mineoはどう変わる? オプテージが「音声フルMVNO」で思い描くサービス像 キーパーソンに聞く:MVNOに聞く(1/3 ページ)
MVNOのmineoを展開するオプテージが2027年下期に音声フルMVNO事業を開始する。自社でSIM発行や加入者管理を行うことで、音声通話の新サービス創出や柔軟な法人向け展開を目指す。将来的にはドコモ回線を含むマルチキャリア化も視野に入れ、回線数と売上高の倍増を計画している。
MVNOシェア2位のmineoを運営するオプテージが、2027年下期に音声フルMVNO事業を開始する予定だ。KDDIから回線を借り、かつ音声通話まで含めたフルMVNOは、日本で初めて。これまでのライトMVNOではできなかった新サービスを展開する予定で、個人向けのmineoでも提供される。
また、フルMVNOは、SIMの発行や管理がMVNO側で行えるため、IoTへの回線提供もしやすくなる。オプテージでは、こうしたB2B2Cまで含めた法人事業を伸ばしていく方針で、売り上げや回線数を2倍にすることを目指す。ただ、開始までまだ1年半から2年近い時間があり、サービスの具体像は見えていない。
オプテージは、音声フルMVNOでどのような事業を展開していく計画なのか。音声フルMVNO事業に参入する狙いや今後の展開を、オプテージでMVNO事業を率いるモバイル事業推進本部のモバイル事業戦略部長 松田守弘氏と、モバイル事業推進本部のモバイル事業戦略部 モバイル事業統括チーム チームマネージャーの合田慎氏に聞いた。
まず発表することを優先 新たなアイデアが寄せられる期待も
―― これまで、フルMVNOをやるというお話はほとんどされていませんでした。今回、発表に至ったのは何か環境の変化があったのでしょうか。
松田氏 検討自体を始めたのはけっこう前からで、2021年ぐらいには開始しました。2022年には専任の担当者を置き、検討を進めてきました。その中で、音声も含めたフルMVNOの絵を描き続けてきました。お察しかもしれませんが、投資額も相当なものになるので、収支としてどう回収するのかや、そもそもの実現方法まで考えてきました。特に(音声フルMVNOは)音声通話も入ってくるのでかなり難易度が高い。KDDIさんをはじめとした事業者との協業もなかなかタフなものがあり、これだけの時間がかかったというのが実態です。途中で何かが変化したというより、かなり長い時間をかけて検討してきました。
―― 現在はKDDIに申し入れをしたというステータスだと思いますが、まだ正式なOKは出ていないのでしょうか。
松田氏 詳細な条件はまだ詰めていくことがありますが、相互接続に向け、前向きに調整している段階です。
―― ほぼ確定というところだと思いますが、書面で契約を締結する前の申し入れの段階で発表した意図を教えてください。
松田氏 設備構築そのものにも時間がかかりますし、その後の接続試験にもかなりの時間を要することになります。こういったところに踏み込み、さらに前を向いてどんどん変化していくぞということをまずはお見せしたかった。「やるぞ!」と発表することで、「こういったことができます」というアイデアが寄せられる期待もあります。
個人向けだけでなく、法人も含めて「だったら一緒にやりませんか」というお話がしやすくなります。そういった側面もあり、まず発表させていただきました。
―― 音声の相互接続が難しいというお話でしたが、御社は固定で「eo光電話」をやられています。その点では、まったく初めての経験ではないと思いますが、いかがでしょうか。
合田氏 はい。固定で接続している部分があるので、ある程度知見はあります。ただ、SMSの部分はモバイル特有で、相互接続の部分も各社と協議しながらになるので、スケジュールも約2年にしています。ここから、どの期間にどういうことができるのかを詰めていきます。
国際ローミングは積極的に検討 音声とデータ通信の境目がなくなる体験を目指す
―― 加入者管理機能を持ち、SIMも発行すれば国際ローミングができるようになります。現状のライトMVNOではできないことの1つになっていますが、提供の予定はありますか。
松田氏 加入者管理をすることで、エリアの概念が広がります。(海外事業者に)ネットワークとして認識してもらえるようになるので、ローミングなりの手段を使って世界でサービスができるのはメリットです。積極的に検討していきます。
―― 事業者としては、海外からの渡航者がmineoのネットワークをつかめるようになるのもメリットではないでしょうか。収益的にもプラスαになっておいしいと思いますが、どうでしょうか。
松田氏 おいしいかどうかはこれからの検討ですが(笑)、私どものネットワークを(海外からの渡航者に)使っていただくということはありえると思います。
―― 音声通話にも、何かしらの新サービスを組み込んでいくのでしょうか。ただ、翻訳のように音声を解析して何かするというのは通信の秘密の制約もあって、なかなかやりづらいと思いました。
松田氏 翻訳などは確かにできると面白いのですが、そういった制約があります。ただ、今は法的な制約があるとしても、いろいろなアイデアを発想していく段階です。音声とデータ通信の境目がなくなる体験は目指したい。何ができるかは、これからです。それは、技術的にも規制的にもです。
―― コンシューマーのmineoには、他にどのようなメリットがありますか。
松田氏 音声で言うと、今まではMNOから音声を卸で提供していただいていました。その範囲は、どうしても超えられません。そこを超え、個々人のライフスタイルに合わせたものができます。例えば、かけ放題まではいらないが、特定のグループだけはかけ放題にしてほしいといったものはありますし、目の前でできそうなところとしてはそういったものからになると思います。後は、アイデアベースでもっといろいろなものが出てくるかどうかですね。
合田氏 これもあくまでアイデアベースですが、コミュニティーとの組み合わせのようなものはあると思っています。今の音声通話は個々人で消費していますが、コミュニティーの中で助け合うような世界もあります。データでは「ゆずるね」や「フリータンク」のように、余ったものを分け合う仕組みがありますが、そういうものを音声に適用できなかは妄想しています。
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