FCNT「arrows Alpha」が実験施設を公開して耐久性をアピール――社名はどこまで認知されているのか:石川温のスマホ業界新聞
FCNTが、本社(神奈川県大和市)の地下にある実験施設を公開した。施設自体は他社にあるものと大きく変わらないのだが、日本メーカーらしい“細かい”実験もしていてインパクトのある動画も公開している。しかし、メーカー自体の認知度がなさすぎて、arrowsもユーザーにリーチしきれていない面が“惜しい”ように思う。
8月28日にFCNT「arrows Alpha」が発売となった。それに合わせて、FCNTでは中央林間にある実験施設を公開した。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年8月30日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
実験施設では通信、音響、耐衝撃性などの品質検証作業が公開された。これまでいくつものメーカーを取材してきた自分からすると、既視感あったのだが、初めてこのような施設を取材するメディアにはかなり新鮮に映ったようだ。
ただ、個人的に驚いたのは「実に細かな検証作業をしている」という点だ。FeliCa試験では、東海道線などのグリーン車にある、在席かどうかをFeliCaをかざして赤から緑にする機械を持ち込み、検証しているのにはビックリした。
また、「ハンドソープで洗える」という性能をアピールするため、実際に1100回以上、ハンドソープで洗い、水ですすぎ、使えるかをチェックし、1回、1回、正の字に記入している様子に感動すら覚えた。
こうした地道な作業によって、スペック比較には出てこない、arrowsの耐久性が検証されているのであった。
FCNTでは単にメディアに施設を公開しただけでなく、今流れているCMでは端末がクルマに潰されたり、川に落とされたり、階段に落とされながらも「大丈夫。強いから」のコピーを出してアピールしている。また、試験の様子をYouTubeにもアップしていた。
このあたり、15秒やYouTube動画でもなかなか伝わらないだろうし、もったいないこともあるので、ぜひ「ジャパネットたかた」のテレビ通販でやればいいのではないだろうか。
スタジオに実験機材を持ち込み、驚く役のタレントの前で、落下させたり、曲げたり、最後はハンドソープで洗ってみると、かなり視聴者に伝わるのではないか。
かつて、「arrows J」がジャパネットたかたで取り扱われたことがあるようだが、いまこそ、arrows Alphaもキャリアと組んでテレビ通販で売るべきだ。
あとはどうしても「FCNT」というメーカー名の認知度がなさ過ぎるのが残念だ。また「arrows」も、そこまで狙っているユーザーにリーチしているとは言いがたい。
一方で「らくらくホン」「らくらくスマホ」のブランド力は絶対的なのだが、一方で「らくらくなんて持ちたくない」というユーザー層もいる。
このあたり、arrows Alphaのようにコストパフォーマンスに加え、耐久性なども優れた製品であるだけに、あとはいかに「認知度を上げるか」がFCNTの課題といえそうだ。いっそ、FCNTではなく、富士通を連想させる「富士通信」にしちゃえばいいのではないか。と思ったら、富士通の由来は「富士通信機製造」だった。
いずれにしても「富士通っぽい名前」にして、ユーザーに安心感を与える工夫が必要な気がしてならない。
© DWANGO Co., Ltd.
関連記事
“あえて芸能人ナシ”のarrowsスマホ新CM公開 水没・落下・踏みつけに耐えられる?
Lenovo傘下のFCNTは8月28日、スマートフォン「arrows Alpha」のCMをYouTubeで公開した。テーマは耐久性で、落下や水没、踏みつけといった過酷な状況でも着信音が鳴り続ける様子を描く。動画は30秒で構成され、階段から落下する場面や、川に沈む場面、タイヤに踏まれる場面を想定する。海外メーカーのCMを思わせる楽曲を用い、強靱な性能で某果物マークのメーカーに挑む意気込みをにじませる。
「arrows Alpha」開発者インタビュー 再定義した“ハイエンド”の中身、「強さ」「安心」に込めた思い
FCNTは、近年価格が高騰するハイエンドスマートフォンを再定義し、定着を図ろうとしている。8月28日、8万円台を実現した「arrows Alpha」を発売する。arrows Alphaのタフさやハイエンドの定義など、気になる疑問についてインタビューした。
新「らくらくホン」インタビュー あえて「変えていない」のに困難を極めた開発、それでも継続する意義とは
「らくらくホン F-41F」はFCNTが約6年ぶりに発表し、NTTドコモが8月7日に発売したフィーチャーフォンだ。横幅が約52mmと片手で握りやすく、ボタン操作で電話がしやすい。開発時のこだわりや苦労はどこにあるのかを聞いた。
FCNT「らくらくホン」が6年ぶりに復活――NTTドコモの35%シェア死守に一役買うか
NTTドコモが、FCNT製「らくらくホン」の新モデルを約6年ぶりに投入する。FCNTは「絶対必要」という認識だったそうだが、ドコモとしては「背に腹は代えられない」思いで投入するのだろう。
arrows Alphaは「ハイエンドスマホ高すぎ問題」へのアンサーになるのか? じっくりチェック
6月17日、FCNTが新型スマートフォン「arrows Alpha」を発表した。シリーズの最上位モデルで、「手が届くハイエンド」を目指したという。果たして、ハイエンドモデルが高すぎる問題を解消することにつながるのだろうか……?
