3キャリアの決算で浮き彫りになった“ドコモ一人負け”の状況 何が明暗を分けたのか:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアの上期決算で浮き彫りになったのが、“ドコモ一人負け”の状況だ。KDDIとソフトバンクが増収増益だったのに対し、ドコモはMNPももマイナスに転じてしまった。親会社であるNTTから競争基盤であるシェア拡大を課されているドコモだが、「今年が正念場」(NTTの代表取締役社長 島田明氏)という、厳しい状況が続いている。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアが上期決算を発表した。浮き彫りになったのが、“ドコモ一人負け”の状況だ。KDDIは新料金プランの導入や料金改定効果もあって増収増益、さらに1ユーザーあたりからの収入であるARPUも大幅に伸ばした。ソフトバンクも、コンシューマー事業は増収増益を達成し、スマホの契約者数も拡大している。
対するドコモは、irumoを廃止した結果として番号ポータビリティもマイナスに転じてしまった。親会社であるNTTから競争基盤であるシェア拡大を課されているドコモだが、「今年が正念場」(NTTの代表取締役社長 島田明氏)という、厳しい状況が続いている。そんな3社の現在地を、モバイル事業を軸にまとめていく。
ソフトバンクは「守り切ったこと」、KDDIは「筋肉質な事業基盤」で増収増益
ソフトバンクの上期決算は、全セグメントで増収増益を達成した。官製値下げに苦しんでいたコンシューマー事業も、3%の増収増益を果たしている。この結果を踏まえ、同社の代表取締役社長執行役員兼CEOを務める宮川潤一氏は、「好調というところまではまだまだ行っていないが、守り切った。純増もある程度確保し、売り上げもパイが大きくなっている」と語った。
ARPUは減少しているように見えるが、宮川氏によると、これは法人契約が響いたといい、「コンシューマーは順調に伸びている」状況だ。コンシューマー事業全体の売上高は1兆4757億円、モバイル単体でも7984億円を上期だけで稼ぎ出した。スマホの累計契約数は3206万契約に達し、前上期から100万契約程度を上乗せしている。宮川氏は守り切ったと謙遜するが、競争環境の厳しさを踏まえると、上々の成果を上げているといえそうだ。
KDDIも、「ライフタイムバリューを意識した構造改革によって、モバイル収入は上期で前年度を大きく上回るプラス125億円になった」(代表取締役社長CEO 松田浩路氏)。KDDIは、6月に新料金プランの「auバリューリンクプラン」などを導入。既存の料金プランも、新サービスをつけつつ、最大で330円値上げした。
実際、KDDIはARPUが140円と大きく増加している。一方で、値上げを受けて解約が増加したかというと必ずしもそうではない。その証拠に、解約率は前期比で縮小しており、前年度との比較でも増加幅を0.12ポイントにとどめた。また、主要回線の中のスマホ稼働数は、前年度の上期から34万7000契約増加している。ソフトバンクほどではないものの、事業基盤も徐々に拡大しているといえる。
サブブランドのUQ mobileにも新料金プランを導入しており、11月には既存プランの値上げも実施した。KDDIは、こうした一連の施策を「UQ mobileのご契約長期化に向けた取り組み」(同)としている。その結果、自宅セット割の加入率は上昇、さらには販売時の端末セット率が向上しているという。au、UQ mobileともに、「より筋肉質な事業基盤にしていくことを推進している」(同)点が功を奏した格好だ。
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