayポイントとVポイントの相互交換が可能になる
といった決済分野に加えて、ヘルスケア、データ連携、AIといった幅広い分野で連携する。
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の取締役執行役社長グループCEOの中島達氏は、「キャッシュレスをリードする三井住友カードとPayPayの大連立を実現する」とアピールする。
三井住友カードは手数料なしでPayPayと連携可能 OliveアプリでPayPay優遇も
今回の業務提携は2本の柱からなる。三井住友カードとソフトバンク、三井住友カードとPayPayというそれぞれにおける連携で、「大連立」として位置付けられるのが、三井住友カードとPayPayの相互の優遇策などの施策だ。
まずはPayPayにひも付けるクレジットカードとして、三井住友カードを優遇する。PayPayでは、クレジットカードをひも付けての決済に関し、PayPayカード以外はPayPay側に手数料が発生していることから、新たな決済方式を検討し、2025年夏以降に移行する方針を示していた。
その中で三井住友カードのクレジットカードは、PayPayカードと同様に手数料を徴収しないことにした。同社のNL(ナンバーレス)カード、Oliveに加えて、提携カードであるANAカードやAmazonカードなども対象になる。ただし、PayPayステップやキャンペーン、カード利用におけるポイントなどの還元がどうなるかはまだ決まっていないそうだ。三井住友カードの大西幸彦社長は、「PayPayカード以外だと当社だけが、手数料なしでPayPay加盟店でカードが使える」とアピールする。
OliveアプリでもPayPayへの優遇を行う。アプリ内でPayPayの残高が確認できるとともに、三井住友銀行口座からのPayPay残高へのチャージ、PayPay残高からの出金がアプリから直接行える。PayPay残高の三井住友銀行口座への出金手数料も無料化する。
クレジットカード、デビット、ポイント払いを切り替えて1枚のカードで支払いができるフレキシブルペイにおいて、PayPay残高の支払いも可能になる。これによって、「PayPayが使えないがクレジットカードは使える加盟店」において、PayPayの残高で支払いができることになり、海外でもPayPay残高で支払いができることになる。大西氏は「いわゆるオープンループのスキーム」と説明する。
PayPayポイントとVポイントの相互交換も可能に
3つ目がPayPayポイントとVポイントの相互交換だ。PayPayの中山一郎社長は、「Vポイントの利用者がおよそ9000万人弱、PayPayポイントの利用者は延べ2億9000万なので、3億8000万人が、VポイントとPayPayポイントを活用している」と説明し、多くの利用者にメリットが提供できると強調した。
大西氏は、「三井住友カードとPayPayが大連立を実現する中で、これら2つのポイントの開放は必然」と強調。2つのポイントを合わせると利用者数、発行額ともに「国内最大規模のポイント連合になる」と大西氏。
「PayPayポイントはソフトバンクやPayPayの経済圏で急成長を遂げており、Vポイントは世界中のVisa加盟店でも使えるという、開かれたポイントであり、タイプが違う2つのメジャーポイントが同盟関係を結ぶということ」――大西氏はそう表現する。
さらにソフトバンクの宮川潤一社長も、「PayPayは6900万、三井住友カードは3900万の会員数で、どちらもナンバー1同士の握手」と話す。
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