スマホとマイナンバーカードで「パスポート(旅券)」を更新して分かったこと 窓口が遠い人や時間のない人にはメリット大(課題もあり)(3/4 ページ)
海外に渡航する際に、唯一の身分証明書となる「パスポート(旅券)」ですが、2025年3月の法改正によって切り替え(更新)を含むほぼ全ての手続きをオンラインで行えるようなりました。パスポートの更新で、スマートフォンでオンライン申請を試してみました。
次の連絡は申請から18日後(受理日から15日)
パスポートの切り替え申請後、しばらくは音沙汰がありません。「いつ通知が来るかなー」と海外出張中もマイナポータルをほぼ毎日確認していたのですが、動きはありません。
動きがあったのは申請から18日後、受理日ベースでは15日後でした。マイナポータルアプリと連絡先メールに「自治体(東京都)からのコメント追加とメッセージ連携があった」という通知が届いたのです。
通知の「更新日」を見ると、申請日のままです。しかし、これはシステムの仕様で、パスポートの受け取り手続きが完了するまでは変わらないそうです。もうちょっとどうにかならないものか……。
マイナポータルから通知を見ると、パスポートの審査が完了した旨と、交付(引き渡し開始)予定日が書かれています。「すぐ受け取れるのかな」と意気揚々と交付予定日を見ると、何とさらに8日後の日程が示されています。これはさすがに想定外でした。
なぜ交付がこんなにも遅いのか?
なぜ交付がこんなにも遅いのか――これには、パスポートに絡む2つの“変更”が絡んでいます。
【パスポート自体の仕様変更】
パスポートは常に“偽造”との戦いです。そのため、ICAO(国際民間航空機関)ではパスポートについて規格を随時アップデートしています。それに従って、ICAOに加盟する国/地域は随時パスポートの仕様を変更しています(変更のタイミングは国/地域によって異なる)。
日本では2020年にパスポートの“内部”デザインを変更したばかりでしたが、ICAOの最新規格に合わせるべく、2025年3月24日以降に受理したパスポートについて、以下の仕様変更を行いました。
- 所持人情報ページのプラスチック化+ICチップの搭載
- 従来は冊子の真ん中のページに「ICチップのページ」を設けていた
- それを所持人情報ページ(2ページ)と一体化した上で、プラスチックに
- 所持人情報ページの文字や写真をレーザー印刷化
- これにより、所持人情報ページにある写真は白黒に
- 所持人情報ページの写真は2カ所に
- その代わり、カラーの写真は渡航先情報ページ(4ページ)に移設
- 生産の全過程を国立印刷局で行う体制に変更
- 従来は国立印刷局で作った冊子を都道府県や在外公館に配送し、都道府県または在外公館で個人情報の登録(所持人情報の印刷+ICチップへの書き込み)を行っていた
上記のうち「生産の全過程を国立印刷局で行う体制に変更」されたことが大きく響き、従来は申請から1週間程度で受け取れたものが、申請から2週間程度にまで伸びることになってしまったのです。
2025年3月24日の受理分から変更された新仕様のパスポート。仕様変更の影響で、製造の全課程を国立印刷局で一括して行う体制となった影響で、受け取りまで掛かる時間が1週間程度延ばされました(出典:国立印刷局)
【オンライン申請の対象拡大】
3月27日に旅券法が改正されました。その影響で全ての都道府県でパスポートに関わる全手続きが原則としてオンラインで可能となりました。
そのせいか、各都道府県では法改正後にパスポートのオンライン申請が殺到しているそうです。私が住んでいる東京都の場合、オンライン申請はパスポートを使う1〜2カ月前に行ってほしいと呼びかけています。
急ぎの場合、都道府県の窓口に直接来ればいい……のですが、それでも2週間程度はかかるそうです。手数料がちょっと割高なのを「特急料金」と捉えれば、アリといえばアリなのかもしれませんが、窓口に出向かないといけないのが面倒です。
手数料をクレジットカード/デビットカードで行う場合の手続き
パスポートをオンライン申請した場合、手数料をクレジットカードまたはデビットカードで支払えます。
ただし先述の通り、クレジットカード/デビットカードで手数料を支払えるかどうかは都道府県によって異なり、対応する都道府県でも受け取り箇所によっては対応できません。
クレジットカード/デビットカード払いが可能な場合、審査完了通知に「クレジットカード納付専用サイト」のURLが記載されています。パスポートの受け取りを始める直前までに支払うカードをWebサイトから登録してください。
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