ソフトバンク「つながりやすさNo.1」目指す──社長が宣言 現場は“Opensignal評価基準がおかしい”というが……最重要視するのは?
ソフトバンクは11月5日、「2026年3月期 第2四半期 決算説明会」を開催。宮川潤一社長が登壇した。ネットワークについて問われると、通信品質に関する調査会社である英Opensignalの評価に関する考えを述べた。
ソフトバンクは11月5日、「2026年3月期 第2四半期 決算説明会」を開催し、宮川潤一社長が登壇した。ネットワークについて問われると、通信品質に関する調査会社である英Opensignalの評価に関する考えを述べた。
近年、都市部を中心にNTTドコモの通信品質が低下したことを皮切りに、ネットワークの「つながりやすさ」や「通信品質」が業界の重要なトレンドワードとなっている。Opensignalが10月28日に発表した日本の「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」では、KDDIが全18部門中11部門で1位を獲得し、国内キャリア最多受賞を3期連続で達成するなど、KDDIの躍進が目立つ状況にある。
都市部でドコモの通信品質が低下したことをきっかけに、「つながりやすさ」や「通信品質」が注目されている。Opensignalの最新レポートではKDDIが18部門中11部門で1位を獲得し、3期連続で最多受賞となった
通信品質:KDDIに一歩遅れている現状も、見劣りしているとは正直思っていない
宮川社長は、現状のネットワークについて「KDDIに一歩遅れているというような、いろんな結果を出されるところもあるが、そんなに見劣りしているとは正直思っていない」と述べつつも、ネットワークへの投資を続ける考えを示した。
「この時期にAIが出てきたから、その分通信を弱めるという発想はもともとなく、もともとそういう日本国のこの構造の中では、もう攻めるしかないだろうと思っている」とし、「ありとあらゆる新しい技術というものは、その商品の“種”になるため、そこは積極的投資の分野だ。技術的には攻め続けようと思っており、まだまだ手を緩めずにいきたいと思っている」と続けた。人口減少下の日本において、通信事業だけで成長を続けることは難しく、複合型のサービス提供が必要であるとの認識のもと、新しい技術への投資は不可欠であるとした。
Opensignal評価:言い訳は聞かず顧客満足度ナンバーワンを目指す
KDDIが最多受賞となったOpensignalの最新レポート結果について問われると、宮川社長は現場からの異論があることを認めつつも、「言い訳は聞かない」という厳しい姿勢で臨んでいることを明らかにした。
現場からは「あの評価基準はおかしい」という声があり、「彼らなりに自分たちで計算している中では『こうはならないはずだ』ということではあるが、でもそれは、そういった評価基準の中であったとしても、負けている分野があるということは事実だ。それは『ただの言い訳だ』ということで、とにかく1番になるまでその言い訳は聞かない、という形で今、やりとりをしている」と述べた。
Opensignalは、世界中の1億台以上のスマートフォンから毎日数十億件の測定データを収集し、実際の利用環境に基づく通信体験を評価している。シミュレーションや理想条件を用いず、屋内外や都市・郊外を問わずデータを取得。自動テストを通じて1日を通した典型的なユーザー体感を反映し、業界最大規模でリアルなモバイル体験を分析している
また、Opensignalの評価について具体的に、現場からは「彼ら(Opensignal)が点数が高いと思っている項目が、そもそも(顧客体験に)関係のないところだ。お客さまにとって体感が良くなるとか、そういうものに寄与しないところを、見方を変えて『これが点数だ』というのを表現しているだけだ」という意見を聞いたことを明かした。しかし、宮川社長はこれを「取るに足らない議論だ」とし、「まず顧客体感を良くしてくれ」と現場に指示しているという。
そして、Opensignalの結果だけではなく、最も重視するのは「お客さまの満足度の指数」(NPS=ネット・プロモーター・スコア)であると強調した。
「まだまだ我が社が全てにおいて誇れる部分があるとは思っていないので、顧客満足度ナンバーワン(No.1)を目指すという、その思いにはもうちょっとたりとも引かないという話で現場とはやりとりをしている」と述べ、「必ずいつか、顧客満足度も1番だと言ってもらえるような企業になりたいと思っている」と、外部評価を超えて顧客体験で首位を目指す考えを示した。
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