検索
連載

銀行連携を強化したauの新プラン「マネ活2」を解説 強すぎる“ゴールドカード推し”は不安材料に石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

KDDIは12月1日に、「auバリューリンク マネ活2」や「使い放題MAX+ マネ活2」を導入する。傘下のauじぶん銀行との銀行連携を強化し、預金残高に応じた特典を用意。一方、特典の条件を子細に見ていくと、ゴールドカードの獲得を増やしたいKDDIの思惑も見え隠れする。

Share
Tweet
LINE
Hatena

重視したauじぶん銀行連携、背景にある預貸率のバランス見直し

 マネ活2では、この特典の銀行連携が強まっている。1つ目が、au PAY ゴールドカードを契約しており、かつauじぶん銀行に一定以上の預金をしている際の「銀行あずけて特典」。50万円以上の普通預金がある場合、550円のキャッシュバックを受けられる。2つ目が、au PAYカードで料金を支払い、かつそのカードの引き落とし口座をauじぶん銀行にしている場合の「通信料お支払い特典」。この組み合わせだと、1650円のキャッシュバックを受けられる。

 どちらも割引ではなくキャッシュバックという形だが、auじぶん銀行に直接入金されるため、引き出してしまわなければ特別な手続きなく通信料に充当可能。実質的な割引と捉えることができる。また、3つ目の「お買い物特典」はクレジットカードかコード決済のどちらかに付くポイントが上乗せされるというもの。この部分は銀行とは関係がなく、au PAY ゴールドカードの契約がある場合、クレジットカードかau PAYのどちらを使っても、2500ポイントまで決済額の5%が還元される。

auバリューリンク マネ活2
3つのうち、2つの特典がauじぶん銀行を条件の1つにしており、還元も銀行口座へのキャッシュバックになる

 auマネ活プラン+との比較だと、このお買い物特典が使いやすくなっている点もマネ活2の特徴になる。これまでは、クレジットカードで1500ポイント、au PAYで1500ポイントといったように、利用する決済手段ごとに上限が分かれていた。これだとユーザーが能動的に支払い手段を選ばなければならならず、還元を受けづらかった。松田氏も、「これまではau PAYでいくら、クレジットカードでいくらとそれぞれに条件があって分かりにくいという声があったのは事実」と認める。

 対するマネ活2は、還元の上限は下がってしまったが、決済手段を問わずに2500ポイントまでとなったことで、より上限に達しやすくなった。一言でまとめると、auじぶん銀行連携を強化しつつ、決済還元の部分はよりシンプルな仕組みにしたのがマネ活2の特徴になる。還元額を料金から引いた実質負担額はauバリューリンク マネ活2で3528円。auマネ活バリューリンクプランの実質4228円より、料金的にもお得になっている。

auバリューリンク マネ活2
お買い物特典は、上限をクレジットカードとau PAYで共有するようになった。その上限額は2500円。au PAY ゴールドカードがある場合、5%の還元が上乗せされる

 マネ活2がこうした建てつけになった背景には、auじぶん銀行の預金額を増やしていきたいというKDDIの戦略がある。同料金プランの発表に先立って開催された決算説明会では、松田氏が金融事業の状況を指し、「金利ある世界になり、預金調達(競争)が激化している」としながら、「住宅ローンだけに依存せず、預貸率をより意識した戦略に転換していく」と語っている。

 松田氏が、「料金プランの強化や銀証連携(銀行と証券会社の連携)を拡大する」としていたように、マネ活2はその戦略の一環といえる。預貸率とは、金融機関の貸出金を預金残高で割った比率を指し、この数値が高いほど融資を積極的にしていることになる。auじぶん銀行は低金利の住宅ローンが人気を博しているため、預貸率が100%を超えている。マネ活2の一部特典を預金額に連動させるのは、そのバランスを取りたいという思惑があるといえそうだ。

auバリューリンク マネ活2
決算では、auじぶん銀行の預金調達力を強化し、預貸率のバランスを重視していくことが語られていた。マネ活2は、この方針に沿ったものといえる

 直近では、金利が上昇していることから、「投資は増えているが依然として預貯金の比率も高く、全体の6割」(同)に達している。マネ活プランは約1年に1回、料金プランをリニューアルしているが、これは「金融部分の変化が速く、そこに対応していき、お客さまのニーズに合わせていかなければならない」(同)からだという。金利が高まったのであれば、もっと直接料金プランと連動させてほしい。マネ活2は、こうしたニーズの変化にこたえた料金プランともいえる。

auバリューリンク マネ活2
金利の上昇により、預貯金で資産を保有する割合も高まっている。こうしたニーズの変化も捉えた料金プランといえる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る