総務省が「SIMのみ契約」のMNP優遇を問題視 端末値引きは規制緩和の可能性も?
総務省が12月2日に「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会(第1回)」を開催した。電気通信事業法第27条3の規制の在り方や、規制の効果を検証する。その中で、SIMのみ契約を起点とした短期解約についての課題が挙がった。
総務省の情報通信行政・郵政行政審議会と電気通信事業部会 市場検証委員会が12月12日、「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会(第1回)」を開催した。
この専門委員会は、電気通信事業法第27条3の規制の在り方や、規制の効果を検証するために設置されたもの。
電気通信事業法第27条3は、「行きすぎた囲い込み」や「通信と端末の分離」を規定したもの。行きすぎた囲い込みでは、解約金の上限を1000円とし、契約拘束できる期間を2年までとする。通信と端末の分離では、通信契約の継続を条件とする端末値引きを一律禁止し、通信契約の継続を条件としない端末の値引きは4万4000円までに制限している。こうしたルールにより、通信料金の高止まりやユーザー間の不公平感を解消することを目指している。
一方で、専門委員会では顕在化している問題についても指摘する。通信契約の継続を条件としないSIMのみ契約については、2万2000円までのキャッシュバックが可能だが、この特典は新規契約よりもMNPが優遇され、高額の還元を受けられる傾向にある。その結果、キャッシュバック目当てにMNPを繰り返す「ホッピング」が発生していることを指摘する。
専門委員会では、ホッピングを抑えるために、MNO各社が対策を講じるべきだと提言する。例えば、ユーザーIDなどを通じて、一定期間内に再度転入してきたユーザーに対しては、キャッシュバックを行わないといった措置を挙げる。
専門委員会は今後、関係者にヒアリングを実施し、電気通信事業法第27条3で目指した「事業者間の適正な競争環境の実現」「ニーズに沿った通信サービスの選択」「ユーザー間の不公平感や通信料金の高止まりの解消」が達成できたかを検証していく。その上で、「27条3の規制の最小化を図ることが可能か」も検討する。また、先述した短期解約の問題についても、課題や対策について検討していく。
ヒアリングは2026年1月に実施し、効果検証を行った後、2026年夏頃に市場検証委員会とモバイル市場専門委員会が「取りまとめ案」を出す予定。
ユーザーに直結するところでいえば、検討内容に「規制の最小化」が挙がっていることから、端末値引きの上限4万4000円が緩和される可能性はある。現在も、ミリ波対応端末は6万500円までの割引が認められているが、条件によって割引上限金額がアップする可能性はある。一方で、MNPを条件としたSIMのみ契約のキャッシュバックは、短期解約を防ぐためにMNPと新規契約で特典をそろえ、結果的にMNPの特典が減額される可能性もある。
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